序章編ー7
7
次の日
ハルトは気が進まない中、目的地であるクロウナの自宅に向かう。
「こうして3人でクロウナ様の家に行くなんて久しぶりだね」
「そうだな」
「ハルトはやっぱり気が進まない?」
「正直に言うとそうだな」
「着いたよーお兄ちゃん、ユズキお姉ちゃん!」
その言葉を聞いたハルトは立派な門の奥のまるでおとぎ話に登場するお城のような豪邸に視線を移す。
四天王の1人であることから命を狙われる可能性があるというのに異常に目立つ豪華な建物だ。
「相変わらず立派だ」
「うん、目立ちすぎるよ」
「わーい!久しぶりの家だー!」
「まったく……チヨは毎日元気だな」
家のチャイムを鳴らすと大きな門が自動で開き、ハルトたちは綺麗に手入れがされた広い中庭を歩く。
「無駄に広いと感じるのはオレだけか」
「確かに広いよね。学校のグラウンド何個分だろう?」
「詳しく分からないが、恐らく5個くらいはあるな」
豪華な玄関のドアの前に到着したと同時にそれが開き、数人の執事とメイドが丁寧に深々とお辞儀をして3人を出迎える。
「お待ちしておりましたハルト様、チヨ様、ユズキお嬢様」
「オレたちにまでそんな礼儀正しくする必要はないです」
「恐れながらハルト様とチヨ様はクロウナ様のご子息、ご令嬢であり、ユズキお嬢様はこの国を治める四天王候補者ですから」
公にはなっていないが、執事の言う通りユズキは四天王候補であり、最高権力者であるクロウナの後継者なのだ。
既に四天王の間で話し合いがなされ、クロウナの後継者としてユズキが四天王かつ最高権力者になることが決定している。
「お荷物をお持ち致しますユズキお嬢様」
「い、いえ!これくらい自分で持てます」
「あら、やっと来たのね」
高価なレッドカーペットが敷かれた階段を降りながら赤紫色の瞳で玄関にいる3人を見て微笑むクロウナ。
そんな彼女の姿を見た執事やメイドたちが一斉に素早く背筋を正し、主人に対して丁寧に深々と頭を下げる。
「3人とも元気そうね」
「お母さーん!」
「あら、相変わらずチヨは甘えん坊さんね」
「えへへ」
「いつも私の息子と娘が世話になっているわねユズキ」
「いえ、私が好きでやってることですから。あっ、良かったらこれ……」
ユズキは鞄から手作りクッキーが数個入った可愛らしい袋を取り出し、クロウナに手渡す。
「あら、私の好物のクッキー。ありがとうユズキ」
「いえ」
「さて、ちょっと息子と2人きりで話したいからチヨとユズキを客室に案内しなさい」
「かしこまりましたクロウナ様」
「ハルトは一緒に私の部屋に来なさい」
「はい、お義母さん」




