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第三幕 こう見えても演技派なんです?

そりゃあ、いるよね。ここに来る人達のほとんどが王族か貴族だもん。

護衛の一人や二人ぐらい。



「……まいったなぁ」

剣を捨て腕を組みその光景を眺めた。

騎士達をある程度蹴散らせて馬車の近くまで来たのはいいけど、その周囲には馬車を囲むようにして四つの馬に乗った騎士達が居る。

護衛としては少ない方だから小国かな。


しかし馬車の為とはいえ、他国の騎士に手を出すのはさすがに不味いよね。

国際問題に発展しちゃうかもしれない。

あ〜もう来ちゃってるし。

すぐ後ろには追手の騎士が近づいてきている。


まっ、事情話して町まで乗せてもらえばいいか。

そうと決まればさっそく話をと騎士達に近づく。


あれ……?

三人はさして目立ちもしないが一人だけ目立つ人がいる。


「――女の人だ」

よく騎士達が身に着けている銀の鎧では無く、薄紫の鎧を着ていた。

色付きって事はそれなりの立場の人じゃん。

鎧を見て初めて綺麗だと思ったのは、着ている人も綺麗だからかも。

ウェーブのかかった金色の髪は一つに結われ、青い瞳がこちらを見て大きく見開かれている。


「そこの女どうしたのだ!? そのような格好で!!」

そのような格好って……あ〜、たしかに言われてみれば。

ウェディングドレスは戦いでボロボロになっている上に、私が逃げにくいからの理由で最初に破って膝上にしちったせいで、ドレスのデザインがめちゃくちゃになってわからなくなってしまっている。


「しかも、傷まで負って」

かすり傷ですけどね。

ドレスからむき出しの身には、あちらこちらにかすり傷がある。

騎士達と戦って無傷で済むというわけにはいかない。

その人は急いで馬から飛び降りると、私の元まで駆け寄ってきてくれた。


「どうしたのだ?」

「無理やり結婚させられそうになって逃げている所なんです。私、我武者羅に逃げてこのようなみずほらしい格好に……」

「何を言ってるんですかっ!?」

「それじゃあ俺達が悪者みたいじゃないですか!!」

追いついた騎士達が口をそろえて否定した。

鎧着てるのに意外と早いな、お前たち。


「嘘は言ってないよ?」

「そうですけど……」

女の騎士はフルフルと小刻みに肩を震わせ、剣を抜き騎士達に向けた。

細見の剣で柄の所には宝石がついている。


「お前らはそれでも騎士か!? このようなか弱き女にまで剣を向けるとは!!」

「か弱い人なら自国の騎士に剣をむけないだろ……」

「そもそもうちの姫様をその辺の姫様と一緒にする事自体が間違っている」

「だよな〜。こいつら姫様の事全然わかってねぇ」

「うちの姫様はな、アカデミー在学中に校長室常連組だったんだぞ」

あの〜一応剣向けられてるんですけど。緊張感とかないの?


「何をわけのわからない事を言っている!?」

「これはわが国の問題だ。余所の国が口出す事ではない」

「悪いがこれを見逃すのは私の騎士道に反する。これ以上この子に危害を加えないのならこの場は見逃してやるがどうする?」

「断る。それに我らが姫様になぜ危害を加えなければならない? 俺達は姫様を守るための護衛だ」

「ならその護衛がなぜ剣を向けるのだ!? こんな美しい子に」

「そ、それは――」

女の騎士に圧倒され、うちの騎士達はたじろいてしまっている。

だから怯むなって。


「貴方は馬車の中に入りなさい。ここは私たちが片づけるから」

そう言い終わるとその女騎士は仲間の騎士に目で合図を送った。

するとその人達は剣を抜き、ハイヤードの騎士達と対面するような形になっている。


「おい、セルマよ。その娘を連れて町まで行け」

馬を操っているおじさんにそう言った。

「しかし、スレイア様……」

「いいから、行け。どうした? 女、早く乗れ」

「いえ、ちょっと」

馬車にある紋章が目に入って思わず足を止めてしまったのだ。

鳥と何かの花が描かれている。

この国はどこだ?知らないという事はディル派では無いはずだ。


「ねぇ、鳥と花の紋章って何処〜?」

「『ギルア』だ」

騎士たちの代わりに、スレイア様と呼ばれている女の人が答えた。

ギルアって、たしかガル派で一番大きい国じゃん。

なのになんでこれしか護衛いないの?


「ギルア……おいっ!! まさかその中に乗っているのって国王とか王子とかじゃないだろうな!?」

「――……第一王子リクイヤード様だ」

それを聞いた騎士達の顔色が急速に変化し始め、慌ただしく両手でこっちに戻って来いと手招いている。


「姫様!! 絶対ダメです!! 早くこちらへ」

「えっ、なんなの!?」

「ギルアの第一王子と言えば、女好きで有名なんですよ! 姫様は外見だけはいいんですから!」

ちょっと、なんか最後引っかかったんだけど。 だけってなによ、だけって。


「たしか、国王様も女好きで後宮に人が入りきらないって噂が……」

「なんでも大層な美男子って話だよな。金あって容姿がいいならモテないわけないじゃねぇか……羨ましすぎるぜ」


ん? 親子そろって女好きってどっかで聞いたような話だわ――


「とりあえず、接触禁止ですから、ただちに離れてください」

「わかった。私が用事あるのは馬車だけだもんね」

馬車がダメなら、ギルアの騎士達が乗っていた馬でも借りるか。

馬の位置を確認しながら、どうやって逃げようか策を練る。


「早くこちらへ」

「わかったってば。けど、その前に――」

後ろから聞こえる騎士達の制止を聞かずに馬車の扉を開け放った。

だって顔ぐらい見たいじゃん。やっぱ遊んでる風なのかな?


「貴方が王子?」

開けてみて拍子抜け。

「んなわけないよね?」

だってそいつは口を布で覆われ、手足を縄で縛られていたのだから。










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