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12 はるにいに感謝

ピピ、ピピ、ピ


私が起きる朝のアラーム音は小鳥の泣き声みたいで可愛い。

はるにいは目覚まし時計の音なんてどれもうるさいだけだなんて言うんだけど。


うーんと伸びをして、布団から起き上がる。

私はパジャマではなくて服を着ていた。


「あっ!」

一瞬にして昨日のことを思い出した。

え?  私、なんで自分の部屋にいるの? 絶対、道端のどっかにいたはずなのに。

なんで? なんで? 何が起こったのかわけがわからない。

昨日の服を着てるんだから夢だったはずもないし。


そうだ、はるにいに聞いてみよう。

部屋を覗くと、すやすや寝ているはるにいの姿。

相変わらず寝相は最悪で、布団は半分ベッドから落ちている。




「あれ?」

はるにい、パジャマじゃなくて服着てる。

確か昨日おやすみを言った時はパジャマ着てゲームやってたのに。


・・・はるにいだ。

はるにい、私のこと、助けに来てくれたんだ!


私はぼふっとはるにいの布団の上に飛び乗って、布団の上からぎゅうっと抱きついた。

「・・ってえー」

寝起きで不機嫌そうなはるにいの声。

目を擦って大きな欠伸をして、私を見る。


「ん、起きたか? ワガママ家出娘」

「あう。ごめんなさい」

はるにいは私の頭をわしわしわしっと撫で回した。


「マジで焦ったっつーの。まったく。勘弁してくれよな、さくら」

「はるにい、私、どこにいたの?」

聞くのは怖いけど、やっぱり気になる。


「アンドー文具店のガレージの前でぐーぐー寝てたよ。公園と家の中間地点だな」

「やだ、はずかしい」

道端で寝てたなんて。わかってはいたけど。

はるにいはガバッと起き上がって私の両肩を掴んだ。

「バカか、お前は。恥ずかしいとかの問題じゃねえよ!

ちょっと間違ったら 大変なことになってたんだぞ、わかってんのか!」


いつになく真剣なはるにいの表情。

「道路のど真ん中だったら車に轢かれてたかも知れねえし、

道端で寝てるとこ警察に保護されたらお父さん達にもバレるし、

・・・もし見つけたのがどっかの変態ロリコン野郎で、そのまま攫われてたら、今頃どうなってたか、わかってんのかよ!」


本当だ。私、そんなことちっとも考えてなかった。

先週もそんな凶悪な事件があったってテレビでやってたばかりなのに。

「・・・ご、ごめんなさぃ」

ぐいっと頭を引き寄せられ、はるにいの胸にぶつかる。


「心配させんなよな。もう一人で勝手に飛ぶんじゃねーぞ」

「うん。・・ごめんね。ありがとー、はるにい」


素直に謝ってお礼を言う。

顔を上げると、はるにいはちょっと顔を赤くしてぷいっと横を向いた。


「いつまで乗ってんだよ! 重いっつーの」

私を押しのけて立ち上がる。もう。照れ屋さんだなあ、はるにいは。


「つーか、お前のせいでラスボス第一段階まで倒したのに無駄になったんだぞ!

ちっくしょーお。まさかと思ってお前の部屋覗いたらもぬけの殻でさ。

セーブすんのも忘れて探しに行ったんだからな! 

寝てるお前担いで来んのすんげー重くて大変だったし、

気づかれないように裏口から出入りすんのも苦労したんだ。マジ感謝しろよ!」


本気で悔しそうな顔のはるにいを呆れて見てしまう。

今、もう一度言おうとしたありがとうは喉で止まってしまった。

もう。それ言わなかったらすごく感謝するのに。

なんか感謝の気持ち半減だよ。



とは言え、本当に大変だったと思う。

夜中に捜し回るだけでもすごいことだし。

はるにいってば、イザとなるとこんなに頼りになる奴なんだ。

知らなかった。


「おい、着替えるからあっち行けよ。もうすぐメシだろ。」

「あ、そうだった。着替えなきゃ!」

私は慌てて部屋に戻って制服に着替えた。あ、髪も結わなくちゃ。急げ、急げ!


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