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第77話 僕は守れなかった

 僕が祭場にたどり着くと、先に避難していた人々からパラパラと歓喜の声が上がった。


「クルス様の凱旋だぞ!

 みんな拍手だ!!」

「傷一つ無い! さすがはクルス様!」

「じゃあ、私達は村に戻れるの?」


 違う、違うんだ。


 僕は仲間の犠牲と詐術で生き延びただけだ。

 あなたたちに褒めてもらえるようなことは何もしていないんだ。


 最初は沸き立っていた人々だったが、凍りついたような僕の顔を見て、やがて誰も声を発さなくなった。

 僕は事務的に騎士団長に状況を伝え、様子を見て下山する方向で話をまとめる。


 その後、僕のもとにメリアが駆け寄ってきた。


「クルスさん……何があったんです?」


 メリアの問いに僕は震えながら、


「ベイルバインと……が、ガルムが……殺された……

 僕の……眼の前で!」


 そう言って僕はメリアにしがみついた。

 僕は涙を流さない。

 そんな機能はないと思っている。

 だけど心が乱れて、メリアの存在を感じていなければ意識が保てそうにない。


 ガルムは良いヤツだった。

 勇敢で優しい、英雄のような心を持っている人間だった。

 あんな無惨な死に方をさせていい人間じゃなかった。


 ベイルバインは非道だった。

 だが、死に際で母親に助けを乞うていた。

 あの傲慢な男が子供のように。


 死は恐ろしい。

 自分の身に降りかかるのも、他人のそれを目にするのも。

 人間ならば、生き物ならば原初的に持っている感覚を僕はようやく習得したのだ。


 そんなみっともない僕の背中をメリアはやさしく叩いてくれる。


「辛かったですよね。

 悲しかったですよね。

 苦しかった、悔しかった」


 僕の感情を代弁するようにメリアが言葉を紡ぐ。

 その声音の優しさに僕はメリアと過ごしていた日常を思い出さされ、少しずつ心の乱れが収まっていく。


「でも忘れないでください。

 ここにいる人達はみんなあなたに命を救われた人達です」


 メリアの肩越しに人々を見渡す。

 兵士と民間人を合わせて200人程度……


「そして、その一つ一つが、かけがえのない命です。

 クルスさん。

 あなたの命がそうであるように」


 メリアの心臓の音が伝導する。

 生きていることを示す音。

 大丈夫……大丈夫だ。


 僕はメリアから離れる。


「すまない。取り乱した」

「いいですよ。

 私はクルスさんの鞘ですから。

 いつだって、包んであげます。

 ……でも、人前は少し恥ずかしいので次からはこっそりと」


 メリアはそう言ってはにかんだ。

 僕も情けなさと、恥ずかしさで顔を覆った。


「フハハハハハハ! 面白いものが見れたな」


 ブルッ、と体を震えた。

 背筋がしびれ、神経が過敏になり肌が粟立つ。

 ホムンクルスに備えられた危機察知のための感覚が、僕に危機を知らせる。


 怯えながらゆっくりと振り向くと、そこには何もない荒れた岩石地帯だったのだが、グニャリと空間が歪み、先程の魔族とオーガを始めとする魔物の群れが現れた。


 いきなりの敵軍の出現にその場にいる人々はパニックになり、切り立った岩壁に追い込まれるようにして寄り集まっている。


「ずっと……尾行していたのか?」

「ああ。お前は嘘をつけると自分で言っていたからな。

 そんな奴の言葉を真に受けるわけ無いだろう」


 赤い魔人は口角を上げてニヤつく。

 僕は自分の失言を省みて歯ぎしりをする。


 敵の数は未だに100体を超える。

 その中には強力なオーガが健在で強大な筋肉を膨らませながら僕や後ろにいる人間たちを値踏みするように見渡している。

 避難民や警護兵たちは僕のいる場所から30メートルほど後方の岩壁に集まっている。

 そして、僕のすぐ後ろにはメリアが、あんぐりと口を開けて魔人を見つめていた。


「メリア……下がれ。

 みんなのところに行け」


 僕は振り絞るように声を発するがメリアは動かない。

 恐怖ですくんでいるのかと思い、もう一度命令しようと思ったその時、


「この魔族……アイゼンブルグを陥落させた魔族です……」


 メリアの言葉に僕は愕然とした。


「ほう。貴様、アイゼンブルグの生き残りか?

 あの街のものは赤子の一人に至るまで根絶やしにしたはずなのだがな。

 どうやって逃げられたのか、その体に聞くことにしようか」


 魔族のその言葉に体が熱くなる。


 怯えを殺せ! メリアを守るんだ!


 僕は自分を奮い立たせて剣を抜く。

 魔人との距離は10メートル強。

 間合いに入るためには敵の意表をつかなくてはならない――


「メリアにも因縁がある敵のようだな」

「ええ。何度も夢に出てきました。

 アイゼンブルグの街を血と炎の海に沈めたあの悪魔が……」


 メリアは震えながらも、じっと魔人を睨んでいる。

 彼女の怒りがそばにいる僕にも伝わってくる。

 ならば、


「上等だ! いっちょブチかましてやろうか!」


 僕はソーエン語でメリアに語りかける。


「オウ! イワしてやんぞ! ワレ!!」


 メリアもソーエン語で返してきた。

 魔人は首をかしげる仕草を見せる。

 どうやら崩れたソーエン語は理解できないようだ。

 僕は小声でメリアに指示を出し、ゆっくりと魔人に向かって歩きはじめる。


「獣の嗚咽みたいな汚い言葉を使いおって……

 まあ、良い。

【ディア・ネイル】」


 魔人がそう唱えると、ガルムを殺した胸の牙がせり出した。

 だが、僕は構わず歩みを進め、あと一歩で敵の間合いに入るというところで足を止めた。


 そして、僕は自らの膝を抜くようにして、その場にしゃがみ込んだ。

 と、同時に僕の頭のあった場所を通過してメリアの閃光石が投擲された。


 魔人はたかが小娘の投げる石ころと侮り、避けようとも守ろうともしない。


 かかってくれた。


 ドカンッ! と魔人の額に直撃した閃光石は爆発する。


「ヌオっ!?」


 驚いたような悲鳴を上げて、魔人は仰け反る。

 そのスキをついて僕は奴の側面に回り込み、背中から腹にかけて剣を振り抜く。


 ズガガガガガッ! と強靭な肉体を掘るように刃は進み、奴の体を通り抜ける。


「やあああああああああっ!!」


 右へ左へ、上へ下へ、袈裟斬りに逆袈裟、全力で奴の体に斬撃を叩き込む。


「な……なんと……」


 魔人の腕や頭に生えた羽がハラハラと葉や実を落とすように地面に落ちる。

 周囲の魔物たちも長がやられたことで、どよめき始める。


 勝った――と確信して、首から落ちる魔人の頭を見つめていた。

 だが、落下しながらもその顔は笑っていた。

 頭が地面に着く、その直前、奴の口が動く。


「【ビルム・レヴィン】」


 魔人の唱えた詠唱は莫大な魔力を発生させた。

 その魔力はバラバラに刻まれた魔人の体をつなぐように伸びて、体の破片を引き寄せて収束した。

 そして、継ぎ目すら無く完璧な肉体を取り戻した魔人は僕を見下ろしていた。


「【ヘカト・アトム】」


 魔人がそう唱えると、全身が鉛になったかのように体が重くなって、僕は地面に押し付けられ、岩盤のような地面がメキメキと僕の重みで沈んでいく。


「ククク……いい剣にいい腕だ。

 それを讃えて、お前を壊すのは後にしてやる。

 いや、むしろお前に興味が湧いてきたと言ったほうがいいな」


 魔人は地面に這いつくばる僕の頭のすぐ近くに立ち、足で僕の頭を踏みつける。

 砕けた石のかけらが口の中に入った。

 そして、僕の頭を転がすようにして横向きにする。


 僕の視界には怯えるメリアや追い詰められた人々が映る。


「逃げ……ろっ! メリ、アッッッ!!」


 なんとか絞り出した言葉はかろうじてメリアに届いたようでメリアは踵を返して後ろに向かって走り出す。


「やれ」


 そう、魔人が発すると、ゴブリンやオークがメリアを追いはじめる。


「きさ……まっ!!」


 僕は魔人に怒りの言葉をぶつける。

 だが、体は一切動かない。


「お前は人形にしては強すぎるし、嘘も吐くし、人との接触を求めたりもする。

 オレは好奇心が旺盛でな。

 お前が次に何を見せてくれるのか、楽しみでならない。

 たとえば――親しい人間が目の前で泣き叫びながら死んでいくのを目にしたら……

 フフフ……ああ、楽しみだ」

「あ……あ、あああぁ……っ!」


 感情は今までにないくらいに猛っていて、頭を踏みつけるこの魔神に対する殺意に満ちている。

 なのに体が重すぎて言うことを聞かない。


▽*+*+:*+*+:*+*+:*+*+:▽

【転生しても名無し】

『ああああああ!!

 ホムホム頑張れええええええ!!』


【転生しても名無し】

『重力操るとかそんな奴!?

 なんか破る方法ない!?』


【◆助兵衛】

『ねえよ。あんな芸当、俺達の世界にはないだろうが』

△*+*+:*+*+:*+*+:*+*+:△



 メリアを追いかけるゴブリンの手が彼女のズボンの裾を掴む。

 前につんのめって倒れ込んだメリア。

 その背中にオークがのしかかろうと――


「突撃いいいいいい!!」

「うおおおおおおおおおお!!」


 騎士団長の号令とともに兵士たちが武器を構えて突撃する。

 メリアの周りにいた魔物たちが槍で貫かれて絶命する。


「帝国軍人をナメるな!

 魔物どもめ!!」


 騎士団長は自ら先頭に立ち、剣を振るって魔物を打倒していく。

 その気迫にゴブリンやオークといった下級の魔物たちは気圧され次々に殺されていく、


「ほほう。なかなか骨があるな。

 さすがは我らと代々戦い続けてきた帝国の兵たちよ」


 魔人は感慨深そうにつぶやくが、


「だが、超越者イレギュラーでもないただの人間に出来ることは虚勢を張るぐらいだな」


 その言葉の通り、オーガたちが戦闘に参加し始めると一気に形勢は逆転する。

 兵士の振るう武器はやすやすと掴み取られ、腕力に任せた攻撃に砕かれ、潰され、引きちぎられていく。


「うっ……あ、ああ……」


 言葉にならない声が漏れるだけで僕は腕一本動かせない。

 5分も立たない内に兵士たちは皆殺しにされ、最後に騎士団長の頭がオーガの口に呑み込まれ、噛み砕かれた。

 避難民たちはその場に崩れ落ち、排泄物を垂れ流したり、気が狂って笑い転げる者まで出始めた。


 絶望が人間たちを追い詰める中……一人だけ、目の輝きを失わない子供がいた。


「お、王子! 危のうございます!」

「今更なにを!

 もはやここまでだ!」


 ダリル王子はそばにいたリムルの手を払い、人々の先頭に立った。


「我が名はダリル・フェルマータ・イフェスティオ!

 イフェスティオ王家に名を連ねるものである!!」


 ダリル王子は高らかにそう宣言する。

 彼の目には恐怖はない。

 ただ、悔しそうに小さな唇を歪めている。


「子供ながらに上手に名乗れたものだな。

 王子殿」


 魔人は愉快そうに笑う。

 ダリルは魔人をキッと見つめて、


「魔なるものよ、貴様に問う。

 なぜ、罪なきものが暮らす街を焼く!?

 なぜ、我々から平和を奪おうとする!?

 貴様らはなぜ……人を殺す!?」


 王子の叫びは純粋だった。

 怒りや悲しみのような感情ではなく、ただ知りたいという気持ちで言葉を発されている。

 そのダリル王子の態度に、魔人は不敵な笑みをやめる。


「王子よ、貴様の住む部屋にウジ虫は湧いておらんだろう。

 食事にハエはたかっておらんだろう。

 布団にカビは生えておらんだろう。

 それは貴様の親たちが家臣に命じて、そのように環境を整えたからだ」


 魔人はまるで大人が子供を諭すように穏やかに言葉を紡ぐ。


「我々魔族にとって、貴様ら人間はウジ虫であり、ハエであり、カビだ。

 貴様らのいない世界が我々にとって心地よい世界というものなのだ」

「……なるほど、仲良くは出来ないのだな」


 ダリル王子は落胆する。


「英雄の末裔よ。その片鱗、しかと見たぞ。

 せめてもの手向けだ。

 我が手にかかって……死ね!!」


 魔人の手からダリル王子に向かって、鋭利なナイフのような魔力の塊が放たれ、飛んでいく。


 僕の目にはスローモーションに見えた。


 幼い目はその魔力を目で追うことすら出来ず、魔人をじっと睨んだまま。


 小さな体の小さな頭に吸い込まれるように魔力は突き進みーー


 ドスッ! という柔らかい肉を貫くような音がした。




 血が舞った。





 倒れた。





 ――――誰が?



 飛来する魔力にダリル王子は反応できなかった、リムルも他の避難民も動けなかった。


 だけど、動いた。動いてしまった。


 前にいる人をかき分けて、地面を蹴って、ダリル王子の体の前に飛び込んだ人間がいた。


 ダリル王子はその人の血を顔に浴びた。


 その人は血を流して倒れている。




 誰が?



「アルメリア様ああああああああああ!!」



 リムルの叫び声が僕の耳を打つ。

 すると、僕は我に返る。


 アル……メリア?


 ダリル王子の目の前には腹に魔力の塊が刺さり血を流し横たわる……メリアがいた。

 メリアが、傷つき、血を流している?



▽*+*+:*+*+:*+*+:*+*+:▽

【◆与作】

「ホムホム!! いつまで寝転んでるんだ!!

 しっかりしろおおおおお!!」


【転生しても名無し】

『動け! 動け! 動けよおおおおおお!!』


【◆まッつん】

『頑張れ頑張れ頑張れ!』

△*+*+:*+*+:*+*+:*+*+:△



「う……あああああああああああっ!!」


 メリア……メリア……メリアぁぁ……


「勇敢だったな。貴様の女は」


 だった――なんて言葉を使うな。

 メリアは勇敢だ。

 これからもずっと……


 歯を食いしばって拳を握り込む。

 僕は成長し続けている。

 旅が始まった頃、ただのホムンクルスに過ぎなかった僕は今や超越者イレギュラーに匹敵する力を得た。

 だったら今、この窮地を抜け出してメリアのもとに駆け寄る力だけが欲しい!!


 だが、僕の願いは叶わない。

 メリアの腹から命が流れ出るように血が滴っている。

 僕はその血を止められない。


「苦しむ姿を見るのが辛いか?

 ならば、終わらせてやろう」


 魔人はメリアに向かって手を突き出し、オレンジ色の火の玉を作り出す。


「さあ、死ね―――――ン?」


 魔人の様子がおかしい。

 手に集めた魔力を放とうとせず、ピクリとも動かない。


 それは僕にとってチャンスだった。

 同時に発生させた火球の魔術に魔力を取られている上に、何かに気を取られたことで、僕にかけられた魔術にかすかなほつれが生まれた。


「くっ……おおおおおおお!!」


 全身を引きちぎられそうになりながら、僕は立ち上がった。

 魔人は気づき、慌てて僕の方を向いた。


「しまっ!?」

「【ライト……スティンガァァァァァァ】!」


 右拳に魔力を集中させ、魔人の胸を殴りつける。

 同時に拳から発するライト・スティンガーが魔人の体に風穴を開け、後方に吹き飛ばした。


「メリア……メリあぁ!」


 僕は吹き飛ばされた魔人を一瞥もせず、メリアに駆け寄り、地面に膝をつく。

 メリアの傷は重傷だ。

 腹部を貫通し、内臓や血管をズタズタに引き裂いている。

 即死しなかったのが不思議なくらいだ。


「……すまない……メリア……

 僕は……君を…………」


 命が尽きようとしているメリアを前に、僕は自分が壊れていくのをたしかに感じていた。

 何の意味もない悔恨と懺悔を彼女に聞かせることに意味なんてない。


 なのに……メリアは微笑んでいた。


「なんて……ひどい……顔をして……」


 口から血を流し、息も絶え絶えにメリアはつぶやく。

 僕はその言葉を逃さないよう、彼女の口元に耳を寄せる。

 そして、聞き取った彼女の言葉に僕は困惑する。


「……やりましたよ。

 この戦い……私達の勝ち……です」


 意識が混濁しているのか?

 と、思ったその時だった。


 僕とメリアの体に、いや、僕らの周囲の空間に影が落ちたのだ。


 ゆっくりと顔を上げた僕の視界に飛び込んできたのは、真紅の肉体を持つ巨大な龍だった。


「グオアアアアアアアアアアアア!!」


 大地を震わす災害のような咆哮を上げながら、竜は……ギャオスは僕らのもとに降り立った。


「グルルゥ」



▽*+*+:*+*+:*+*+:*+*+:▽

【転生しても名無し】

『メリアちゃんが傷ついて倒れていることに悲しんでる……』


【◆助兵衛】

『……メリア、昨日あの温泉に行ったって言ってたな。

 それってもしかするとーー』

△*+*+:*+*+:*+*+:*+*+:△



 ギャオスはメリアをその瞳でじっくりと見つめた後、視線を僕に移し、小さく唸った。



▽*+*+:*+*+:*+*+:*+*+:▽

【転生しても名無し】

『「クルス。あーしの声を人間どもとそこのクソ魔族どもに分かるよう訳せ。

 できるだけ強い言葉を使ってね」って言ってる』

△*+*+:*+*+:*+*+:*+*+:△



 僕は頷いた。

 すると、ギャオスはダリル王子の眼の前に頭を伸ばし、見下ろして唸る。


「よ……『弱き者よ。力が欲しいか?』

 と竜は言っている」


 僕はギャオスの軽い口調をそれらしく訳す。

 すると、ダリル王子はキッとギャオスを見つめ返し、


「欲しい!

 この場を切り抜ける……いや、帝国の民と地を守る力が欲しい!」


 ダリル王子は毅然とした態度でそう言った。

 すると、ギャオスは頭を地に伏せ、小さく嘶く。


「『よかろう。我がこうべに乗ることを許す』と言っている」


 ダリル王子は僕を怪訝そうな目で見つめる。

 だが、僕が頷くと、


「承知した」


 と言って、短い手足でよじ登るようにしてギャオスの頭に昇り、2本の角をギュッと握り、襟巻きのような放熱板に足を置く。

 ギャオスは首を持ち上げて、その場にいる人間と魔物の群れを見下ろして、吠えた。


「『我が名は古代竜ギャオス!!

 古の時代より火の山に君臨する守護神である!!

 この地を司る英雄の末裔とその民草のためにこの力を貸そう!!

 ……この地を土足で踏み荒らし、我が友を傷つけた魔なる者よ。

 煉獄の熱に焼かれ、その罪を贖え!!』」


 そして、ギャオスは大きく口を開け、灼熱の息吹ブレスを魔物たちに放った。

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