第零話
FDW。
正式名称、Fantasy Different World。
世界初のフルダイブ型VRMMOで、今最も注目を集めているゲーム。
脳波測定という新技術により職業や種族を割り当てられ、異世界をモチーフにした仮想現実で冒険や戦闘、生産など自由に生きることが出来るーーーと言うのが売り文句。
僕、月代 稲葉は異世界モノ、それも人外が大好きなのだ。
ライトノベルや文庫小説などもしこたま買っているし、妄想なども人には言えないくらいたくさんしている。
でも、自分が特別な人間では無いことは分かっているつもりだ。
僕はこの世界には神様に選ばれた特別な人間と、選ばれてない普通の人間がいると思っている。
前者は頭が良い人とか運動が出来る人とか、後努力が出来る人とかかな。僕の妹もこちらに入る。
そして後者は僕のような無個性な人間。圧倒的に少ないと思う。
閑話休題
まあ僕はダメ元で挑戦してみた。
大好きだからね。
結果は………選ばれ無かったけど。
そうしたら何と、落胆していた僕に妹、月代 可夢偉が当選したアカウントを渡してくれた。
その時のやり取りがこちら。
「兄ぃ、はい」
「かむちゃん…どうしたの?これ」
「別に。余ったから」
「これ僕にくれるの?」
「だから、はい」
なんともまあ、素っ気なくてとても優しい自慢の妹だ。
こうして僕は色〜〜〜〜〜んな事を重ねて異世界に行けるようになった。
かむちゃんには感謝しかない。
さて、諸々の準備をしてから、いざ!異世界に!