12話 迷子です
短いです。しかも若干文章が雑になってしまったかもしれません。
建物の構造とか、内容的におかしな部分がありましたら、遠慮なくご指摘ください。
コトネがユーリにメールを出し、出口を探し出してから数分後。彼女は現在、道に迷っていた。
今いる闘技場は地下6階層、地上7階層の全13階層からなる巨大な建物で、各階層には様々な規模の闘技場が配置されている。
小さいもので、規模が大きめの学校の体育館ぐらいの広さから、大きいものだと東京ドーム2個分程の広さまで。
造りも、床に土や芝を敷き詰めたものや、石のプレートで出来たものなど、様々なタイプの闘技場がある。
これほどの規模の建物だ。案内図ぐらいすぐに見つかるだろうとコトネは考えていたのだが、今のところそれらしいものは見当たらない。
いったいどの方向に歩けばいいのかと悩んでいると、突然着信音が響いた。
プルルルル
響いた音はメールではなく電話の着信音だ。
コトネがウインドウを開いて、通話モードをONにすると、ウインドウが切り替わり、画面にユーリの姿が表示される。
「着いたよ。今エントランスに居るけど、コトネはどこにいるの?」
「え! 早すぎない?」
ユーリにメールをしたのはつい3、4分前のことだ。
普通に考えたら到着するのが早すぎる。
驚く様子のコトネに対し、ユーリはキョトンとした表情で答えた。
「え、だって転移装置使えばすぐだし」
「あ、そっか」
転移装置を使えば離れた場所でもすぐに移動できる。
この闘技場のエントランスにも転移装置が置かれていたことを思い出し、コトネはすぐさま納得した。
ちなみに余談だが、この転移装置の置かれている場所が、ログイン時に開始地点として選べる場所でもある。
「ごめん、兄さん。ちょっと、道に迷っちゃって……」
申し訳なさそうに謝るコトネに対し、ユーリは少し考え込むそぶりを見せる。
「闘技場の中には居るんだよね?」
テレビ電話になっているのはユーリの方も同じだ。
迷っている場所が建物の中であるのはコトネの背景を見れば分かる事だが、ユーリは一応の確認を取る。
「うん」
「案内図は無いの?」
「えっと、探してるんだけど、見つからなくて……」
「探すって……入口で、マップデータ落とさなかったの?」
「え、落とす?」
言われている言葉の意味を理解できずに、コトネは疑問符を浮かべた。
その様子を見たユーリは一瞬口を開きかけるが、すぐさま何か思い直した様子で黙って歩き出す。
「?」
いったいどこに行くつもりかと、コトネが考えていると、ユーリは少し歩いただけで、すぐに立ち止まった。
立ち止った場所は受付のカウンターの前だ。ユーリはカウンターに配置された一枚のプレートを画面に映し出す。
コトネがそのプレートを読んでみると、そこには
『ステータスカードを差し込んで、案内図をダウンロードしてください』
と書かれており、プレートの下にはカードを差し込めそうな細い穴があいていた。
「…………」
それを見たコトネは、額に手を当てて立ち尽くす。
このステータスカードというのは、プレイヤーの能力が書かれている、というだけのカードではない。
用途としては書籍や映像など、各種データをプレイヤーのウインドウに移したりするために使われる。
どうやらこの闘技場では入り口で案内図を入手できる仕組みになっていたらしい。
「やっぱり、ここに案内図が有るって知らなかった?」
「……うん」
問いかけに対し、コトネはコクリと頷きを返す。
ユーリの方はそんなコトネの様子を見て苦笑している。
「あー、どうしよっか?」
「……建物の中に案内図は置いてないの?」
いくら入り口で案内図が配られるとはいえ、建物の中も案内図くらい置いているだろう。そう思ったコトネは聞いてみる。
しかしユーリから帰ってきたのは予想外の答えだった。
「うーん、よく覚えてないけど……建物の中には無かったと思うよ?」
「なんで!?」
何で案内図の一つも置いてないのか。そんなことをユーリに聞いても仕方がないとは思ったが、コトネはつい驚いて、疑問の声を発してしまった。
「必要ないからじゃない? 闘技場利用するなら申請の手続きの時にデータもらうし」
そう言われてコトネは闘技場に入る時の事を思い出す。
(そういえば、ミオがなにか手続きをしてたような……
う~、もっとよく見てればよかった)
ミオが手続きをしている時、コトネは初めて見る景色にあちこち目移りしてしまっていたのだ。
ミオが何をしているのか、よく見ておけばよかったと、コトネは内心で反省する。
「……どうしよう」
とりあえず反省は後にして、今はどうすべきかを考えようと、コトネはユーリに対し相談を持ちかける。
「ん……今居る場所は分かる? なんか目印みたいのとか」
そう言われてコトネは、きょろきょろとあちこち見渡す。
しばらくすると、画面に向き直り申し訳なさそうな表情を浮かべる。
「ごめん兄さん。分かんない」
「そっかぁ……あ、コトネはさっきまで闘技場に居たんだよね?」
ユーリはふと、何か思いついたような声を上げ、質問をする。
「え、うん。そうだよ」
「それじゃあ、その場所までの戻り方と、そこの部屋番号は分かる?」
ここまで言われたところで、コトネにもユーリの質問の意図が分かったのか、納得したような声を上げた。
「あ、うん。多分大丈夫」
「じゃあ、その部屋番号教えて。あとは、その部屋で待っててくれる?」
「うん。分かった。部屋の番号は『B2-4S』だよ」
「そう。じゃあ今から行くから待っててね」
ユーリは部屋の番号を聞くなり、まだ通話画面を閉じていないというのに移動を始めた。
そんなユーリに対しコトネは笑みを浮かべながら礼を述べる。
「ありがとう兄さん」
礼を言い終ったコトネは通話を切断し、再び先ほどの闘技場までの道を引き返し始めた
本当は、今回ミオの戦闘を終わらせるところまで書きたかったのですが、書き上がってる部分が中途半端であるため、今回はここまでとなってしまいました。




