表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
4/73

4話 裏切り

 1ヶ月は長いようで短かった。


 私は仕事三昧で休む暇もなかった。


 だけど収穫はあった、この世の金銭の価値とか地理もわかったし、台所で余った保存食をもらったり、掃除の際に本来やらなければならない人と代わってこなしたりしたときに小遣いをもらったりしたのだ。


 微々たるものだけど確実に手に入ったものとして、私の部屋に置いてある。


 部屋は一応鍵がかかるので取られる心配はない。


 しかし、保存食もお金も少なすぎて、美鈴ちゃんと菜々子に申し訳ない気持ちになる。


 二人はどれぐらいこの神殿から出る準備ができたのだろうか。


 初めて召喚された石畳の部屋に行く。


 どうやら私は歓迎されていないようだ。


 無能の村人として都合のいい下女として無給でこき使いたいと思われていたようだ。


 私が来ると、あれっ?という感じで目を丸くされ、あっさり出ていくと話すと不機嫌になられた。


 金貨5枚と、小さめのバックが渡された。


 召喚をしたことへの慰謝料らしい。


 出ていかない人間についてはこれらは渡されない。


 美鈴ちゃんと菜々子が部屋の片隅に立っていた。


 二人共出ていくんだよね?と確認すると出ていくと返事があった。


 だけど二人共少し挙動不審だ。


 私と目線が合わない。


 明日の朝、神殿の門で待ち合わせをして、今晩は大人しく寝ることになった。


 私は二人と一緒にこの世界で生きていけるので心強い。


 朝になった。


 メイドさんから、手紙が二通渡された。


 なんだろうと思ったが開けてがく然とした。


 美鈴ちゃんと菜々子が出ていかないということが書かれた手紙だったからだ。


 どうやら、神殿の騎士たちと恋仲になっていたらしい。


 昨日の時点で言ってくれればと思ったが仕方ない。


 出ていくしかない。


 だって私は大聖女だから、魔王討伐には行きたくない。


 どうやら出ていくのは私だけらしく、見せしめにされたようだ。クラスメイトや神殿に勤める人たち全員が来ているのではないかという両サイドを人で固められた廊下の中央を歩かされる。


 ひそひそと話をしながら、私の顔を見てあざ笑う人たちばかりだ。


 神殿のある街に出た。


 宿屋に一泊頼むと法外な値段を言われた。


 宿屋は神殿からの手先という訳でなく、神殿で教えられた金銭の価値が間違っていたのだ。


 あの神殿は信用がならない、教えてもらった地理もめちゃくちゃだろう。


 かわいそうな者を見る目で同情をしている宿のおかみさんに正しい金銭の価値を聞き、正しい地理の話を聞く。


 どうやらこの東隣の国は良い国らしく、人間が多いらしい。反対に西隣の国は奴隷商人が多く、そちらに行けば奴隷にされたかもしれないと注意を受けた。


 私は反対に教えられた。


 東隣の国は悪い国ですぐに他人を奴隷にし、西隣の国は良い国で平和に暮らせるだろうと。


 なにもかもが信用できないな。


 宿を出て散策する。


 誰か私をつけている気配がした。


 私は遠回りをしながら、東隣の国に行く馬車を探してたどり着いた。


 東隣の国まで、金貨2枚。


 一週間ほどかかるらしい。


 馬車の御者にもう一度確認して、東隣の国は平和だと聞き、金を支払った。


 途中夜営などあるが食料はあるかと聞かれ「ある」と答えた。


 ただ、水はなかったのでその点を聞くと、水はサービスするとの話だった。


 胸くそ悪いこの国を出たら、結界を解こうと思う。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ