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38 パパ、かっこいい

食べ終わった食器を二人で片付ける時。

「あ。ねえねえ、さくら。どうやって過去に行ってたの?」

ママは興味津々な顔で聞いてきた。

ま、当然気になるところだよね。

私は学校帰りに道端でタイムマシンを拾ったこと、試してみたら本物だったから、この作戦を立てたこと、最後に行ったあの日、壊れてしまったことを大まかに

話した。


「なーんだ、タイムマシン壊れちゃったんだ。オレも未来に行ってみたかったな」

「きゃあ!」

背後から突然現れたパパの声に、私はびっくりしてお皿を落としかけた。

「もう、パパ、びっくりするじゃない!」

「カズキさん、いつからいたの? もう、立ち聞きはダメよ」

「あははー。ごめんごめん。それよりザンネン。オレもタイムマシンに乗ってみたかったのになあ」


パパは、さりげなくママの後ろに立って、「おはよー、まり」とか言ってぎゅーって抱きついてる。

わお。パパってこうゆうことする人だっけ?

「まり、コーヒー入れてくれる?」

「はーい。さくら、パパにも卵焼いてあげて」

「うんっ」

さっきと同じように卵とハムを焼く。

キッチンからちらりとダイニングを覗くと、コーヒーを持って行ったママに、パパが「ありがと」ってさりげなくキスをした。

きゃあ! こ、子どもの前で大胆な!

こんなラブラブなパパとママ、初めて見たよ。変わるもんだね。


パパは私が作ったハムエッグも美味しい美味しいって喜んで食べてくれた。

私はママにそっと聞いてみる。

「パパって、昔からあんな風にちゅーとかする人だった?」

「そうね、昔から・・ではなかったわね。カズキさん、クールな人だったもの。

いつからかしら? 去年?」

ママはちょっと赤くなってる。

「去年だな」 横からパパが答えた。あ、聞こえてた。

ママは恥ずかしくなったのか、あっ洗濯干してこなくちゃ、とか言ってパタパタと逃げて行った。かわいいなー、ママは。

「ね、ね、パパ。前はそんなタイプじゃなかったってママも言ってたけど、なにかきっかけがあるの?」

「まあね」

パパはコーヒーをぐいっと飲んで、にっと笑う。


「去年、春樹と釣りしててさ。

オレ、アイツに説教されちゃって。

お父さんは お母さんをもっと大事にするべきだよ!みたいな」


あ。釣りってそれはもしかして。

パパとそんな話してたんだ。はるにい、やるぅ。


「・・あれって未来から来た春樹?」

「うん。私は六年前のママに。はるにいは去年のパパに会いに行ってたの」

「そっか」

パパはうんうんと思い出すように頷く。

「アイツとそんな真面目な話とかしたことなかったんだけど、・・・あー、子どもって親のこと見てるんだなあって改めて思ったんだよ。

オレはまりのこと大事にしてるつもりだったけど、あんまり伝わってなかったかなって。

子どもに夫婦仲を心配させちゃダメだなってオレも反省したんだ。

で、ちょっと積極的に アピールしていこうと思ってさ」


パパは最後の一口をがぶっと口に入れて、ごちそうさま、と手を合わせた。


「ママ、嬉しそうだね。真っ赤になってた」

「だろ? まり、反応が可愛いんだよなー。

おもしろいくらい恥ずかしがるから、ついまたかまいたくなる」

パパは楽しそうに笑ってる。

「パパとママが幸せそうでなにより! ずうっと仲良くしてよね。

ケンカはしちゃ駄目だよ」

「ああ」


パパは急に真面目な顔をして、お皿を片付けようとした私の頭をポンポンっとなでた。


「・・春樹にも約束したけど、さくらにも約束するよ。ママを一生大事にする」

「パパ・・。かっこいい!」

思わず出た私の言葉に、パパはちょっと頬を赤くした。

「あ、パパ、照れちゃった?」

「子どもが大人をからかうな」

パパは立ち上がって、リビングのソファへ逃げて行った。


私はおかしくって笑いが止まらない。後ではるにいにも今の話を聞かせてあげようっと。

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