37話 お嬢様の治療
幸せな時間は終わりました。
これからは、仕事の時間です。
執事の方にお嬢様の部屋まで案内してもらいます。
二階の南向きの部屋ですね。
執事の方が扉をノックします。
どうやら、返事があったようです。
中に入ります。
広い部屋ですね。
調度品も可愛らしく上品で、白で統一されています。
天蓋付きのベッドの中に人影が見えます。
その前に、ベッドの脇に庭師の方がいますね。
お嬢様を励ましていたようで、手を握られています。
お嬢様は顔が青白いのに、頬だけが赤く上気した感じです。
関係ないですが、美少女ですね。
私より少し年下でしょうか?
上気した頬に色気を感じます。
少し熱がありそうですね。
確かめたほうが、いいかもしれません。
「私は、薬師でございます。少し触ってもよろしいでしょうか?」
「ええ、少し汗をかいているかもしれません、それでもよろしければどうぞ……」
「失礼します」
熱そうな額に触ってみる、うーん、高熱ですね。
早めに診た方がいいのかもしれません。
執事の方とギルド長、庭師の方に部屋から出ていってもらいました。
お嬢様は女性ですし、もしかしたら、服を脱いでもらうことになるかもしれないからです。
二人きりになりました。
「これから少しずつ診ていくと同時に治療を行うかもしれません、痛かったり、気持ち悪くなったりしたら言ってくださいね」
「はい」
「では、始めます」
んー、全身に良くないものが広がっている感じですね。
一刻の猶予もならない症状のようです。
臓器は弱っていますね。
「ハイヒール」
治すイメージ。
「ハイヒール」
治すイメージ。
これは時間がかかります。
強く治すイメージで、全身をくまなく包んで。
「ハイヒール」
治す。
治す。
治す。
…………。
どのぐらい時間が経ったでしょうか、ようやくおわりました。
お嬢様の額を触ります。
熱が下がってますね。
呼吸も安定しています。
最後に全身をチェックして。
大丈夫ですね。
部屋の扉を開けます。
3人共、廊下にいましたね。
庭師の方が慌てて中に入ってきます。
泣いていますね。
「お嬢様、ご気分は?」
「とってもいいわ、すっきりしているの、こんな気分は何年ぶりかしら」
「お身体の調子は?」
「いいわ、どこも苦しくないし、痛くもない、吐き気もないし、身体のだるさも、頭痛もなにもない」
「お嬢様!」
庭師の方がお嬢様を抱きしめてますね。
感動的なシーンです。
おや? 執事の方が驚いてますね。
まぁ、いいでしょう。
私の仕事は終わったようです。




