五話
逃げて、逃げていた。
逃げる相手はおっきい熊。大きい熊から逃げていく。
「はあ……はぁ…はあ。」
もうどれだけ逃げたのかわからない。息が上がって目の前が見えなくなる。転んだ。
「あっと。」
膝を擦りむいて鈍い痛みがしつつ私は今までの過去を回想していた。
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私は静岡県に住むどこにでもいる普通の高校生だった。それまでの私はそこまでゲームを嗜んではいなかったしそれほど熱中する部活があるわけでもなかった。
そんな私に突然父は突然ゲームを買ってきた…ううん厳密には、くじの懸賞を当ててきたみたい。
(まあ正直乗り気ではなかったのだけど)
父の満面の笑顔を見ていたらそんなことどうでも良くなっていた。
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ゲーム開始十分前私は物凄くドキドキしていた。世界初の換金システムのあるゲームであり同時に世界初の王道ファンタジーゲームだったからだ。私はそこそこにはそういう王道のゲームが好きだった。
開始まで残り九分。ごくり。
開始まで残り八分。じー。
開始まで残り七分。ドキドキ。
開始まで残り六分。うヴう~。
開始まで残りごふガチャ「静ー。」「ふぎょはっ!」「夜更かしせずに寝ろよー。」「うん。」ガチャ
なんだか出鼻をくじかれてしまった感があるが残り0分ゲームを始めることにする。
「バーチャル・イン。」
『どのゲームを始めますか?』
→ストーリーズ・メモリア
Yesを選びゲームを始めることにする。
『まずお名前を決めてください』
後からでも決められるらしいので後から決めることにする。
『では種族をお選びください』
→人族
→獣人
→樹人
→鉱人
→龍人
→竜人
→小人
→魚人
一つずつ特徴があるみたいなので確認していくことにする。
まず人族の特徴はステータスが平均的なことと自由に割り振れるステータスポイントが8と若干高めなことで種族スキルは道具適正というスキルで道具全般の扱いに効果があるスキルらしい。獣人はいろんなタイプがいて種族スキルは獣化といって対応する動物などの種類に応じたステータスを一時的に高めるスキルらしい。樹人は魔法関係の能力が高くて種族スキルは魔力親和といって魔力に対する親和性を高めるスキルらしくてステータスポイントが14と高い、龍人は耐久力関連の能力と魔力、MPが高めでステータスポイントが0なのが特徴らしく種族スキルが龍の目といって魔力を可視化するスキルらしい。鉱人は器用の能力が高くてステータスポイントが7と少し低い。種族スキルは審美眼でものの良し悪しを見極めるスキルらしい。竜人は生命力と魔力関連の能力が高くて種族スキルは竜化|(幼体)といって一時的に幼体の竜になるスキルでステータスポイントは5と低いらしい。小人は器用と敏捷が飛び抜けて高くステータスポイントは8と少し高く種族スキルは知識人と知識関連のスキルに補正が入るスキルらしい。魚人は魔力のステータスが高くステータスポイントは14と多いみたい。種族スキルは水中でも呼吸できる水呼吸だ。
色々迷ったが、道具適正が欲しかったので種族は人族にすることにした。
名前
シノビ
種族
人族LV1
職業
忍者LV1
HP50
MP50
生命力12
筋力12
耐久力12
敏捷14
器用18
魔攻12
魔速12
抵抗力12
魔力12
スキル
《道具適正LV1》《苦無LV1》 《罠作成LV1》 《隠密LV1》 《手裏剣LV1》 《短刀LV1》 《投擲LV1》 《逃走LV1》 《裁縫LV1》 《追跡LV1》
わたしはゲームを始めることにした。
ゲームを始めるとあたりにはレンガ造りの建物が広がっていた。超広い。ゲームなのに。すごい。でもどこ行ったらいいか分かんない。広い。メニューを開いてみる。「メニュー。」おお凄い、でた。資金を確認する。一万コルらしい。結構多い。買い物をすることにした。
色々見た結果落とし穴罠作成キットと向日葵の髪飾りを買った。合わせて4500コルだ。いよいよ冒険だ。東の門から出発する。
しばらく歩いていくと大きな森に出た。ちょっと入ってみることにする。
《追跡》を使って足跡を探してみると見つかったので追ってみることにする。
足跡可視化
足跡を可視化する。
緑色に光る足跡を追っていくとたくさんの足跡が集合しているところに出た。落とし穴罠作成キットを使い落とし穴を掘っていくことにした。
その後は何体か落とし穴に落ちた魔物を倒すので一日が終わった。
『追走スキルがレベルアップしました。罠作成スキルがレベルアップしました。罠作成スキルがレベルアップしました。隠密スキルがレベルアップしました。苦無スキルがレベルアップしました。短刀スキルがレベルアップしました。投擲がスキルレベルアップしました。罠作成スキルがレベルアップしました。手裏剣スキルがレベルアップしました。投擲スキルがレベルアップしました。短刀スキルがレベルアップしました。気配察知スキルがレベルアップしました。隠密スキルがレベルアップしました。罠作成スキルがレベルアップしました。』
その次の日も木の上で魔物が落とし穴にかかるのを待っていた時アレは現れた。
「ひっ。」
怯んでつい足を踏み外した。
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「はぁっはあ…はぁ。」
走りながら思う。だってあれ熊じゃん、と。
熊が出てきたら普通怯むじゃん、と。
「はあっはあっはぁ。」
あれから数十分走り続ける私は相当に疲れていた。