十三話
35位入りました。ありがとうございます。
「サヤちゃん、どうしたの?」
「んーいや、何でもない。」
――回想
文堂沙耶十五歳。私は普通の女子中学生だった。
剣道を始めたのは四歳からで最初から割と楽しくやれていた。
十歳になった頃、兄が引きこもりになった。
その日は母も父も何やら話し込んでいた。
私は兄を家族だと思っていたし、兄も私のことを家族だと思ってくれていた。
中学生になる頃にはいろんな賞を貰うようになっていたし、剣道の全国大会に出場した。
全国ではベスト16入りのベスト8落ちだったし、負け方もその年の全国大会覇者とぶつかって負けるという普通なものだった。
そんな時だ、私がストーリズ・メモリア略してストメモのベータテストプレイヤーに選ばれたのは。
「わあ。」
広い世界に現実と見まごうような街並み、この素晴らしい世界に私はすぐ魅了されてしまった。
仲間もできベータテストも二週間を超えようかという頃仲間を集めてギルドを作ろうという話が持ち上がった。
このゲーム正式のギルドを作るためには王都まで行って申請をしなければいけないようだったが、別に何の制限があるわけでもないので自分たちで勝手に名乗っちゃうことにした。
ギルドを作る会議でニーナちゃんが、
「どうせなら女性専門ギルドを作ろうよー。」
と言い出したのでこの世界でどう立ち回ったらいいか悩んでる女性プレイヤーも多かったので、どうせなら作っちゃうことにした。
ヴァルキュリアという名前は女性専門のギルドという事でニーナが提案したのをそのままつけることにした。
それからギルドヴァルキュリアは急成長を果たしプレイヤー間ギルドでナンバー2のギルドになった。
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「サヤどうかしたの」
「んーいやホント何でもない。」
何ともなしに昔に思いをはせていたら仲間たちを心配させてしまった。頑張らないと。
今回の討伐戦は他ギルドと共同でやるものになる。討伐…そう討伐だ。
(土塊の巨人をやっつけるんだよね。)
今回の討伐戦はユニーククエストという部類になる。クリアすると参加した全員に一から三十のスキルポイントが手に入る。
今回の共同作戦は各ギルドの人数不足が関係している。
このゲームの初回生産数は二千。ベータテストが千、新規販売が千の合わせて二千台となっている。
初回生産から一週間後の発売がベータテストが九千、新規販売が千の合わせて一万となっているので現在のベータプレイヤーはベータテストの時の十分の一となっている。
そんな感じなのでどこも人手不足でトップギルドのナンバー1からナンバー3の百鬼夜行、ヴァルキュリア、マジカルイージス、に他トップギルドの面々が勢ぞろいすることとなった。
まず会議で各々の動きを確認した後一気に周りの魔物を倒しつつ土塊の巨人の討伐戦に移ることになる。
「今回はよろしく頼む。」
今話をかけてきたのが百鬼夜行のリーダーにして去年の剣道全国大会の覇者のコトハ、本名 凩燈葉である。
「まあ気楽にやろねん。」
今度話しかけてきたのはマジカルイージスのリーダーヨルムだ。名前の元ネタはヨルムンガルドからきているらしい。
その後会議で言われたことを要約するとこうだ。
一各ギルドのタンクが巨人の進行を止める。
二その隙をついて魔法役が魔法で巨人のHPを削る。
三軽戦士等が横から遊撃する。
四以下この繰り返し。
段取りの確認も済んだので早速巨人の討伐に行く事にする。
巨人の出現に伴いモンスターも大量発生しているので道中それも倒しながら土塊の巨人に向かって進んでいく。
巨人のもとへたどり着くと既に巨人のHPバーは九本中六本になったところらしかった。
早速巨人との戦闘を開始する。
しばらく戦闘してみて分かったことがある。
(めちゃくちゃ硬い。)
硬い。硬いのだ。
(魔法は効いてるみたいだけど。)
そんな感じで戦闘を続けていると戦闘に割り込んでくる人たちがでてき始めた。
ある者は姿を鬼に変え、ある者は複数の魔法を同時に操り、そしてある者は紫色の結晶を投げ。
「あっ。」
その中の一人によく見知った顔を見つける。
「お兄ちゃん!」
それは私の兄だった。




