夏が来れば思い出す1
どうぞ今回も気軽にページをめくってもらえたら嬉しいです!
竹本は現在、すぐ近くの大学病院の陰圧室のベッドで暇そうに天井を眺めていた。
未知の感染症やらなんやらが怖いとのことで、帰って来てすぐここに押し込まれた。
一緒に帰ってきた隊員たちも暇そうにテレビを眺めたり、ゴロゴロしている。
あんな体験をした後だと、余計こっちがつまんなく感じる。
ベッドで竹本は目を閉じながら思い返す・・・。
ミーシャを先頭にスキムロードを降りる。
降り方は機械も使わず結構シンプルで、軽く光ってない地面の方に移るだけ。
慣性で何歩かジョギングみたいになるが、結構楽だ。
Dカードを改札で掲げると2℣取られた。これがどれくらいか分からないが、200円ぐらいなのかな?そう一人竹本は考えていた。
改札口を抜けると木の中とは思えない程多くの人型、犬、猫型の住民が行き来していて広い。今まで行った事のある東京の某スタジアムより確実に広い。
吹き抜け構造みたいに天井がかなり結構高い所にあり、壁には蔦が覆っているみたいだが、何故か葉っぱ一枚一枚が光を発し、屋内を照らしていた。
真ん中にはピラミッドの様などっしりとした四角柱をした大きいモニュメントみたいなものがあり、頂上からは噴水みたいに水が噴き出し、壁面を流れ落ちている。
流水はどういう訳か大理石状の床を濡らさず、地面に着いた瞬間全て蒸発したかの様に立ち所に消える。
そこの周りにはいろんな格好をした人がごった返していた。
「ここが聖樹のど真ん中、カルタス広場にゃ。あの真ん中に立っているのが
カルタリア探索者ギルド本部兼、迷宮ユスカルへの入り口にゃ。」
「め、迷宮?」
思わず竹本は訊いてしまった。
それじゃあ、まるでその迷宮がダンジョンなのでは?
「そうなの。創造神様が造っている地下何階層にもおよぶ大きい迷宮にゃ。いろんなモンスターがいて危ないけど、色んな物が取れるし報酬が美味しい場所にゃ。」
やっぱり、そうだ。
竹本はその事実に思わず頭を抱えそうになったが、堪えた。
「今日は無理かもしれないが、いつか潜ってみてくれ。」
ツヴァイがそう言うと、一行を直ぐ横の壁に呼んだ。
そこには半透明な膜が張った大きい管が2本上下に続いていて中には水らしきものが流れている。
何だろうと見ていると、一つの管の方で上から大きいシャボン玉の様なものに包まれた人たちが降りてきた。
びっくりして息を呑んで見守っていると、自分たちと同じ高さぐらいでその大きいシャボン玉は流れに逆らいながら止まる。
そこから、全ての乗客が何事もない様に降りて各々違う方向に歩き去った。
「さぁ、みんな乗ってください。」
ツヴァイが、もう片方の管で止まっているシャボン玉に飛び込む。
躊躇する隊員を後ろ目に、全てが真新しいから驚くのを諦めた竹本は続いて飛び込む。
一瞬、ほんの一瞬、水の入った風船のようなタプンという感触と軽い抵抗が体を包んだが、直ぐに解放され簡単に入った。
中はエレベーターに乗れたと言うよりも中で浮いていた。周りを流れる水の音もせず、匂いも全くしない。
無重力の様に、シャボン玉の膜には触れられないが、かと言って宇宙のように勝手に上下左右が反転することもなく、ふわりと静止していた。
「不思議な感覚でしょう。」
ツヴァイが動揺してあっちこっちを見回していた竹本を見て軽く笑う。
小馬鹿にするでもなく、純粋に“面白いものを見た”という顔で笑っていた。
竹本の様子を見ていた隊員たちは隊長の動揺を見てはじめ不安になったが、直ぐに落ち着きを取り戻した竹本が手招きしたのを見て一人一人、飛び込んだ。
みんな、竹本のように、不思議な感覚に戸惑ったが、諦めたのか直ぐに落ち着く。
最後にミーシャが飛び込み、シャボン玉が音もなく上に登り始めた。
周りに水が流れているから良く外が見えないが、結構なスピードで上がっているのか、今までいたホールが直ぐに消えて、木の中だからか茶色壁が周りを覆う。
数秒後、シャボン玉が速度を落とし、目の前の茶色い壁が開いた。
「降りますよ。」
そうツヴァイが言い残すと背後から押し出されるような感覚と共にみんなシャボン玉から降りる。
竹本はびっくりして振り返るとすでに扉は閉じていて、ボタンがなければ、どこに扉があるか分からないほど一体化していた。
周りを見回すと松明が二つ、小さい部屋を照らしていて、目の前には金で装飾されたいかにも重そうな両開きのドアが鎮座していた。
「さぁ、長たちがお待ちです。」
ツヴァイがそう言って軽くノックすると、まるで待っていましたかのようにドアが直ぐに、そして静かに開いた。
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次の展開もいろいろ考えてるので、よかったら引き続きお付き合いください。
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