42話 バレました
朝になりました。
屋台に食べに行きます。
今日は、一番始めに食べた鶏ガラスープの店にします。
うん、おいしい。
あとは、サンドイッチかな。
遅い行列に並びます。
うん、今日もオーク肉です、おいしいからいいけど、鶏肉のほうが食べたかったな。
さて、薬師のお婆さんの家に行きますかね。
いつものお昼のお兄さんが交渉してくれて、薬師のお婆さんが、会うだけは会うという約束をしてくれたのです。
この機会にポーションを手に入れる手段を得たいですね。
街の郊外にでました。
お婆さんの家はこじんまりとした平屋の家ですね。
ノックをします。
「開いてるよ!」
扉の向こうからどなるように聞こえてきました。
入っていいのかな。
「失礼しまーす」
のこのこと入っていきます。
「あんたかい、よく来たね。腕のいい回復魔法士なんだって? ちょうど良かった、腰が痛くてたまらないんだよ、ちょっと治してくれるかい?」
ポーションで治せなかったのでしょうか?
まぁ、いいです。
どこで治療しますかね。
「すみません、どこで治療しますか?」
「あん? ここでいいよ、早くやっておくれ」
「ヒール」
治るイメージで。
治ったかな?
「どうですかね、痛みはなくなりましたか?」
「……あんた、回復魔法士じゃないね、聖女かい? 腕が良すぎるんだよ」
バレました。
なんででしょうね。
いつもポーションを作っているから治ることに敏感だとか? ごまかさなくては。
「いやだなー、いくら腕がいいからって、聖女はないですよー、もー冗談言ってもらっても困りますよー」
お婆さんがため息をついています。
「あんたに演技は無理だね、下手すぎる。話しは戻るがあんたが聖女だと、聖水を作ることが出来る、これが、薬師にとってはありがたい。あんたが、なぜか聖女だということを隠したいと思っていることには賛同する。教会はある意味聖女を使い潰すからね。だが、薬師は聖水を喉から手が出るほど欲しがる、まずは、これを理解しておくれ」
「はぁ……」
演技のダメ出しをされました。
なんか、ショックです。
別に女優とかになるつもりもないですが、胸の中にわだかまりができました。
「下級ポーションを渡してお引き取りしてもらうつもりだったが、聖女なら話は変わる」
「……」
「どうだい、あんた、私の弟子にならないかい?」
「えっ?」
「聖水の作れるあんたが薬師になるんだ、そうしたらどんなポーションだって作ることが出来る」
「はぁ」
「なんだい、そのやる気のなさそうな返事は、まだ、若いんだろ、シャキッとしな」
「ううーん」
迷いますね、薬師の方からポーションの作り方を教えてもらうことができるなんてめったにない機会だろうし、聖女であると告げたほうがいいのでしょうか。
「あんたが聖女だっていうことは誰にも言わないよ、ただし、私みたいにある程度古い連中にはバレるがね」
「古い連中?」
「エルフや魔族さ、治療をしなければめったにバレないだろうが、あいつらはやたらと勘がいい、私だって半分は魔族が混じっているから、これでも300年は生きてるんだよ。純粋な魔族なら1000年は寿命があるがね。まぁ、その上の王族ともなれば、秘術もあるから、ある意味永遠の命だがね」
「はぁ」
「なんだい、覇気もないねぇ、力が抜けるよ」
だってねぇ、目の前のお婆さんが300才だって聞いても実感がわかないもの。
私、どうなっていくのだろう。




