表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
11/11

厄災か福音か 日本編

どうぞ今回も気軽にページをめくってもらえたら嬉しいです!


「何だって?」

夜中の1時にも関わらず主要閣僚が集まった緊急閣僚会議でスキンヘッドのおじさんが声を上げた。

声の主は長井 涼馬(ながい りょうま)内閣官房長官。

ちょうど先程、アメリカ経由からお隣中国で重大な事象が起きていると連絡が入り、関係閣僚から報告を受けている最中に警察庁から緊急報告が入った。

「ダンジョンらしき未確認構造物が東京で見つかった?どこで?」

長井官房長官の険しい声に電話越しの警察庁長官は自体がよく分かってないので不思議に思いながらそれを表に出さず冷静に返答していた。

「分かりました。機動隊を使って一帯を封鎖してください。可能なら長官も官邸にお越しください。閣僚みんなにブリーフィングをしてもらいたいので。はい。はい。お願いします。」

そう言って電話を切った。

松殿 千紗子(まつどの ちさこ)内閣総理大臣を含めた閣僚のみんなが息を呑んで注目する中、長井官房長官は大きくため息をつきながら口を開いた。

「新宿御苑で地下に続く穴が見つかったらしいです。今の所、中国のように何らかの怪物が出てきてはないらしいがとりあえず機動隊で一帯の封鎖をしておきました。」

色めき立つ閣僚たち。不安や動揺が広がり、喧喧囂囂で対策を話し出す中、松殿総理は椅子に深く腰を掛けて対策を思案していると1年前の出来事を急に思い出した。

「もしかして国連総会のあれは本当だったのか?」

思ったより声が大きかったのか閣僚のみんなが静かにこっちを見つめていた。

松殿総理は顔を赤らめながら咳払いをして話し始めた。

「去年、私が初めて国連総会に演説に行った際、不審者か分からない人、自分のことをエンティティと呼んでいた、が急に出てきて1年後ダンジョンなるものが出てくるぞって言っていたのです。当時はただの集団幻覚と扱われたのですが・・・。」

周りのみんなが眉を顰めたり、顎に手を置きながら半信半疑でこちらを見ていた。

そんな事から最後は尻切れ蜻蛉となったが、松殿首相は頭を振った。

今は、そんなな話より喫緊の課題がある。

「長井君、すぐさま危機管理センターの設置を。」

長井が頷き、スマホを手に取り一時的に部屋を出た。

「波多野君、外務省は引き続き、米中から情報収集をお願いします。現地邦人の安否確認と撤収も視野に動いてください。自衛隊にもいつでも出動できる様に待機命令をお願いします。」

波多野外務大臣兼防衛大臣は了解と言いながら長井と同じく一時的に退席した。

「他のみんなもどんなことが起きるか分からないので、素早く動けるように。では一時解散。」

そう言うと、残っていた大臣達は立ち上がりながらスマホで連絡を入れ出していた。

その様子を見ながら松殿総理大臣は夫と会う時間がまた減るなと凹みながら、自分は総理なんだと心の中で叱咤した。

国のトップたるもの、緊急時は身を粉にして国民の為に尽くす。

それが自分の信条。日本、日本国民を守らなければ!



早朝の3時。

日本中央放送(NCH)の金本報道局長は宿直勤務中でカタカタとパソコンで仕事をこなしていた。

机の上に散乱するコーヒー缶と目の下にできたクマがいかに宿直が大変な仕事なのかを示していた。

ひと段落がつき目一杯背伸びをしていたところにデスクの電話がけたたましくなった。

嫌な音だ。また、仕事が増える音だ。

そんな思いを押し殺しながら金本は受話器を取った。

「はい、NCHの当直、金本報道局長です。」

「夜分遅くに失礼します、総務省の高部です。44条に基づく特番体制お願いします。」

金本はそれを聞き、空を仰いだ。

やっぱり、めんどうくさい内容だ。

ただ、それを声に出すのは違う。

「了解しました。特番内容は?」

億劫なのをおくびにも出さず、ハキハキと金本は応対した。

「中国において未確認生物が大量発生しており、現在軍隊が対応していること。それと新宿御苑で未確認地下構造物が出来ていて、中国と似た状況が起き得るという内容で。」

金本は話を聞くと眉を顰めた。これでは何かの壮大なドッキリか、イタズラ電話かではないのか?

ただ、電話番号は間違えなく総務省の情報流通行政局だ。政府がこんな早朝にアホな様なことをする筈がない。

「午前4時には官房長官が緊急会見を行って具体的に説明などをしますので、よろしくお願いします。」

受話器の向こうの高部なるものが続けてそう言った。

「これは扱いとしては災害なのですか?それとも・・・。」

金本が訊くと

「それについては緊急会見時にお尋ねください。後、新宿御苑は現在半径1kmの一体は立ち入り禁止となっているので報道の際はそこを注意してください。」

その後、高部は何個か注意事項を言った後に電話を切った

金本はメモをサラサラと書き終えるとすぐさま深夜速報チームに電話をかけるため再度受話器をとった。

さてさて、放送局の仕事開始だ。


ここまで読んでくださってありがとうございます!

少しでも楽しんでもらえたなら、それが一番のご褒美です。

次の展開もいろいろ考えてるので、よかったら引き続きお付き合いください。

感想や応援の言葉、とても励みになります!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ