一日の過ごし方(昼寝)
【仕事が終わったら】
〜昼寝の時間〜
家があと少しというところで、ロロが速度を落とした。
『どうしたの?』
「わふ」
小さく鳴いたその声に、アルシアはすぐにピンときた。
――これは薬屋にお客さんが来ている時の反応だ。
『誰か来てる?…誰だろ?』
背中から飛び降りると、ロロと並んで慎重に店の前へと歩く。
戸口からは、かすかに人の気配。
アルシアはドキドキしながら扉を開けた。
「お、帰ったか」
低く、けれどどこか安心感のある声。
アルシアは目を丸くした。
『……レオン兄ちゃん!?』
扉の前に立つ男性は、少し髪を乱しながらも、いつも通りの余裕の笑みを浮かべていた。
「よぉ、アルシア。元気そうだな」
『うわぁ!久しぶりだ!!』
「魔物騒動の見回りで近くまで来てな。少し休ませてもらおうと思って寄ったんだ」
懐かしい声と笑顔に、
アルシアの胸は一気に温かくなり、思わず飛び込んだ。
「おっと!……重くなったな」
『へへへ、毎日マルダの美味しいご飯食べてるから!』
「そうか、たくさん食べて大きくなれよ」
『うん!』
久しぶりの再会に会話が弾む。
『そういえばマルダは?』と抱きついたまま、きょろきょろ辺りを見回すアルシア。
「マルダのばあさんなら、今裏の倉庫で薬を取ってきてくれてる」
『怪我してるの?』
「いや、補充だ。マルダの薬は効き目がいいから助かってる」
『でしょ!もっとたくさん買ってって!』
満面の笑みに、レオンは苦笑いで「俺が金持ちになってからな!」と抱っこしたままその場でグルグル回って見せた。
『うわぁ〜!目が回る〜〜!』
2人が戯れていると、倉庫から薬を持ったマルダが戻ってきた。
「おやおや、アルシア。おかえり」
『ただいま!今日はロロと串焼き食べて帰ってきたんだ!』
「そうかい。鳥の香草焼きを作ったけど、食べるかい?」
どうしようと悩んでいると、
「俺がもらおう!」とレオンが答えた。
『レオンが食べるならいいよ!お腹いっぱいだし!』
「よし、じゃあマルダ、それは俺にくれ!」
『マルダのご飯は美味しいよ〜』
「そりゃ〜楽しみだな!」
2人のやり取りをマルダは「しばらく会ってないのに仲良しなことだ」と嬉しそうに背中を向けて薬を袋に詰める。
『…ふぁぁ……』
「眠いのか?」
『ん……』
アルシアはそのままレオンの胸に顔を埋める。
「おや、寝ちゃったようだね」
マルダが近づき、そっと様子を見てレオンに伝える。
「ご飯は用意しておくから、アルシアを部屋に運んでやっておくれ」
「しょうがねぇな。せっかく会えたのに……残念だ」
そうぼやきながらも、レオンは優しくアルシアを抱きかかえ、二階の部屋へと運んでいった。




