47話 ポーションの値段
薬師ギルドに着きました。
落ち着いた外観です。
中に入ると、シックな木目調の落ち着いた受付があります。
「すみません、買い取りをお願いしたいのですが」
「買い取りでしたら、買い取りカウンターでお願いします」
「わかりました」
言われたとおり、買い取りカウンターに行きます。
どこも人がいますね、一つだけ空いているカウンターがあります、そこにいきましょう。
「すみません、買い取りをお願いしたいのですが」
「はい、まずは鑑定をしますので、品物を見せてください」
「これになります」
上級ポーションと特級ポーション、下級のマナポーションを1本ずつ出します。
若くてきれいなお姉さんが、ポーションを見てますね。
クルクルとした巻き毛に胸を強調した服。
しかし、ちょっと派手じゃないかな? 赤々とした口紅はこの落ち着いたギルドには似合わない……。
「中級ポーションと上級ポーション、それと下級のマナポーションに届かないマナポーションですね」
「え?」
私の渡した物は、上級ポーションと特級ポーションと下級のマナポーションだ。
お婆さんが鑑定してくれたお墨付きの物だ。
「中級ポーションはこの薬師ギルドでは、下級ポーションとしての買い取り額で買い取りをおこなっており、一つ銀貨4枚ですね、上級ポーションは銀貨8枚、下級のマナポーションに届かない物は本来なら買い取り対象外ですが、特別に私が買い取りましょう。銀貨2枚でいかがですか?」
舌なめずりをせんばかりの嫌な笑顔でそう言ってきます。
美人ですが、嫌な感じです。
私は3本のポーションをサッと取り、マジックバックに入れ席を立ちました。
上級ポーションは銀貨8枚、特級ポーションは金貨2枚、下級のマナポーションは金貨1枚の買い取り額だ。
話が違いすぎる。
お婆さんのところに行ってもう一度確認したほうがいいのかもしれません。
薬師ギルドを出て、お婆さんの家に来ました。
ノックをして、待ちます。
「なんだい、あんたかい」
お婆さんが扉を開けてそういいます。
私は、たった今、薬師ギルドであったことを話します。
「あんたは、私の弟子だよ! コケにされたまま、黙っていられるかい!」
お婆さんが薬師ギルドに行くというのでついていきます。
「ちょっとあんた! 私の弟子になんてこと言うんだい! 私の鑑定したものが、全部格下になってるなんておかしいじゃないか! 誰かギルド長を呼んできな! 上級ポーションを中級ポーションだって? 呆れたよ、なんだってそんな嘘をつくんだい? 金かい? あんた、人を騙して金を懐に入れているんじゃないだろうね!」
あー、あの若い女性にくってかかってます。
女性は黙りですね。
言い返すこともしません。
「私も、もう二度とこのギルドにはポーションは卸さないよ! とっととこんな胸くそ悪いところは出るよ! もう行くよ、ついてきな!」
お婆さんが怒っています。
薬師ギルドにいる人たちがざわついています。
怒ったお婆さんのあとをついて薬師ギルドを出ると、しばらく歩き雑貨屋に来ました。
「悪かったね、あんなのがいるなんて考えてもみなかったよ、紹介状を書いておけば良かったんだけどね、あんたは何も悪くない、お詫びにポーションを作る道具は私が代わりに買うからね。瓶100本も私が自分で買うよ」
「え? そこまでしてもらうつもりは……」
「いいんだよ、あんたにはこれから儲けさせてもらうし、先行投資さ」
そう言いながらお婆さんはテキパキと雑貨屋の店員に指示して買い物をしていきます。
「それにしても、この大量のポーションどうしよう」
独り言を呟いてしまいます。
100本もあるんですよね。
「冒険者ギルドで売ったらどうだい、私のポーションもあんたのところで売らせてもらえば、上級ポーションや特級ポーションがなぜここにあるのかと詮索する者もいなくなると思うよ? あんたは下級ポーションしか作れないという振りをしておきな。聖水は私が持っていることにすれば、あんたが聖女だとは思われないさ」
「下級ポーション」
「あんただったら中級ポーションを作ることは簡単だ、だけど、作るんじゃないよ、聖水は貴重なんだ。上級ポーション以上でないと勿体ないから使えないんだよ、本来は」
「わかりました」
私が、しっかりと答えます。
「ほら、これ、あんたの分だよ、仕舞っておきな」
ポーション作りの為の道具が渡されます。
「お婆さんは、薬草どうするんですか?」
「冒険者ギルドに依頼をするよ」
「なんか、すみません、こんなことになるなんて……」
「いいんだよ、それよりも元気出しな、独り立ちしたんだ、これからだよ」
「……頑張ります」
薬師ギルドでポーションを売ることの出来ない私が独り立ち、自信ないなぁと落ち込みます。
うーん、どうしよう。
お婆さんがそんな私を見ています。
「──冒険者ギルドには、私が説明したほうがいいね、一緒に行くとするかね交渉は任せておきな」
ため息をつきながらお婆さんが言います。
「いいんですか?」
「いいよ、あんたは私の弟子だ、弟子らしくしてな」
お婆さんが自分の顔の前で手を振りながら、遠慮するなというようなジェスチャーをします。
「はい」
お婆さんと一緒に冒険者ギルドに行くことになりました。




