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第三十九幕 お土産屋さんにて

「――あ」

「ん?欲しいのでもあったのか?」

突然店内の一角を見つめたまま立ち止まった私に、シドが尋ねてきた。

私達の周りには、色とりどりの宝石達が棚やクロスのかけられたテーブルにディスプレイされている。

それらはピアスやネックレスに加工されているものや、原石など種類がさまざまだ。


ここは、アルル国の都市にある宝石屋さん。

さすが宝石の国とも言われているだけあって、数件ある宝石店もお土産屋さん感覚で気軽に入れる雰囲気なの。

値段も市場よりも安く、私達みたいな観光客も多い。


もちろん、宝石だから手がでないぐらい高い物もあるよ?

そういうのは、大抵ガラスケースに入れられている。

さっきもすごく欲しいって思ったブローチが高かった。


あのブローチ可愛かったんだけどなぁ。

私、シンプルなワンピースとか着るから合わせられたし。

それは赤い宝石が組み合わされて花をデザインしたブローチ。


すごく気に入ったんだけど、メイドのお給料で3年分でも買えないぐらいの金額だった。

まぁ、ガラスケースに入れられている段階で値段高いことに気づくべきだったよね……

私はまだあきらめきれずに、店内の中央に配置されているガラスケースをみつめた。

三年分かぁ……――

未練がましく見つめていたが、なんとか断ちさっき見つけた宝石の方へ足を進めた。


「これリクに合うって思ったの」

そう言って棚からそれを取りシドへと見せる。

それは、透き通った湖の色をした宝石のピアス。

リクの瞳の色が青だから、この水色だと綺麗に引き立つんじゃないかな~って思ったの。

値段もお菓子一箱分ぐらいの値段だし。


「でも、王子様にこの値段って失礼かな?」

なんか、王子って高そうな物身につけてるじゃん。

弟のラズリも王子だけど、プレゼントの類いは値段とかそういうの気にしないでつけてくれる。

けど、リクって身につけているものとかすごく高そうなものばかりだからなぁ。

頻繁につけているピアス、ルビーとかダイヤとかだし。


「あぁ、それは大丈夫だろ」

シドはあっさりとそう言った。


「そうかな?」

「あぁ、あの王子に関しては問題ないぞ」

「そっか。シドが言うなら大丈夫だよね」

よし、じゃあリクへのお土産はこれに決まりと。

バルト様には香水を買ってあるし、これであと買ってないのはメイドのみんなの分とおじいちゃん達の分だけかぁ……メイドのみんなには、日持ちのする菓子とかお茶にしようかな。

おじいちゃんには、何にしよう?なんて事を考えていると、シドが急に変な事を言い出した。


「――なぁ。あの王子の事どう思う?」

「王子?それって、リクの事?」

「あぁ」

「んー、わけわかんない人」

私は、他の宝石を見ながらそう答えた。

だって、実際わけわかんないって思うもん。

急に怒るし、寂しがれって言うし。


「お前な~。自分の旦那だろ?」

「旦那って言っても、仮だよ。全部終わったら離縁するって本人も言ってたし」

「おそらく、そう思ってるのはお前だけだろ。あの王子、離縁なんかしないぞ」

「え?なんで?うちとギルアって外交上って何か利点あるっけ?」

「利点とかの問題じゃない。ただ、あの王子がラスボスに負ければ離縁する可能性もある。絶対にうちのラスボスが潰しにかかるのは目に見えているからな。王子がそれを難なくクリアすれば、このまま婚姻続行。まぁつまりは王子次第っうことだ」

ラスボスって、最後のボスっていう意味だよね……?

一体誰?バーズ様のことかしら?国王様だし。








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