34話 ポーションを手に入れよう
いましたね、いつものお兄さん、あの庭師の方のおかげでこないかと思いましたが良かったです。
いつもの席に着きます。
「あれ? 回復魔法士のお姉さん、今日は来ないかと思っていた」
「ああ、大丈夫だったんで今日はここに来たんですよ」
「そうなんですか、心配したんですよ」
心配させてしまったようですね。
しかし、世の中には、回復魔法士として、まだまだ考えなくてはならないこともありますね。
ウエイトレスを呼び止め、今日の日替わりを頼みます。
治療室にポーションの空き瓶もたくさんありましたし、前の深い怪我をした患者さんの仲間の冒険者の方が言っていた、上級ポーションや特級ポーションを手に入れられないか、お兄さんに聞いてみましょうかね。
……聞いてみました。
「上級ポーションや特級ポーションは噂では、聖水が必要になるって話だ、この国には聖女がいないし、聖魔法の使い手もいない、だから聖水が作れないんだ。他の国なら、聖女がいるって噂だが、眉唾かもな、実は前に言ったドルイド王国には、召喚した者の中に聖女がいたっていう噂だったが、聖女がいたなら戦争で負けやしない」
「だから、眉唾だと?」
「そうだ、聖女がいたら結界が張れる。魔族のやり方である、魔物の進行はとめられるからな」
「なるほど」
「もし、事前に魔物が結界を張る中にいたとしても、弱体化するって話だ」
「へぇ」
「あ、日替わりがきたぜ」
ああ、日替わりがきましたね。
今日は、鶏肉ですね。
ただ、焼いただけのチキンソテーですね。
半分に切ってお兄さんの皿の上に載せました。
もう、お兄さんから皿に載せてもいいかと許可も得ません、お兄さん自体が皿を寄越しているからです。
モグモグ。
朝の鶏肉ほどではないですが、まぁまぁおいしい肉です。
むね肉かな?
「そういえば、下級ポーションは手に入らないんですか?」
この前来たおじさんは手に入らないようなことを言ってましたね。
「普通なら、手に入りにくい、だが、俺なら下級ポーションなら伝がある、作っている奴を知っているんだ」
「ほぅ」
「まぁ、偏屈な薬師の婆さんだが、腕はたしかだ。紹介するかい?」
「え? 紹介していただけるんで?」
「紹介ぐらいなら簡単だしな。ただし、弟子になることができるかはわからんが、下級ポーションは手に入るだろう」
もし、紹介してもらえて、弟子になれたら下級ポーションが作れますね。
この前来たおじさんが言うには、ナノハ村では、薬師も、回復魔法士もいないって言っていましたしね。
下級ポーションが手に入り易くなればそうした人々の役にも立ちますし、行ってみますかね。
最後の鶏肉を食べてお兄さんに、お願いしてみます。
「すみませんが、その薬師の方にご紹介お願いしてもよろしいでしょうか?」
「なんだ、他人行儀だな」
「だって」
お願いする立場ですからね。
「まぁ、任せてくれ、俺はその婆さんに貸しがあるんだ、悪いようにはしないさ」
「ありがとうございます」
「じゃあ、今日はこれで……さっそく、婆さんに聞きに行ってくるよ」
「はい」
「そうだ、いつ頃だったら仕事でない時間が空いてるんだ」
「週末の2日間ですね。今週は1ヶ所よらなければならないところがあるので、1日は潰れますが、もう、1日は暇です」
「わかった、週末だな」
「はい」
「楽しみに待っててくれ」
「はい」
お兄さんが去っていきました。
期待してしまいますよ?
午後は冒険者たちを診る時間です。
朝と比べるとのんびりしてますね。
「ヒール」
「ヒール」
「ヒール」
たいしたことのない怪我や病気ばかりですね。
とはいえ、休むわけにもいきません。
この冒険者ギルドの宿泊費、無料ですからね。
頑張ります。




