一日の過ごし方(お仕事2)
【病院の仕事】
〜掃除編〜
洗濯を終えたアルシアは、掃除道具を持って、各病室へと足を進める。
(……うわっ部屋前から、黒いモクモクが…)
扉の隙間から、重く淀んだ気配が漂ってくる。
きっと昨日の戦いで怪我を負った人がいるのだろう。
『…よし。』
背筋が伸ばし、小さく息を整え、意を決して扉を静かに開けた。
まだ患者たちは眠っているようだ。
それでも時折、「うぅ……」と漏れる痛み声が、空気をさらに重くしていた。
(……っ)
重い空気に負けないように深く息を吐き、アルシアは掃除に取り掛かった。
まず窓をそっと開け、冷たい朝の風を招き入れる。
淀んでいた空気が少しずつ澄んでいくのを感じながら、床を丁寧に掃き、桶の水を新しいものに入れ替える。
水拭きは、音を立てないように雑巾をしっかり絞ってから。
ベッドの下、棚の隙間、目立たない場所ほど入念に。
ふと目に入ったのは、苦しげに眠る騎士の姿。
(マリーさんひとりじゃ手が回ってないんだな……)
そして、ふと思いつき、患者のおでこに置かれたタオルを静かに取り替えた。
(やっぱり冷たい方が気持ちがいいよね。)
さらに痛みにうなされている人には、マルダの乾燥ハーブを水に加えて、ほんの少し口に含ませた。アルシア自身が風邪をひいたとき、マルダによく飲ませてくれたを思い出したのだ。
「……あ……り……がと……」
かすかに聞こえた声に、アルシアはにっこり笑ってささやく。
『大丈夫だよ、良くなります。』
その声に安心したのか、騎士は再び静かに眠りについた。
最後に、洗濯の合間に外で摘んだ小さな野花を花瓶に活け、枕元の机に置く。
(少しでも楽になるといいな……)
重苦しかった空気が、ちょっとだけ軽くなった気がした。
(また明日もピカピカにしに来ますからね!)
心の中でそうつぶやいて、ぎゅっと両手を合わせる。
元気になりますように――
そう祈ってから、アルシアは静かに部屋をあとにした。
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次の病室の前に行くと
『ここの部屋もモヤってる…』
中には自分と同じくらいの子どもが苦しげに眠っていた。
(……この子も昨日の被害者なのか…)
窓を開けて朝の光を入れる。
子どもの額にはじっとり汗がにじんでいたので、タオルを取り替えてあげた。
「……やだ……おかあさん……」
弱々しい寝言に、胸がぎゅっと締めつけられる。アルシアはそっとその手を握り、もう片方の手で枕を直した。
(少しでも安心できるように……)
小さな折り紙で蝶を折る。
――むかし、仲良くしていた冒険者のお兄さんが、折り紙の蝶をくれたことがある。
「これはお守りだ。怖い魔物が来ても、きっと守ってくれるからな」
そう優しく笑った、
アルシアはその思い出を胸に、囁いた。
『これ、お守りだよ。魔物が来ないように守ってくれるからね』
アルシアは同じように小さな蝶を枕元にそっと置いた。
不思議と、子どもの寝顔が少し穏やかになったように見えた。
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その後も同じように各部屋の掃除を終わらせていく。
「患者が多いときは、清潔な環境に整えることが大切だ」とマルダに教えてもらったので妥協はしない。
(ふぅ、、終わった…)
掃除道具を片付けてマリーさんを探すことに。




