16話 先生と呼ばれました
宿屋の部屋に戻り、買った服などを片付ける。
そして、食堂に行く。
もう、お腹がペコペコだ。
夕食は肉だ。
焼いてはいなくて、蒸してある。
鶏肉だ。
さっぱりしていて、おいしい。
味付けはやっぱり塩だが肉の旨みを感じる。
しかし、疲れた。
患者は多い。
明日も忙しくなるかもしれないが、今日これだけ頑張ったのだから、明日は少なくなるだろう。
聖魔法の治癒だが、魔力はほとんど使わない、使うとしたら、祈りの力だ。
神に祈り、助力を願う。
でなければ、クソ雑魚の私が、これだけ多くの患者さんを治せるわけがない。
食事を食べ終わり、部屋に戻る、途中、宿屋のご主人が肩をコキコキ動かしていたので、肩揉みを申し出る。
私も疲れているからわかるけどつらいんだよね。
肩こり。
恐縮しているご主人に強制的なかたちで肩揉みをする。
聖魔法の治癒をイメージしながら、肩揉みをするとだんだんご主人の顔が輝いてきた。
なんとなく、もう大丈夫な気がしたので、肩揉みをやめて、部屋に戻った。
ご主人がもの凄く感謝していたが、肩を揉んでくれる人がいないのだろうか。
忙しいもんな、この宿屋。
食堂もやっているし、客室の数もそこそこある。
仕事はなんだって大変だよ。
ご主人の肩揉みで気がついたけど、自分自身に治癒を使えば疲れが取れるんじゃないかな? と思いやってみた。
結果は、疲れが取れるどころか、元気になった。
なんなら、まだまだ患者さんを診れる状態だ。
こんなことなら、もっと早くにやっておくべきだった。
まぁ、いい。
明日も仕事だし、明日疲れたら自分自身に治癒をすることとしよう。
今日はもう遅いから、寝る。
朝になった。
黒パン、野菜たっぷりのスープ、生野菜のサラダ。
一昨日の朝食と同じ。
まぁ、身体にいいからいいけど。
隣の冒険者ギルドに行く。
行列が出来てるな、お年寄りが多い?
私が近づくとワッと歓声が上がった。
「先生だ」
「先生!」
「先生よろしくお願いします」
どうやら、一夜明けると私は先生になったらしい。
となると、これは治療室の患者さんかな。
午前中を考えると、この人数で限界だな。
列の最後尾の方にこれ以上並ばれても時間的に出来ないので並ばないよう断ってくれと、お願いする。
一人目はいつから待っていたのだろうか。
早く治療室を開けよう。




