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非在  作者: り(PN)
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 コードネーム、レーゲン・ボーゲン(虹)に連れて行かれたのは、見掛け安アパートだった。だが、もちろん防備は万全のはずで、おれはそこで依頼を受けた。

『ようこそ。変わった真似をして済まなかった』

 ノートパソコンの画面から依頼主がいった。顔はアメリカ漫画のキャラクターだった。『傭兵として種種実績のあるきみを信用していないわけではないが、用心のためだ』

 依頼主の形式的挨拶はそれで終了し、さっそく用件が切り出された。レーゲン・ボーゲンは部屋の隅に下がり、おれと依頼主の遣り取りから目を逸らしている。ただし、銃はおれに向けたままで……

 依頼内容は文字情報として表示された。

《ワシントン、D・Cにある合衆国海軍所有の天文台に向かって欲しい。そこに欲しい情報がある。内容は不明だが、科学上の発見らしい。しかし、どうも軍事的な匂いがしてね。現在の経済情勢を変革させる情報になるかもしれんのだ。期間は、いまから二週間以内。報酬は、きみの単位で五十万クレジット。半額は、すでに軌道銀行のきみの口座に振り込んである。成功することを期待するよ。以上》

『ひとつ訊きたいんだが?』

 右脳の増幅器で電磁的にノートパソコンにアクセスすると、おれは画面に記した。

『得られた情報が実はガセだった場合、おれに危害が及ぶことはないんだろうな?』

 十秒ほどしてから、返答があった。

《きみの危惧は理解できるが、情報の判断については、組織のデータ解析チームの手腕を信用してもらうしかない。……この答えで満足か?》

『充分ではないが了解した。依頼を引き受けよう』

 もっとも、反論の余地はなかったわけだが……

「おばさん、帰るよ」

 ノート・パソコンの蓋を閉めると、おれはレーゲンボーゲンに声をかけた。

「済まないが、タクシーで空港まで送ってくれないか?」

「はいはい、わかりましたよ」

 レーゲン・ボーゲンが答えた。

「でもまあ、お兄さんも、お忙しくて大変ですねぇ。ひゃっひゃっひゃっ。今晩くらい、綺麗どころとお楽しみなすっても罰は当たらんと思いますがねぇ」


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