アンコール No.5
当の本人である香は、逆に“?”という顔で愛璃を見つめてくる。
「憧れることに、キャリアなんて関係ないと思うけどなぁ〜。僕にはないものを、君が持ってた。だから僕は君に憧れを感じたの。それ以上の理由っている〜??」
「いえ……でもやっぱり……、、、いや、やっぱりなんでもないです。香さんからの言葉を励みにして、これからのお仕事頑張っていこうと思いますっ!」
2人は顔を見合せ、微笑み合う。
それを見た麗は、2人に聞こえないよう、心に耳打ちした。
「なぁなぁ心……あの2人、お似合いじゃないか……?案外くっついたりしてなw」
軽い気持ちで言った言葉だったが、麗は心の顔を見て、驚いてしまった。
「全然お似合いなんかじゃ……ねえよ!」
そう言いながら心は、少し頬を膨らまして、不機嫌そうな顔をしていたからだ。
。・:+°。・:+°。・:+°。・:+°。・:+°
ライブから数日後。愛璃は、「StarLight」の冠ラジオ“MilkyWay”の放送現場に来ていた。
NYではまだまだ知名度が低い愛璃をアピールするために、中島がラジオのゲストとして出演させてもらえるよう取り計らってくれたのだ。
日本でもラジオの仕事は経験がないため、愛璃は緊張していた。
(英語は得意だから、特に不安じゃないんだけど……やっぱり「StarLight」と一緒のお仕事ってなるとハードル上がるなぁ……!)
愛璃は部屋の前で大きく深呼吸をする。
(……よしっ!)
コンコンコンッガチャッ
「KTプロダクションの澄原愛璃です!今日はよろしくお願い致します!!」
中には、「StarLight」の5人と、数人のスタッフがいて、みんな優しく挨拶を返してくれた。
「愛璃さんっ、こっちこっち!」
中でも心は、自身の隣に愛璃を招き、ピョンピョンしている。
そんな心の隣に座ると、蘭が口を開いた。
「全員揃ったようだし、簡単に今日のラジオの打ち合わせをしようか。じゃまず、最初に確認するのは──」
。・:+°。・:+°。・:+°。・:+°。・:+°
10分程度の打ち合わせが終わり、各々がラジオ開始の準備を終えると、スタッフさんの指の合図でついにラジオ本番が始まった。
「StarLight's 53rd radio Milky Way starts!This time, we are inviting Ai Sumihara, a cute junior idol from the same office.Nice to meet you today!(「StarLight」がお送りするラジオ“MilkyWay”第53回、スタートです!今回はゲストに、同じ事務所の可愛い後輩アイドル、澄原愛璃さんをお呼びしてます。今日はよろしくお願いします!)」
「Thank you very much for your cooperation!(こちらこそ、今日はよろしくお願いします!)」
蘭さんの紹介に合わせて挨拶をすると、あっという間に「StarLight」の世界に飲み込まれてしまい、終わるのはあっという間だった。
途中返答に詰まってしまいそうになることもあったが、その度に蘭や香が自然に助け舟を出してくれたため、大きなミスをすることなく、無事にラジオを終えることが出来た。
「蘭さん、香さん、今日は本当にありがとうございました……!いい経験になりました。またお仕事ご一緒する時には、助けを借りなくていいぐらい成長してきますので、これからもよろしくお願いします!!」
愛璃は、放送を終えた部屋の前で蘭と香に感謝を述べる。
「後輩を助けるのは、先輩の当たり前の役目だよ。気にしないで。」
「一緒にお仕事するんだったら、できるとかできないとか補い合わなきゃね〜。愛璃さんも初めてなのに上出来だったよ〜♪」
そう、3人が歓談している様子を、心は暗い表情で見つめていた。