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幕間:とある大学教授の受難2

どうぞ今回も気軽にページをめくってもらえたら嬉しいです!


総長室に入ると、そこにはいつも以上に険しい顔をした総長の他に、見慣れないスーツ姿の二人が座っていた。

一人は真夏なのに官僚らしく、キッチリとした黒いスーツを着こなしたメガネ男で、もう一人は白い自衛隊服を着た若い女性だ。

佐々木が入ると二人が席を立った。

佐々木は何が起きているのかよく分かっていなかったが、これはカモ眉毛の件ではなさそうだと推測した。

総長が戸惑って立ち尽くす佐々木を見て軽く咳払いをした。

「佐々木君、まぁ座ってくれ。」

佐々木が二人の対面の席に座ると、

「授業中、突然すまなかった。こちらの方々は政府の方だ」

そう、いきなり切り出した。

――政府?

すると、メガネ男が名刺を差し出した。

「内閣官房危機対策室の神田と申します」

名刺の肩書には「特別調整官」と書かれていた。

「あなたの専門が言語・文化人類学であると伺っています。現在、政府として急ぎ調査中の“現象”に関して、文化的な観点から助言をいただきたく思いまして」

あれ?って佐々木が思っていると、

「本来、宇崎総長が第一人者ですので招聘したい所でしたが、自分より適任がいると佐々木さんを紹介して下さいましたので・・・。」

神田さんが説明すると総長が都合よく顔を背けた。

あのジジイ、面倒くさそうなのを感じ取って押しつけやがったな。

「ははは。光栄です。」

乾いた笑いとともに佐々木は青筋がこめかみに出来そうなのを必死に堪えながら答えた。

「現在、全国各地で未確認地下構造物が発見されているのはご存知かと。」

神田が空気など気にもしていなかったのか、いきなりぶっ込んできた。

「えぇ。まぁ。」

なんで、その話が自分と関係あるのか全く繋がりが見えないが・・・。

「我々は、この穴を一時的にダンジョンと呼称しているのですが、ここだけの話――、」

機密ですよ、そう言って、神田が一歩近づき声を落とした。

「――熊本のダンジョンに於きまして、知性生命体との接触が報告されました。」

一瞬、部屋の時計の音がやけに大きく響いた。

佐々木は一瞬、神田が何を言ったのか理解出来なかった。

ただ、頭の中で言葉の意味を咀嚼しきれた瞬間、背筋に寒気が走った。

「――知性体?」

口の中の水分が突然蒸発したのか、声が掠れて出てきた。

自分がお呼びならおそらく喋れて、書くことのできる生き物なんだろう。

神田が真剣な表情で頷くと鞄からファイルを取り出した。

「佐々木准教授には、只今より熊本へ向かって頂きたく・・・。」

「え、今から?」

その言葉を聞き、急に現実に引き戻された。

授業やら妻やら、色々とやることがある無理だ、そう言おうとした時、

「授業は、わしが引き継ぐから心配せんで良いぞ。あと、暫定的に教授にしとくから。舐められたら堪らんからな。」

さっきまで静かにしていた総長が急に口を挟んできた

要らない助太刀だ、あのジジイ澄んだ顔をしやがって。

「いやでも、妻が・・・」

「熊本に向かうまでお電話は可能ですので、それではダメですか?」

神田が懇願してきた。佐々木はその必死な顔を見てウッとなった。

自分は必死に頼まれると断れない、そんな欠点があると認識していた。

それは総長も知っているから、あの達観とした表情なのだろう。

癪ではあるが、乗るしかない。

「分かりました。」

そう言うと、神田がホッと息を吐いた。

「ありがとうございます。長期の滞在になる可能性がございますので、それらの金は全て政府で支払いますので。」

あれぇ?長期なんて今知ったぞ。

「給料もここの准教授席もきちんと責任持って守っておくから」

宇崎総長が付け加えた。

はいはい、と佐々木が頷いていると、

「では、動きましょう。」

神田が席を立ちながら、ファイルを佐々木に手渡した。

「こちらは機内でお読み下さい。」

「え、でも周りに人が・・・」

佐々木が戸惑っていると、

「うん?あぁ、お乗りになるのは旅客機ではなく・・・」

「戦闘機です。」

最後、今までずっと静かにしていた女性自衛官が初めて口を開いた。

「せ、戦闘機?」

佐々木の口の中がまたパサパサになっていた。

「はい。私、松田が熊本までお連れします。」

彼女はニッコリと佐々木に答えた。

ここまで読んでくださってありがとうございます!

少しでも楽しんでもらえたなら、それが一番のご褒美です。

次の展開もいろいろ考えてるので、よかったら引き続きお付き合いください。

感想や応援の言葉、とても励みになります!

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