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少年T
ハッとした。
何故、今自分は残念がっていたのだろうか…?
別に、興味なかったはずなのに。
自分の少年への気持ちが分からなくなっていった。
「…い、おい!何ぼーっとしてんだよ?」
「え…あ、まだいたの、。」
「お前って、どこ中?」
「いや、引っ越してきたばっかだから…。」
少し気になっている様子だったが、少年はそのまま立ち去って行った。
ふと、空を見上げると日が眠たそうにしていた。
もう帰ろう。
「ガラガラ…」
「ただいまー。」
靴を脱ぎ、ドアを開けてリビングへと入っていく。
もう、あの空気はどこかへ行ってしまっていた。
しかし、リビングにはじぃじしかいなかった。
「あれ?ばぁばとグランマーは?」
「台所で夕飯を作ってくれてるよ。」
何だか、お泊まりみたいだ。
自分がこれからこの家に住むなんて、本当に
想像がつかない。
あの少年Tも私たちの小学校に来たとき、
こんな感じだったのだろうか。
「りっちゃーん。帰ったん?」
考えても仕方ない。
「お箸ならべといてぇ。」
もう、きっと会わない人のことなんてー…。