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3 離婚の危機

「・・・本物なのか、すっげーな」

はるにいは手にしたタイムマシンをしばらくまじまじと見つめた後、顔を上げて、私に向かってにやっと笑う。

この顔は、なんかしょうもないことを思いついた時の顔だ。


「なあ、さくら。コレ使ったら、オレら大金持ちになれんじゃねえ?

宝くじとか、競馬とかで」

やっぱり。

「もう、馬鹿なこと言ってないでもっと現実見て。

はるにい、私達にはもっともっと重大な問題があるでしょ!

このままじゃ私達、どうなるかわかってんの?」


私は机をバンっと叩いた。手が痛い。

こういう時、男子って、なんでもっと現実的になれないのかしら?

言うんじゃないかと思ったけどホントに予想通りの回答で、呆れてしまう。


「なんだよ、問題って」

ちょっとムッとしたような表情。はるにい、本気で宝くじ考えてたのかな・・。

思わず大きな溜め息が出る。


「もう。・・・我が家の問題なんて、パパとママのことに決まってるじゃない。

昨日も、ケンカしてた。このままだと、もう別れましょうってなっちゃう」

「ああ、そうかもなあ」

「もおーっ! なに呑気なこと言ってるの!  離婚よ、リコン!  はるにい!

意味わかってる? もしそうなったら、私達、どっちかに引き取られて家族みーんなバラバラになっちゃうのよ! そんなの絶対やだ!」


私は立ち上がって一気にまくし立てる。

はるにいに怒りをぶつけるのは間違ってる。

そんなの分かってるけど、カーッとなった頭は口から出る言葉を止められない。


私はパパとママの前でも学校でも普段は聞き分けの良い優等生で通してるけど、はるにいの前ではこうしてたまに不満や怒りを爆発させてしまう。



はるにいは何も言わずに立ち上がると、ぽんと私の頭に手を置いて、

そのままキッチンに行ってしまった。

「ちょ、はるにぃ?」


しばらくして、チン、と音がすると、甘いイイ匂いがする。


「ほらよ。とりあえず、おやつでも食いながら話そうぜ」

目の前のテーブルに置かれたココアのマグカップと、ビスケットの袋。

どちらも私の大好物。


「あ、ありがと・・」

こういう時の私の扱いに、はるにいは慣れてる。

どんなにムカムカ怒ってる時でも、一口ココアをすすっただけで、なんかもう落ち着くんだよね。昔からはるにいの入れてくれるココアは一番おいしくて、私の安定剤なんだ。

口いっぱいに広がる独特の甘さにほっとする。


「やっぱ、はるにいのココアは美味しい!」

さっきまでの怒りはどこに飛んでいったのか、思わず笑顔でそう言うと、

「単純・・・」って呆れた顔をされた。


言わないでよ。自分でもそう思うんだから。


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