アンコール No.4
「ライブ……ですか!?」
ここは、KTプロダクション海外支部の事務所の中。愛璃は中島に、数ヵ月後にNY初ライブを行うことを告げられた。
「ええ、ライブよ!ワンマンはさすがにまだ厳しいから、KTプロが主催するNYのライブイベントに参加する形だけど……。ライブまで時間はあるし、NYでの初ライブだから、テンション上がっちゃうわよね!」
中島も、愛璃と同じくらい頬を染めて話す。
「NY初ライブ……かぁ……!楽しみだなぁ……!」
愛璃は頭の中で、ステージに立って歌っている自分を想像した。ますます心が弾んでくる。
「愛璃、明日からのレッスン頑張ります!この前見た「StarLight」のライブに負けないぐらい、最高のライブにしてみせます!!」
サファイア色の瞳を宝石みたいに輝かせ、愛璃は声高らかに宣言した。
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それからライブまで、歌やダンスのレッスンでスケジュールはパンク状態だった。けれど、それを全く辛く感じない自分がいた。……むしろ、楽しんでいる自分がいた。
──そして、ライブ当日。あっという間に、愛璃の出番はやってきて。
「Nice to meet you all in New York! My name is Airi Sumihara! I'm an idol who was active in Japan, but this is my first live performance in New York! I'll do my best, so please take care of me!!(ニューヨークの皆さん、初めまして!!澄原愛璃といいます!日本で活動していたアイドルですが、ニューヨークでのライブはこれが初めてです!精一杯頑張りますので、よろしくお願いしまーす!!)」
愛璃が、緊張半分、興奮半分で挨拶を終えると、観客席から割れんばかりの歓声が起こった。
(さすがNY……!盛り上がりが全然違う……!)
「Please listen to the first song!My debut song, "Treasure of My Color."──(それでは1曲目、聞いてください!愛璃のデビュー曲、「私色の宝物」──)」
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──無事にライブを終え、愛璃は楽屋に戻ってきた。
未だに、数分前の興奮が抜けきらない。今日は今までで1番のライブだったと自分でも思う。……けれど、愛璃の胸の内では、1つ引っかかっていることがあった。
(愛璃の出番が進んでいくに連れて、お客さんの反応が、少しだけど少なくなっていったような気がした。今のままじゃ、ダメな気がする……)
コンコンコンッ
急にノックの音が響き、愛璃の思考を中断させる。
「はい、どうぞ!」
ガチャッ
扉を開けて入ってきたのは、なんと「StarLight」の5人だった。
「え……え!?どうしてここに!?」
「どうして、って……NYでの初ライブを終えた可愛い後輩を労いに来たんだよ。」
蘭が、優しく微笑みながら愛璃の質問に答える。そんな蘭を押して後ろから出てきたのは、心だった。
「愛璃さん、すっげえよ……!なんかもう、全部キラキラしてて、ぶわあーって感じで……!とにかくすっげえかった!!」
「“すっげえかった”なんて日本語存在しないけど〜?w」
そんな心の様子に、すかさず麗がツッコミを入れる。
そんな和気あいあいとした様子を見て、愛璃は思わず笑ってしまった。
「愛璃さん……すごいアイドルだね〜。僕、今までいろ〜んなアイドル見てきたけれど、愛璃さんみたいなライブをしたアイドルは初めてだ〜。僕、愛璃さんに憧れちゃったよ〜/////」
横から急に声がしたと思ったら、すぐ隣に香が座っていた。いつの間に隣に来ていたのかわからなくて一瞬驚いたが、そんな香の行動より驚いたのは、、、
「先輩アイドルの香さんが、愛璃なんかに憧れ……!?」
Twitter⇒@Cocona_Sakuhana
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