突入!
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「・・・1600に東京で特戦群が内部に突入したようだ。」
菊池師団長の声が、テントの中に低く響いた。
他の幹部と一緒に聞いていた竹本情報小隊長は身震いをした。
武者震いではなかった。
背中を冷たい指でなぞられたような、得体の知れない悪寒だった。
これから、日本は――いや、世界はどうなってしまうのか。
「数分毎に報告が入って来ている。各自、目を通しておけ。」
幹部たちは敬礼すると、次々と机の上にある報告書を手に取った。
竹本も紙を手に取ろうとした時、
「竹本、ちょっとこっちに。」
師団長に呼び出された。
その声は抑えていたが、どこか硬かった。
外に出ると、雨は小康状態。どんよりとした雲が空を覆い、蒸し暑い湿った風がじっとりと肌にまとわりついた。
そんな曇天を菊池師団長は苦い顔で顰めながら見つめていた。
竹本は空気を読み取り、休めの体勢で待つ。
しばらくの沈黙後、師団長が重い口を開いた。
「東京の報告がそろい次第、こっちも突入する。そこで先陣をお前に頼みたい。」
そして、静かに頭を下げた。
「頼む。」
竹本は、驚きながらも、すぐに姿勢を正した。
「師団長、全く問題ありません。情報小隊の任務は敵地での偵察、先陣はお任せ下さい。」
そんな会話がほんの30分前。
今は穴の前で30人の隊員と共に最終点検をしていた。
テントの入り口で腕時計を見ていた隊員が顔を上げた。
「突入、1分前!」
大声で告げられた。
竹本は鉄帽の緒をしめながら、20式小銃のセレクターをもう一度度確認した。
「30秒前!」
「マスク、ライト、装備最終確認!」
竹本の号令で隊員は前後の人とガスマスクとライトの状態確認をした。
「10秒前!」
「よっしゃ、お前ら行くぞ!」
「おぅ!」
竹本の号令に隊員たちの野太い声が返ってきた。
頼もしい限りだ。
そう感じながらも、胸の奥では、鼓動がわずかに速まっていた。
そして、・・・
「突入、突入!」
その声と共に30人の隊員は未知へと足を踏み出した。
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