132、地獄の番犬
「逃げろ! みんな逃げろーッ!」
俺の叫び声に合わせて、スケルトンの大群が一斉に通路を駆け抜けていく。上から眺めるその光景は、まるで白い川が流れていくようだ。
スケルトン最後尾の背中が小さくなるのを見届けていると、騒ぎを聞きつけたのだろう吸血鬼が怪訝そうな表情で通路から顔を覗かせた。
「……一体なんの騒ぎだ、これは」
迷惑そうに言いながらこちらへと近付いてくる吸血鬼。彼を押しのけ、ゾンビちゃんもまたスケルトンと同じく矢の如きスピードで通路を疾走していく。
「な、なんだ。新しい遊びか? 小娘の相手をしてやるのは構わないが、もう少し静かに――」
「話は後にして! もうすぐそこまで迫ってるんだから」
「迫ってる? なにが――」
言いかけた言葉をのみこみ、吸血鬼もゾンビちゃんの背中を追って走り出す。背後から迫りくる脅威に気が付いたからだろう。あれを見て逃げる気にならないというなら、それはよほどの命知らずか、もしくは頭のねじが10本近くぶっ飛んだ者である。
しかし必死の逃走も虚しく、重量感ある足音は徐々に大きくなり、生臭い息が俺たちの背中を撫ではじめた。
俺は吸血鬼の後ろにぴったりくっついて飛びながら、恐る恐る後ろを振り向く。
裂けた口から覗く大きな牙、だらりと伸びる地獄の業火のような舌、射抜くような視線を放つ6つの瞳、赤い首輪のついた3つの首、そして一つの胴――地獄の番犬はすぐそこまで迫っていた。
「な、なんだあの化物は!?」
「三つ首の犬の化物って言ったらケルベロスしかいないでしょ」
「そんな事は見れば分かる。僕が聞いてるのはなんでケルベロスなんかが我がダンジョンにいるのかって事だ。あんなの、その辺をうろついているような魔物じゃないだろう」
「こっちが知りたいよそんなの! それよりほら、走って走って!」
俺はそう叫びながら吸血鬼を急かす。
彼の疑問ももっともだが、今はそんなことにエネルギーを使う余裕はない。今は走る事だけに全力を使うべきだ。追いつかれて頭から丸かじりにされてしまったら、もはや考えるどころではなくなってしまう。
とはいえ、アンデッドだっていつまでも逃げ続けられる無尽蔵の体力を持っている訳ではない。
体力の限界か、あるいは焦りすぎたあまり足元にまで気が回らなかったのか。吸血鬼の少し先を走っていたゾンビちゃんが派手にすっ転んだ。
ケルベロスはもうそこまで迫っているのだ。このままでは追いつかれてしまう。
「ゾンビちゃんが危ない! 吸血鬼!」
「ああ、分かってる」
吸血鬼はいつになく真剣な表情で頷く。
徐々に近付いてくるケルベロスの生臭い息が首元をくすぐる。ゾンビちゃんを助けられるのは、もはや吸血鬼だけだ。
俺たちは数秒もかからず地面に転がるゾンビちゃんに追いついた。
そして吸血鬼は、地面に横たわりうめき声を上げるゾンビちゃんを、ジャンプで軽やかにかわす。
「え?」
「ん?」
「いや……待って、何やってんの」
「は?」
吸血鬼はわざとらしい程にキョトンとした表情で、白々しく首を傾げてみせる。
「いやいや、なんでゾンビちゃん助けないの!? 『分かってる』って言ったじゃん」
「障害物が転がってるから足元気をつけてって意味じゃなかったのか」
「んなわけないでしょ!」
背後から「めきゃっ」というような、あまり聞いたことのない音が上がる。
俺たちの数メートル後ろにとんでもない光景が広がっているのは間違いない。しかし恐ろしさと罪悪感から、俺が後ろを振り返り、この目でそれを確認することはなかった。
**********
早速犠牲者が出てしまったものの、これでケルベロスが満腹になり、満足してダンジョンから出て行ってくれれば――と誰もが思ったに違いない。
しかし俺たちの期待をあざ笑うかのように、状況は一向に好転しなかった。
「いよいよ不味いことになったな。あいつ、ここに居座る気か」
また数体のスケルトンが犠牲になったようだ。
ケルベロスは3つの頭でそれぞれ骨をかみ砕きながら我が物顔でダンジョンを闊歩している。
アンデッドを捕食する化物がダンジョンに迷い込んだ経験は今までに何度かある。しかし文字通り骨ばかりのスケルトンたちすら腹に収めてしまうほどに飢えた化物は初めてだ。
ケルベロスは死者を貪り食う怪物だからだろうか、それとも、ただ単に犬だから骨が好きなのか?
どちらにせよ、ヤツは紛れもなく俺たちの天敵であろう。
「死人だらけ、いくら食べても餌が尽きることはない……こんな格好の餌場はそうあるものじゃないよ。もう時間による解決には期待しない方が良いね」
俺がそう言うと、ケルベロスから隠れるために身を寄せ合っていたスケルトンたちが一斉に苦虫を噛み潰したような顔をこちらに向けた。
俺たちは今、10体程度のスケルトンと共に小さな資料室へ身を隠している。逃げそびれ、通路の隅で息を殺しているスケルトンを思えば、ここのスケルトンたちは随分安全な場所を確保できたと言える。このままじっと息をひそめて嵐が過ぎ去るのを待っていたいというのが本音だろう。
しかし、残念ながらそういう訳にもいかないのだ。
「じゃあ僕らは一体どういう解決に期待したら良いんだ」
声を上げたのは吸血鬼だ。
スケルトンと同じく苦虫を噛み潰したような表情を浮かべている吸血鬼へ、俺は静かに口を開く。
「シンプルな事だよ。殺らなきゃ殺られるし、追い出さなきゃ追い出される」
「……やはりそうなるか」
「ここは俺らのホームだし、こっちの方が人数も多い。なにより向こうはアンデッドじゃない。殺せば死ぬんだ。勝てない相手じゃないよ、多分」
「当然だ、あんな犬に僕が負けるわけないだろう。だが無傷で、というわけにはいかない」
吸血鬼は眉間に皺を寄せ、足元に視線を落とす。
もちろんあの犬がヤバいことは俺にだって分かってる。恐らく初戦での勝利は無理。血を見ることは避けられないだろう。それも、恐らく複数回。
しかしそれは普通に戦えば、の話である。
恐ろしい怪物には致命的な弱点があるものだ。アンデッドに多くの弱点があるのと同じように。
「ケルベロスはね、眠らないんだ。いや、眠らないってのは語弊があるか。三つの頭がそれぞれ交代で眠るんだよ。だから寝込みを襲うってことができない」
俺の言葉に吸血鬼は不機嫌そうな表情を浮かべ、唇の端を持ち上げて笑って見せる。
「……それはそれは。ますます悪い話をどうも」
「いや、悪い話でもないよ。ケルベロスを眠らせる方法があるんだ。三つの頭を同時にね。そうすれば奇襲が仕掛けられる」
俺の話に吸血鬼の目の色が変わる。
ジッと話を聞いていたスケルトンたちも、にわかにざわつき始めた。
「……そ、それはどういう」
「その方法は――」
******
獰猛なケルベロスが涎を垂らしながらダンジョンを彷徨っている。次の獲物を探しているのだ。
そんな中、ケルベロスの前へ立ちはだかる命知らずが一人。吸血鬼である。
美味そうな死に損ないを前に、ケルベロスはそれぞれの首から滝のように涎を垂らし、闘牛のごとく吸血鬼へと突っ込んでいく。
あれほどの重量だ。まともにぶつかっただけでもただでは済まないだろう。
しかし吸血鬼は逃げることも慌てることもせず、落ち着き払ってあるものを取り出した。白い小さな鍵盤、そこから伸びる白いホース、そしてホースの先端に付いた黒い笛。鍵盤ハーモニカである。
吸血鬼は黒い笛をくわえると、大きく息を吸い込み、そして素早く鍵盤に指を這わせた。鍵盤ハーモニカから出ているとは思えないほどに複雑で深い旋律がダンジョンに響き渡る。
刹那、獲物めがけて一直線に進んでいたケルベロスの動きが突然鈍った。先程までの興奮状態が嘘のように、まるで麻酔銃で撃たれたかのように眠り始めたのである。
……上手くいった。ゆっくりと肩を上下させるケルベロスを見下ろしながら、俺は静かにガッツポーズをする。
ケルベロスの弱点――それは美しい音楽で眠る、ということ。
「よし……今だよ吸血鬼」
吸血鬼は鍵盤ハーモニカを弾く指を止めることなく、目だけで頷く。そしてターゲットを狙うアサシンのごとく、そろりそろりとケルベロスに近付いていく。
だが、ケルベロスに十分近付く前に致命的なトラブルが俺たちを襲った。ダンジョンに響く心地よい旋律に突如不協和音が混じったのだ。はじめは小さな違和感程度だったそれは、次第に耳を塞ぎたくなるほどに大きくなっていく。
「な、なんだ!?」
吸血鬼も困惑の表情で首を振る。どうやら鍵盤ハーモニカに不調があったわけではないらしい。
ならば一体、この音の正体は?
音は徐々に大きくなり、そしてその発信源は通路の角を曲がり、俺たちの前に姿を現した。
「ぼえ~、ぼええ~」
……壊れかけた巨大な機械か、もしくはとんでもなく醜い化物が出てくるとばかり思っていた俺は、その姿をひと目見て思わず息を呑んだ。
俺たちの前に現れたのは、血に塗れ、覚束ない足取りでこちらへと向かってくるゾンビちゃんだったのだ。何かの間違いかと思ったが、確かにその喉からは人の声帯から発せられているとは思えないほどの不協和音を響かせている。
「な、なにこれ……歌?」
この強烈な目覚し時計に反応しない生物などそうはいるまい。吸血鬼の旋律により子猫のように眠っていたケルベロスも、目が覚めかけているのだろう、牙を剥き出しにして呻き始めた。
ゾンビちゃんは血塗れではあるものの、ケルベロスに貪り食われたにしては傷が浅い。一体どうやってケルベロスから逃れたのか、そしてどうして彼女が不協和音を発しているのか。聞きたいことは山ほどあるが、まずはゾンビちゃんの口を塞ぐのが先だ。
このままではせっかくの作戦が台無しである。
「やめてゾンビちゃん!」
「ぼええ~」
俺の声に反応しないどころか、俺の方を見もせず、ゾンビちゃんは不協和音を発し続ける。その目は焦点が定まっておらず、明らかに意識が朦朧としている。頭でも打っておかしくなっているのだろうか。
ケルベロスが不機嫌そうな顔でいびきを止めた。うかうかしている暇はないが、この体では力づくで無理矢理彼女を止めることもできない。
「ねぇゾンビちゃ――」
「いい加減にしろ馬鹿がッ!」
せっかく上手くいきかけた作戦がおじゃんになるのを黙って見ていることはできなかったのだろう。吸血鬼がそう叫びながら脳天をかち割らんばかりにゾンビちゃんの頭を殴りつける。
お陰で不協和音は止んだ。衝撃で正気を取り戻したのだろうか、彼女はキョトンとした表情できょろきょろとあたりを見回している。
……そして、ケルベロスを微睡みの海に引き込んでいた旋律も止んだ。叫んだ拍子に、吸血鬼は鍵盤ハーモニカから口を離してしまったのだ。そしてあろう事か、吸血鬼は大事な楽器を、ゾンビちゃんを殴るための鈍器として使用したのである。ゾンビちゃんの頭の上で鍵盤が真っ二つに割れ、その欠片がケルベロスの鼻先に降り注ぐ。
「あっ……ヤバい……」
地の底から響き渡るような唸り声と共に、ケルベロスがむくりと起き上がった。
*********
ボロボロになったジャケットを脱ぎながら、吸血鬼は崩れ落ちるように地面へと座り込んだ。ジャケットの下から現れた血塗れのシャツにはところどころ穴が開いており、生々しく抉られた傷が覗いている。
彼はゆっくりと疲れ切った顔を上げ、俺を見ながら口を開く。
「さて、早くも一度息の根を止められかけたわけだが」
「そうだね」
「その割に、こちらはヤツにほとんどダメージを与えられなかった」
「……そうだね」
「頼みの綱もこの通り、真っ二つだ」
吸血鬼は壊れたハーモニカを軽く持ち上げ、そして憎しみをぶつけるかのような勢いで地面へとそれを投げつけた。
そして彼は鬼のような形相でゾンビちゃんを睨みつける。
「この馬鹿のせいで!」
ナイフを振り下ろすような勢いで吸血鬼はゾンビちゃんを指差す。
しかしゾンビちゃんは不服そうな表情を浮かべて口を尖らせた。
「壊シタの、私ジャナイ」
「黙れ! お前が邪魔しなければ、今頃ヤツの毛皮でマフラーを作る算段を立てていたはずだったのに……なんであんな真似したんだ」
「ン? アンナ真似って、ドンナ真似?」
ゾンビちゃんのキョトンとした表情と首を傾げる仕草が吸血鬼の神経を逆なでしたのだろう。彼は牙を剥き出しにし、喉の奥から絞り出すような声で言う。
「忘れたなら、思い出させてやろうか……!」
「まぁまぁ、落ち着いて。きっと頭を打っておかしくなってたんだよ。あの時のゾンビちゃん、明らかに正気じゃなかったし。どちらにせよ音楽作戦はもう使えないだろうね」
眠りを妨害されて怒り心頭、といったところか。ケルベロスは今、狂ったようにダンジョン中を走り、暴れまわっているのである。たとえ鍵盤ハーモニカが壊れてなかったとしても、ケルベロスの出す地響きや唸り声で音楽など掻き消されてしまうに違いない。
「もう小細工は通用しないよ。正々堂々戦うしか方法はない。何度か血を流すことにはなるだろうけど、みんなで協力すればきっと――」
「協力? 馬鹿言え、こんなのと組んでたらアンデッドといえど命がいくつあっても足りない」
「私だってヤダ!」
俺の言葉を遮り、我がダンジョンの二大戦力がほぼ同時に異議を唱える。
しかしあんな化物、一人の力では到底敵うはずがない。
「ダンジョンのピンチだってのに、そんなこと言ってる場合じゃないでしょ! ねぇスケルトン」
しかしチームプレイに慣れているはずのスケルトン達ですら、俺の目から逃れるように足元へと視線を落としている。
……どうやら、慣れない捕食者に怯えているらしい。
「ああもう、どいつもこいつも! あっちは三つの頭が一心同体で頑張ってるっていうのに!」
「当たり前だろう、頭が三つあるってだけで同じ体なんだから」
「右手ト左手はケンカシナイよ」
「こんな時ばっかり息合わせないでよ……!」
その時だった。
轟音と共に突然ダンジョンがぐらりと揺れた。地震であると信じたかったが、どうやら違うらしい。
その証拠に、部屋を囲む壁に大きなひび割れが走っている。
「本当に、そんなこと言ってる場合じゃないみたいだよ」
再び轟音がダンジョンに響き、それと同時に壁が音を立てて崩れ落ちた。
壁を突き破り、立ち上る砂煙の中から姿を現したのは、もちろんケルベロスである。匂いで場所がバレたか、もしくは俺たちの声が聞こえたのか。まぁこの場所がいずれバレるだろうというのは予想していた。
……しかし、全く予想していなかったことも一つ。
ケルベロスがそれぞれの頭に大量の服、大量の干し肉、そして一体の骨格模型をくわえていたのである。
「あ、あれは……」
「あのニク……!」
吸血鬼、ゾンビちゃん、そしてスケルトンたちも呆然とした表情でケルベロスを見つめる。
それもそうだろう。ケルベロスのくわえている品々は、どれも見覚えのあるものばかりだからだ。派手な服の数々は明らかに吸血鬼の一張羅であるし、大量の干し肉は倉庫に保管してあるはずのゾンビちゃんの保存食、そしてあの骨格標本はスケルトンたちのアイドルである。
「肉はまだしも、なんで服と骨格模型が」
頭に浮かんだ疑問を口に出してはみたものの、そんなことを気にしているのはどうやら俺だけであるらしい。
自分の宝物が今まさに化物に奪われそうになっているのだ。正気でいられるはずがない。
……とはいえ、やる気を出せば人はここまで変われるものなのだろうか。
吸血鬼、ゾンビちゃん、そしてスケルトンの目の色が先ほどまでとは明らかに違っていた。合図などなかったにもかかわらず、俺以外のアンデッドたちがまるで一つの生物のように一斉にケルベロスへと向かっていく。
それからはもう、戦いというよりは一方的な虐殺と言った方が良いだろう。
肉を食いちぎられても、鋭い爪で身を引き裂かれても、アンデッドたちは怯むことなく攻撃を続ける。一体誰の一撃が止めとなったのか、それはもう分からない。
とにかく気付いた時には、ケルベロスは動かないただの肉塊と化していた。
「か、勝っちゃった……?」
肩で息をしながら、体から血を流しながら、アンデッドたちは動かなくなったケルベロスへと走り寄っていく。化物に奪われた宝物を取り戻すためだ。
しかし彼らの指が大切な宝物に触れることは無かった。彼らが宝物を手に取りより早く、ケルベロスがくわえていたそれはただの土くれに姿を変えてしまったのである。まるで魔法が解けてしまったかのように。
「な……どういうことだこれは」
「ニク! ニクは?」
吸血鬼は途方に暮れたように立ち尽くし、ゾンビちゃんはなくなった肉を探してキョロキョロと辺りを見回し、そしてスケルトンたちはどうしていいか分からずカタカタと小刻みに骨を鳴らしている。
しかし彼らが狼狽える必要はどこにもない。
最初から、彼らの宝物は奪われてなどいなかったのだ。
俺はケルベロスの亡骸の上に突如現れた「彼女」の姿を一目見て、それを確信した。
「もう! みんな逃げてばっかりだし、変な小細工してくるし……ちゃんと戦ってよね!」
幼く、可愛らしい、しかしやや不機嫌そうな声がダンジョンに響く。
レースに彩られた薄桃色のワンピースに身を包んだ幼い少女――の姿をした魔女、ミストレスである。
彼女は呆然とするアンデッドたちにじっとりした視線を向けてため息交じりに口を開く。
「せっかく新しいペットの戦闘力測定しようと思ったのに、ここまでしないとちゃんと戦ってくれないの? はーあ、なんか疲れちゃった」
突如現れた強力な化物、俺たちの作戦を台無しにしたゾンビちゃんの奇行、そしてアンデッドを本気にさせた土くれの宝物――なるほど、ミストレスの仕業だというなら納得がいく。俺たちはまたミストレスの「実験」に巻き込まれたというわけだ。
しかし今回の件で俺も得るものがあった。どうやら俺たちは力を合わせるとかなり強いらしい。
とはいえ、束になってかかっても彼女には敵わないのだろうな。
俺たちがケルベロスから逃げまどったことにまだ文句を言い続けている小さな魔女を見下ろしながら、俺は思わず苦笑いを浮かべるのだった。




