2話 雑魚ですがなにか?
教室にはまだ先生はいない。
生徒だけだ。
それにしても、亜里沙の声がうるさい、なんとかならないものだろうか。
世界よ滅べ。
意味もなく八つ当たり。
床が光ってる。
床は別に普通だ。
光る要素なんてない。
何故光る?
私が世界を呪ったからか。
すまん、悪かった。
とりあえず謝る。
光りは収まらない。
ますます光る。
眩しくて目が開けられない。
ぎゃあぎゃあと騒ぎ立てる声や怒号が聞こえる。
ジェットコースターに乗ったときのような身体がフワッと浮く感じになる。
気持ち悪い。
こーゆーの駄目なんだよね。
苦手。
どこかで「召喚成功」とか言う声が聞こえた。
光りが収まる。
石畳の部屋。
周りが甲冑を着た人たちで埋め尽くされている。
ナニコレ。
うぉー、真ん中にいる人超美形。
高身長に肩まで届く艶やかな黒髪に赤い瞳。
あ? 亜里沙があの男性に近づいてゆく。
なにしてんだ、あの阿呆は。
あー、上目遣い。
亜里沙お得意のやつ。
あー、なんか媚びているみたい、「ちょー、すごーい」とか話が聞こえる。
誰か説明してくれる人はいないかな。
ああ、あそこに話したそうなおじいさんがいるなぁ、近づいてみようか。
「すまないが、話を聞いてくれんかね」
聞きますよ。
こっちも説明してもらわなきゃ困りますからね。
話の内容を要約するとこうだ。
この世界に魔王が蘇った。
つきましては、聖女としての称号を持つ者はこの国から軍隊を出すので、その軍隊と共に魔王を打ち倒して欲しい。
なるほど。
3K仕事ですな。
キツイ、汚い、危険。
キツイのは倒せるのがいつになるのかわからないし、また、たくさんの魔物たちが襲いかかってくるからで、汚いのは魔王の城までに宿がないところもあるだろうし、魔物を狩ったあとの返り血もあるだろうから、危険は言わずもがな魔王相手に切った張ったの世界などやってられない。
一目散に逃げなくては。
おじいさんには悪いが私にはそんな大それたことは出来ない。
ところで、聖女の称号があるかないかはどうやって調べるんだっけ。
おじいさんに尋ねてみる。
なるほど、ステータスと言えば自分の能力が見ることが出来ると。
ちなみにステータスオープンと言えば、他の人にも見えるようになるのでよほどに親しい人でなければ見せないほうがよろしいと。
なるほど、わかった。
やってみよう。
「ステータス」
【名前】宮川由菜
【種族】人族
【年齢】17
【レベル】1
【体力】25
【魔力】26
【攻撃力】12
【防御力】21
【筋力】18
【知力】17
【敏捷】12
【運】11
【スキル】生活魔法、聖魔法
【称号】大聖女
うん、出てきたね。
クッソ雑魚ですな。
問題は称号だ。
大聖女。
聖女の上位称号と思われる。
大問題。
どうやってここから逃げよう。




