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7話 女子部屋➁

今日、一日だけ泊めてもらうことになった俺は、風呂を貸してもらった。

風呂はジェットバス、庶民の俺からすると、背中に違和感があり、逆に入りにくいとも思えた。


「ん?なんだこれ?」


そこには、後付けされていた機械が設置されており、壁にはスイッチのような物があった。

機械にはファンのようなものがついていた。


俺は好奇心でそのボタンを押した。

すると、機械から大量の泡が出てきた。


「こんなのがあるんだっ!」


泡を持ち上げながら言う。

ある程度したら、機械が自動的に止まり、泡もそこそこな量になった。


俺はすっかり冬野さんのことを忘れて遊んでいた。

気づいた頃には1時間の長風呂をしてしまっていた。


すぐに風呂からあがり、冬野さんが用意してくれた、来客用の服を着て、俺は再び冬野さんのいる部屋へと戻る。

入ろうとした瞬間に、冬野さんが誰かと電話をしているのに気づき、入るのをやめて少しの間外で待っていた。


なんだか、深刻そうな話をしているのか、声がいつもより暗い。


「ごめんね。私、好きな人がいるから冬夜とうやくんとは付き合えない。うん、じゃあ」


冬野さんがスマホの通話を切ったと同時に、立ち上がる音がした。

俺がそんな状況にあたふたしていると、冬野さんが部屋から出ていた。


「こ、小崎くん!?いつからいてたの、、、?」


と、怪しさ満載の言葉を放った冬野さんに俺は


「ついさっきです」


とっさに嘘をついた。

冬野さんはその言葉を聞いた後は胸を撫で下ろし、安心したようなそぶりを見せた。


『私、好きな人がいるの』


さっきの言葉が頭から離れない。

声のトーン的に、完全に本当のことを言っていたと思う。


冬野さんの信じられない発言に、俺まで動揺し始める。


俺は冬野さんにリビングに連れていかれ、晩御飯は何がいいかと聞かれた。

当然、さっきの言葉が頭に残り、話が全く耳に入らない。


「ねぇ、聞いてる?」

「はいっ、、!じゃあ、カレーでいいです、、、」


冬野さんはレトルトのカレーを取り出し、レンジで温め始める。

俺は下を向きながら、さっきの言葉について考える。


「ねぇ、さっき部屋の前にいたでしょ?」

「え、いやぁ、、、」


俺が口籠もっている間に冬野さんは話し始めた。


「私、好きな人が居るんだよね」


あれ、、、すごい胸が締め付けられる、、、。

胸に誰かから握られたような感覚がはしる。


「もし、もしも、、、!」


冬野さんは電子レンジを見ながら話す。


「小崎くんのことが好きって言ったらどうする、、、?」


冬野さんは俺の顔を見ながら、なんだか悲しそうな、スッキリしたかのような目をしながら問いかけてきた。

俺は目を合わせることができず、返事を返すことも出来なかった。


何か言え、、、!何か言え、、、!何か言え、、、!何か言え、、、!何か言え、、、!

心の中で、そう何回も言い聞かせた。


「同じ気持ち、、、ですかね、、、」


やっとの思いで出した言葉がそれだった。

一分間の沈黙がおこった、冬野さんの方を見てみると、俺から完全に目を背けていた。

耳まで真っ赤だった。


「ご、ごめん、、、!私、お手洗いへ行ってくる、、、!」


と、冬野さんが走っていくのをただ後ろから見つめることしか出来なかった。








〜〜〜〜〜〜〜〜〜









あの後、冬野さんが仕切り直してくれて、二人で仲良く晩御飯を食べて寝た。

もちろん、二人は違う部屋で寝た。

二人とも、健全な高校生。もう一度言う、二人は健全な高校生だ。


「おはようございます、、、」


俺が目を擦ってリビングへ行ったら、冬野さんが先に起きていた。

冬野さんは、朝から何か作っているようで、エプロンを着て何かをしていた。


「何作ってるんですか?」

「パンだよ〜」


軽々しく答える冬野さんを見て『女子力高いなぁ』と感じた。

うちのとこなんて、カップ麺すらまともに作れないのに、、、。


パンを焼きあがるまでの時間、俺と冬野さんは二人で音ゲーをした。

初めて隣でプレイしているところを見た。


やはり、人間離れした指の速さだった。

目では追いつけないものを、完全に体が覚えている。


ウォーミングアップでやっていた曲もサクっとAPしていた。

全国2位と全国1位ではここまでの差があるのか、、、。と痛感し、俺も例の曲を数回プレイした。


1時間後、リビングからパンが焼けた音がした。

俺たちは、ゲームを中断してリビングへ戻る。


冬野さんが、焼き上がったパンを出し、焼け具合を確認する。

綺麗な黄金色のパンは朝から食欲がそそられるものだった。


「美味しいです!」


俺がそういうと、冬野さんはニコッと笑ってくれた。

いつもの朝ごはんのエナドリとは違い、とても小麦の甘味があるパンだった。


久しぶりに健康的な朝ごはんを食べて俺は、満足し、帰る準備を始めた。

本当は帰りたくはないが、帰らなければ、冬野さんに迷惑をかけてしまう。


最後に、忘れ物はないか確認し、部屋をでた。

「駅まで送っていくよ」と冬野さんが言ってくれ、本当に駅まで送ってくれた。


「今日はありがとうございました」


と、駅の改札口で言った。

そうすると、優しく手を振ってくれ、俺はホームへ向かう。


俺はふと昨日の事を思い出した。


「私、好きな人いるんだ」


俺は再び、この言葉について考え始めた。

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