ウェイク編ー1
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昼休み
ハルトはスマートフォンでニュースを見ている。
「何見てるの?」
「今日のニュースだ」
隣に座るユズキに話しかけられたハルトは彼女に自身のスマートフォンの画面を見せた。
そこには『Eランクの者が、異能を使用し、殺人事件を起こした』という記事が表示されている。
「朝に私も少しだけテレビで見たよ」
「Eランク……無能者は異能を使うことができない」
「異能が突然発現したとか?」
「それも否定できないが、この記事によるとAランクに匹敵する異能を使ったらしい」
「もし突然発現したとしてもそこまで強力なのは使えないよね」
「あぁ、良くてCランクくらいだろう。いきなり高ランクになるとは考えられない」
異能者はSランク、Aランク、Bランク、Cランク、Dランク、Eランクの順にランク付けされ、Eランクは無能者と呼ばれる。
このランク付けは1ヶ月に2〜3回行なわれる異能検査で対象者が使用する異能やその威力によって決められる。
「仲良く肩を並べて何話してるのかしら?」
「別に大した話じゃない」
「休日のお泊まりで破廉恥なことをしんじゃ」
「へ、変なこと言わないでリアン!」
「冗談よ冗談!」
深くため息を吐き、呆れた表情を浮かべたハルトは自分のスマートフォンを制服のズボンのポケットに入れた。
「ところでユズキに聞きたいことがあるのよ」
「なに?」
「新入生の中にバスアテノール家の娘がいるって本当なの?」
「私も噂は聞いたけど詳しくは知らないよ」
「そっかー、生徒会でも分からないか」
「生徒会長なら知ってるかもしれないけど」
「もし本当にバスアテノール家の娘が入学してるなら武術部に是非入部してほしいんだけどねー」
「やはりそれが理由か」
リアンがバスアテノール家のことを尋ねた理由を密かに予想していたが、見事にそれが的中した。
バスアテノール家は異能を一切使わない古流武術の使い手として有名であり、だから武術部の副部長を務めるリアンが目をつけたのだ。
「あのバスアテノール家の娘が部員として加われば必ず強豪校になるわ!」
「リアンたちが頑張って全国大会で2位や3位をキープしているから十分強豪校だろう」
「あたしたちが目指してるのは全国大会で優勝することよ。だからバスアテノール家の娘が入部してくれればその可能性が格段に上がるわ」




