27話 ステータス確認
今日は疲れた。
食堂でゆっくり食事をとることにした。
今日の夕食はオーク肉を蒸したものか。
人参やじゃがいも、かぼちゃなどの温野菜なども添えてある。
ヘルシーでおいしい、これはこれでありだな。
食べていると声をかけられる。
「隣、いいかな?」
「はい、どーぞ」
うゎ、ゾクッとくるような、いい声。
男性だな。
しかし、この食堂には他にも空いているテーブルはいっぱいあるのに、なんで、わざわざ他人のいるテーブルに? と思う。
私はその男性に視線を向けず、食事に集中した。
見たところでどうせいいことはない。
私が女性だから隣に座った?
ないな、いくら私が異世界から来ているとしても現実は知っている。隣の冒険者ギルドで嫌になるほど美女などを見てるから、自分の立ち位置ぐらいわかっている。
私には、男性に目をつけられるほどのものがない。
ゆっくり食事を楽しむつもりだったが、早めに食べることにした。
食べ終わると無言で席を立ち、部屋に戻る。
部屋に戻り、清潔魔法を使う。
「クリーン」
そうして、今日1日狩りをした汚れを取る。
皮鎧などを外したりしながら、いつもの格好に戻ると、ベッドに腰掛ける。
さぁ、お楽しみのステータスの確認だ。
「ステータス」
【名前】宮川由菜
【種族】人族
【年齢】17
【レベル】12
【体力】135
【魔力】136
【攻撃力】122
【防御力】131
【筋力】128
【知力】127
【敏捷】122
【運】120
【スキル】生活魔法、聖魔法
【称号】大聖女、裏切られた者
各項目の数値が上がっているのはいいが、称号に裏切られた者とあるのはなぜだろう。
前に見たときはなかったはずだ。
どこかで私は裏切られている?
わからない。
いつ裏切られたのかも、いまだに裏切られているのかもわからない。
宿屋も冒険者ギルドも親切だし、この二つからは裏切られてはいないだろう。
今、私は困っていない、なら、どこかで裏切られていたとしてもたいしたことはないはずだ。
そう思うことにした。
でなければ、いつまでも気に病み、私は立ち直れなくなる。
忘れることだ。
裏切った人間は、幸福にはなれない。
もし、幸せに生きているように見えてもそれは虚構に過ぎない。
まやかしだ。
しかし、ステータスを見ると、クソ雑魚から、ただの雑魚になっていた。
まだ何回か魔物を倒し、レベルを上げる必要があるが、1回の攻撃で死ぬことはないはずだ。
治療院が、もし、また嫌がらせをしてくるにしても多少はもつ。
私は寝ることにした。
朝になった、いつもの朝食を食べ、冒険者ギルドに行く。
今日は行列が長いな、どうやら体調の悪そうな人もいっぱいいるし、付き添いのいる小さな子どもたちも少なからずいる。
治療室に入る。
シーツを取り替え、毛布を片付ける。
「クリーン」
部屋の中をきれいにし、洗濯室に汚れたシーツとタオルらしき物を持っていく。
シーツなどを籠の中に入れ、治療室に戻ろうとすると、ふいに視線を感じた。
誰もいなかったので、気のせいかと思い、その場をあとにする。
さぁ、患者さんを診なくては、一人目の患者さんを治療室に入れる。
小さな子どもだ。
どうやら、咳が止まらないらしい。
ベッドに横にならせて、身体を診る。
肺の病気かな?
「ハイヒール」
治るようにイメージして。
治ったかな? 全身を診た、大丈夫そうだ。
付き添いのお父さんと思われる男性が感謝している。
子どもを部屋の入り口まで見送って、次の患者さんに入ってもらうようにした。
そう忙しく働いているとお昼の時間になった。
残りはあと、一人、頑張って診なくては。
……終わった。
私は、最後の患者さんを治して、隣の宿屋の食堂に駆け込んだ。




