くっころ!
第6話「くっころ!」
「魔王様、少し森へ散歩に出掛けませんか?」
朝起きたらいきなりアリシアさんにこう言われた。
これは!も、も、もしかして!
デーーート!!!!!
「え、あ、もももちろん!俺はいつだって大歓迎だよ!」
「???そうですか。でしたら、にわに植える木を選びたいので、支度をしていただけますか?」
「あ、うん。そうだね。」
ぐすん。どうせ、俺は彼女いない歴=年齢のヒキニートですよ!
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「なかなか、良さそうな木がありませんね...」
「あー、そうだな...」
「大丈夫ですか?魔王様?どこかうわのそらなような...」
「気のせいだよ、気のせい。」
はーー、かれこれ二時間半くらい木を探してる。朝の心の傷を引きずりながら。
道は獣道のようなものしかなく、時々つまずきそうになる。
アリシアさん、こけてラッキースケべとかならないかなぁ。
「魔王様、見てください!」
ん?どうしたんだい?
...え、ナニアレ。
「くっ、殺せ!」
フォーー!O.N.A.K.S.I.きたーー!
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「では、何故、あんな所で穴に落ちていたのか。教えていただけますか?」
そう、はまっていたのである。
俺は女騎士の姿を見降ろしていた。そこで気づいた。
穴に落ちとるやん!
「い、いや、別にはまっていたわけではないのだ。勇者が魔王領に行くというから私も追っかけ..助太刀しようと思ってきたのだ!」
いま、追っかけって言ったよな?
クソ!勇者め!アイツも女の癖に女のファンなんて羨ましいじゃないか!
「勇者でしたら、すでに帰られました。」
「え、そうなの?」
「そうです。ですので、とっと帰って下さいますか?」
アリシアさん、怖っ!
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「そういえば、言い忘れいましたが、魔王様にも追っかけのようなものがいたんです。」
「え?そうなの?」
「はい、魔王様の演説を聞いて私だけでなく、他の女性たちも感動したんです。」
そうか、みんなにちゃんと想いが届いたのか...
「今は、人を選りすぐり、第16部隊、通称、
「魔王様愛し隊」と呼ばれています。」
へー、グヘヘ。魔王様愛し隊ってことは何してもいいんだよな?あんなことやこんなことも...おい、誰だ。今、ヘタレには無理だって言ったやつ。先生、怒らないから手を挙げなさい。
「じゃあ、今度見に行ってみようか。」
「え?わかりました...」
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「では、ここが、魔王軍第16部隊となります。」
...ヤバい、緊張してきた。
どうしよう。やっぱ帰ろうかな。
「何してるんですか?早く入りましょう?」
コンコン
「あっ、ちょっ。」
「はーい。どなたですか?え?魔王様?」
「あ、うん。魔王だよ。」
「え?本物?え?私達の所に?..キュー」
バタン
「ちょっ、大丈夫ですか!しっかりして下さい!」
「もう、うるさいわね。なにをして...え?
魔王様?...キュー」
バタン
「え?ちょっとどうしたんですか!しっかりして!」
いったい、なにがどうなってるんだ...