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バレンタイン企画 俺の分は? 第一幕め

本編途中ですが、企画物です。

バレンタイン過ぎてしまったけど^^;

謁見や城の行事などのため俺は人よりも見られる事に慣れている。

そのため、他人の視線はあまり気にならないタイプだ。

だがメイド達との距離が微妙に変わったあの頃から、もしかしたら実はそうじゃないかもしれない

という事をたびたび思い知る。


それは……――




またこれだ。

俺はうんざりしながらその視線を体に巻き付け、いつも通り執務室で仕事をこなしていた。

まったく今度は何だよ!?

うっとおしいその視線が俺の苛立ちを作るのにそう時間はかからなかった。


「おい」

俺は入り口から少し入ったところにあるテーブルで紅茶を準備しているメイドに声をかける。

するとそのメイドは中央にある俺が座っている机の方へと歩み寄って来た。


「はい。なんでございましょうか?」

メイドのミミが軽く会釈をしながら尋ねてくる。

何がなんでございましょうかだ!!

さっきまでニヤついて俺の事見ていたくせに!!

ミミの表情はさっきと違って真顔の仕事モードだ。


「何すっとぼけてんだよ」

「……あら、顔に出ちゃってました?」

出てたも何もはっきりと隠そうともしてなかっただろうが。

まったく、こいつは。

悪びれる様子もないミミに、俺はそっと溜息を吐く。


「だって、今日はバレンタインじゃないですか~」

「あぁ、もうそんな時期か」

月日が経つのは早い。

ついこの間までやれ新年だのと騒いでたのにな。


「嫌ですわ、リクイヤード様ったら。何とぼけてらっしゃるんですか。リノアに貰いましたでしょ?手作りチョコ」

「はぁ?なんでとぼける必要があるんだよ?貰ってないぞ」

「ええっ!?なんで貰ってないんですか!?」

何を大げさな。

ササラの声は廊下まで響くんじゃないかっていうぐらい大きい。

まったく、チョコ一つで騒々しい。


「まだ配ってないんだろ。そのうちここにも配りにくるんじゃないか?」

俺はあまり気にせずにそう答えた。

あいつ律儀だから、こういうイベントなら絶対に周りに配る。

そのためこの時の俺は貰えないという選択肢がなかった。


「いいえ!!リノア今日夜勤なので、元老院の皆さまやスレイヤ様それにスウイ様達には、

午前中のうちにとっくに配っていますわ!!私達も頂きましたし。

ですからリクイヤード様も、もうすでに貰っていると思いましたの……」

ちょっと待て。他の奴らにはもう配っているってことか?

と言う事は、あれか?俺だけ外されているって事か?


「どうしてリクイヤード様だけ貰えないんですか?」

「俺に聞くな」

「リノアったら、もしかしてリクイヤード様にだけあげないつもりなのかしら?何か嫌われるような事しましたか?」

「ミミ。お前、そう言う事は思っていたとしても黙っておけ」

現実受け止められてないのに、他の奴に言われるとまた改めて認識しなきゃならないだろうが。

その後俺は仕事があまり手つかずになってしまった。

リノアにチョコ貰えなかったという、ただそれだけなのに。




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