表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
9/114

第六幕 逃げ切ったと思ったのに

やっぱ、旅と言ったらこれでしょ?


片手に袋を抱えながら右手に持っているそれを頬張ると、口の中に甘ずっぱさが広がっていく。

ん〜、うまっ。この国の特産物のララナという果物を煮詰めて入れたパンらしく、ここでしか食べれないらしい。

その国でしか食べれなかったり、見れないものを見たりしないと旅をした気になんないよね。



ここは大国『ギルア』

さすが大国というだけあって、とにかく人や建物がやたら多くてごみごみしている。うちの国とは大違いだ。


ハイヤードは、何も無い――じゃなくて自然豊かな所。

だから、こことは正反対。


んでもってそんな大国になんで私がるのかというと、よくわかんない。

馬に乗って逃げる最中、突然友達に貰ったネックレスが光って気づいたらここにいた。

いきなりの瞬間移動に驚いたけど、逃げられたから別にいい。


『ハイネ』ってば、このネックレスになんかしたのかな?

ハイネは、魔術師なので魔法が使える。

だから、転移魔法でも施していれば移動する事が可能だ。


「騎士達今頃、プレサの近くの町探してるんだろうな〜」

そんでもって、目撃情報なくてパニくってるはず。

彼らが血眼で探しているのを想像しちゃって、少し罪悪感というものがわいてきてしまった。

……無事ですよって事だけは教えておこうっかな。

だってさ、減給とかクビとかになったら可愛そうじゃん。

悪いのバーズ様なんだし。


残っていたパンを口に放りこむと、掌で円を描くようなしぐさをする。

すると淡いピンクの色の蝶が何処からともなく現れ、指先に止まった。

「一応無事だからって伝えて」

そう言うと、その蝶は私の周りを一周すると飛び立っていった。



さて、今度は何処の国に行こうってかな〜っと。

教会前の噴水に腰掛け鞄から地図を出すと、それを眺める。

地図には所々バツが付いてあって、私はその国には行けない。

その時、何の前触れも無く頭の中に声が響き渡った。


『シルク様』

声は聞こえるが、姿は見えない。

精霊が宿るのは自然の中だけでなく、古い建物や物にも宿る。

この辺りで古い物と言えば、この後ろの教会ぐらい。

おそらく十中八九そこだろう。


あの教会にいるのか――


会いに行こうか迷ったが、まず話を聞く事にした。

「どうしたの?」

『あの赤い服を着たご婦人の店の壁際をご覧下さい』

は?壁際?

じーっといわれた方向を見ると、男の子が壁に隠れるようにして見ている。

四・五歳ぐらいかな。

服もかなり上等の物を着ているから、たぶんどっかの貴族の子供だろう。

その子供は私と目が合うと落ち着きなく視線を彷徨わせては、またこっちを見る。

私が近寄ると体を右に行ったり左に行ったりした。


「何か用かな?」

しゃがんで視線を合わせる。

細いブラウンの髪に、青い瞳。かなり色が白い。


「さっきの」

さっきの……ああ、もしかしてアレ見てたのか。

前と同じようにして、手から蝶を出しその子の指先に乗せてあげた。


「あげる」

「ほんと!?」

すると強張らせていた顔から、笑みがこぼれおちる。

おっ、可愛い。


「これ私の意識だから、時間断つと消えちゃうけどね」

そう言ってその子から離れようとした時だった。

本日二回目の包囲にあったのは。









評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ