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3話 miyukiとミナ

沈黙を先に破ったのは冬野さんだった。


「小崎くんってシンクさんだったんだ!(笑)」


冬野さんは楽しげな声で笑う。

俺はまだ状況が掴めておらず、その場で固まっている。


「にいにい、固まってないで早く動くのですよ」


後ろから聞いたことがある声がした。

俺は状況の整理ができていないまま、後ろを振り向いた。


そこにはとこが立っていた。


「なんでとこがここに、、、!」

「こっそり尾行しました!ずっと後ろからついて行ってたのに全然気づかないにいにいが少し面白かったです」


とこがクスクスと口を抑えて笑っている。


「小崎くん、その子だれ?」

「あぁ、うちの妹のとこです。中学三年の音ゲーマー、こいつのプレイヤーネームは本名の『とこ』って名前」


そう俺が説明すると、冬野さんは手をポンっと叩いて何かを理解したかの様なそぶりを見せた。


「あぁ、あの上位勢の!」

「そうです」


とこは上位勢と呼ばれて少し嬉しいのか、ニヤニヤが止まらなくなっていた。

その顔を見た俺は少し引き気味にとこのことを見る。

あと、一歩後ろに下がり、物理的距離も確保した。


「小崎くんって、妹には敬語じゃないんだ、、、じゃあ、私もう帰るから」

「え!?もうですか!?」

「今日は会うのだけの予定だったし、じゃあまた来年ね〜」


冬野さんはそういって場を後にした。

俺はその場でとこに説教をした。それが効いたのか、とこは帰り際一切話さなくなってしまった。


住宅街を少しの罪悪感を持って歩く。

いつもの道なのに、ゆっくりと時間が過ぎてくように感じた。


妹とはいえ、血は繋がってないし、とこは性別的には女性だし、、、。


「ちょっとそこのコンビニ寄るわ」


俺はそういって帰り道にあるコンビニへ寄った。

コンビニではアイスクリームを買った。しかも、とこが大好きな白み大福。


色々と悩んだ末、物で機嫌を取るという最低な行動が真っ先に出てきた。

結局は作戦大成功。家に帰って二人で食べた。


このアイスが人生で1番美味しかったかもしれない。


食べ終わった頃にはもう夕暮れ時だった。

とこが先に風呂へ入り、俺は待ち時間に新曲を詰めた。


何故かあの動画を見てから心に火がつき、同時に感動を与えてくれた。

俺みたいなオタクは手元動画だけで感動してしまう。

自分のオタクさがどれほどの物なのかを痛感した瞬間でもあった。


「にいにい、お風呂どうぞ」


部屋の扉を開き、とこが肩に今大人気の配信者の「サメール」のタオルをかけ、左手にはエナドリを持っていた。

こんな不健康な風呂上がりの飲み物は多分存在しない。


まぁ、俺の朝ごはんも大概な物なんですけどね。というか同じやつだけど。


「miyukiさん可愛かったですよね〜」


とこが俺の部屋の椅子に腰を下ろしながら俺にそういった。

俺に向かって手を出してくるとこにお望みのコースターを手渡す。

そこにエナドリを置く。


「冬野さんはクラスでも有名な人だからな、何人にも告白されたって噂聞いたことあるし」

「あ、その冬野さん呼びやめてください。違和感すごいので」


多分とこの中ではプレイヤーネームの方がしっくりくるのだろう。

だってここ二年はmiyukiさんで通ってるからな。


「ぶっちゃけmiyukiさんのこと気になりますか?」


そんなことを聞いてくるので、俺は近くにあったとこのエナドリを飲んで顔を急いで隠した。


「あ、それ私のエナドリ、、、」

「あぁ、ごめん」


俺は適当に謝り、事を流そうとする。

それに対して、とこの顔が妙に赤くなっている気がした。

俺から顔を背け、斜め右下をじっと見つめる。


何やってんの、、、?と最初は思ったが、時間が経つにつれ、いろいろなことが頭の中で整理されて繋がっていく。


少し妙に意識してしまった。

いや、でも妹だし、、、!そういうことにしよう!


「家族だし、、、!別に、、、!ちょっと俺トイレ!」


俺が席を外した瞬間、とこは。


「私たちでも、血がつながって無いんですよ、、、!」


と言っていた。これはもう聞いてないことにした。

これ以上話を広げると面倒なことになるので、俺は以降こんなことをしないと肝に銘じておいた。


間接キs、、、うわぁぁぁぁ!

一回トイレに逃げ込んだ俺はトイレの中で頭を抱え込んだ。


俺、ある意味犯罪者、、、?

『勝手に間接キスにもっていった罪でお前を死刑とする!』


最悪の事態が頭の中で膨らむ。

実際はこんなことにはならないが、俺はこういう時だけやけに最悪の事態を考えてしまう癖があるので、ついつい考えてしまう。

とりあえず部屋に帰って謝ろう、、、!と心に強く決心した俺は、トイレから出て2階の部屋に戻った。


そしてまた、部屋の前で頭を抱える。


「にいにい、、、何してるんですか、、、?」


俺が頭を抱えながら、部屋の前を転がっていると、ついにとこが部屋から出てきた。


「すいませんでした!!!!どうか起訴だけは!!!!!」


俺は光速を超える勢いでDOGEZAをした。

日本人の誠心誠意の気持ちをストレートに伝える方法として、1番早いのはこの方法だ。


このDOGEZAにはとこもびっくり。

俺のDOGEZAの前であたふたしている。


「いや、、、でも、、、嬉しかったですよ、、、?」

「え、、、?」


とこは走って隣の自室へと顔を隠して入っていった。

俺はDOGEZAから顔を上げ、自室の鏡で自分の顔を見ると、これまでに無い赤面だった。


よければ、評価ポイント、ブックマーク、お願いします!!!!!!

ポイントの量に比例して、僕の涙が止まらなくなります!(笑)

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