39話 ギルド長からの報酬
それから騒然とした領主の館において、なにも飲み食いさせてもらえずに冒険者ギルドに帰りました。
あのアフタヌーンティーセットが無理でも、疲れていたから、なにか食べたかったです。
ただのクッキーと紅茶でも良かったのに……午後でないからアフタヌーンティーセットが結果的に食べられなかったとか? いやまさかね、ここは異世界、関係ないか。
しかし、良い仕事をしたねぎらいが欲しかったですね。
お昼にギルド長が気を利かせて誘ってくれたので、遠慮なくついていきます。
例の赤い庇の店ですね。
行列には並びません。
どうやら予約してあるようで、店員に案内されて奥の部屋へと、ギルド長がずんずん歩いていきます。
美丈夫なんですよね、ギルド長。
存在感が半端ないのに堂々と歩いているから、周りの人たちから見られています。
ちょっと緊張しますね、注目されたことがないから。
個室に入ります。
「今日はすまなかったな、まさか、毒を盛ってくるとは思わなかった」
ギルド長から頭を下げられます。
「いえ、私もびっくりしましたが、ギルド長はなにも悪くないですし、それよりもお嬢様の身体の中にも、紅茶の毒よりは弱いですが同じものがありました」
「そうなのか? あのお嬢様の身体の中にも毒が?」
「はい、ありましたね、同じ違和感を覚えました」
「ううむ」
ギルド長が唸っています。
なにかまずいことを言ったのでしょうか。
「他に気がついたことはあるか?」
「特にありませんね」
「そうか……金は支払っておくから好きなだけ食べてくれ。私は用事ができた、すまないが、一人で食事をして欲しい」
「わかりました」
好きなものを頼みますよ。
ピザに、じゃがいものニョッキに生ハムのサラダ。
そして、食後に紅茶とプリンとフルーツ。
プリンは前にいただいたコース料理で味を占めました。おいしかったですからね。
ピザはナポリタイプですね、もちもちの生地にトマトソースが良く合います。
チーズもよく伸びておいしいです。
上にはトマトやアスパラ、ベーコンなんかが載っていますね。
ベーコンだけだとしつこいかもしれませんが、野菜があるからさっぱりといただけます。
ニョッキはゴルゴンゾーラに似た結構塩気の強いクセのあるチーズのソースです。
うん、おいしい。
このニョッキのムニムニとした食感にクセのあるソースがたまりませんね。
生ハムのサラダは言わずもがな、普通においしいです。
あー、お腹いっぱい食べました。
でも、まだなんですよね。
ウフフ。
食後になりました。
甘いものは別腹、プリンなどをいただきます。
うーん、アフタヌーンティーセットがいただけなかった悔しさが溶けて無くなるようです。
ああ、天国。
天国が口の中で消えていきます。
終わってしまいました。
名残惜しさを感じながら食事を終えます。
部屋を出て、会計について店員さんに聞くと、私はなにもしなくてもよいとのことだったので、店をそのまま出ました。
あー、午後は何をしよう。




