10話 オーク肉
治療は明日からになりました。
早いですね、と言うと。
それだけ待ち遠しかったんだ、と言われました。
少し早いですが、宿屋に泊まります。
銀貨3枚、前金ですね。
ここの宿屋はなかなかの広さで食堂もまぁまぁ大きくて人も多いです。
実は昼食がまだだったので、昼食を食べたいんですよね。
ここはどうでしょうか。
周りの人の食べているものを見ます。
ガッツリ系ですね。
肉、肉、肉、肉のオンパレードです。
私も席につきました。
すかさず、ウェイトレスが来ました。
人気のメニューを聞くと日替わりがあるそうです。
それにしました、前金です。
銀貨1枚。
それにしても、隣が冒険者ギルドだからか、肉体派のお兄さんやおじさまが多いです。
私にとっては天国です。
ジュルリ。
実は私は、イケメンな優男より、がっちり筋肉質なムチムチボディの男性のほうが、好みなんですよね。
細マッチョも可です。
もし、日本に帰れなければ、そういう男性に永久就職するのもいいかもしれません。
もし、帰れなければですが。
そうこう考えているうちに、食事が提供されます。
木のお皿ですね、ワンプレートです。
野菜も少しですが載ってますね。
しかし、思った以上に肉が大きい。
食べきれませんよ。
私の顔と同じぐらいに肉が大きいです。
これに黒パンがついて銀貨1枚。
安すぎです。
周りをみると、皆さん平気で食べています。
おや?向かいの細マッチョなお兄さんが寂しそうですね。
お皿の上になにもありませんね。
半分、分けてあげましょう。
使っていないナイフとフォークで肉を半分に切ります。
「すみません、食べきれないので良かったら半分食べていただけますか?」
「いいのか?」
「はい、食べきれなくて残すでしょうから」
「ありがとう、遠慮なくいただくよ」
肉をお兄さんのお皿に載せます。
お兄さんが喜んでいます。
お兄さんが肉を食べ始めました。
私も食べます。
肉汁たっぷりジューシーですね、なんの肉でしょうか。
時々黒パンを挟みながら食べ進めます。
ああ、おいしかった。
ごちそうさま。
味付けは、単なる塩のみでしたが、断然、肉が良かったです。
柔らかくて、肉汁たっぷり、なんの肉か聞いておきましょうか。
手を上げてウェイトレスの足を止めると聞いてみます。
「すみません、この肉はなんの肉ですか?」
「オークですね」
「そうですか」
「失礼します」
ウェイトレスが去って行きます。
オーク、二足歩行の豚ですか。
この異世界でそんなこと気にしちゃいられない、次も食べます。
私は、元から性格は強かったので、これぐらいでは動じません。
さて、明日から治療室を開店させます。
お昼などで、休むときは入り口に、休憩時間の札を提げ鍵をかけておけばいいそうです。
だいたい忙しいのが、冒険者が帰ってくる夕方から。
丸一日休むときは休日の札を提げる。
簡単ですね。
治療室、少し埃っぽかったんですよね。
掃除をしておきますか。
隣の冒険者ギルドに来ました。
受付に聞いて掃除用具の場所に行きます。
バケツに水を汲んで。
シーツもいつのシーツかわからないですし、交換します。
窓を拭き、棚をテーブルを椅子を拭きます。
ベッドも拭いておきましょう。
扉も壁も全部。
そういえば、私、生活魔法使えましたね。
清潔魔法のクリーンで、きれいにできたのでしょうか。
「クリーン」
部屋がきれいになりました。
……もっと早く気づいていれば。
人生何事も無駄はない。
そう考えて前向きに生きましょう。




