2話 フレンド申請
ほとんどのゲームには『フレンド』という機能が存在する。
いわゆる、ゲーム内のお友達みたいなものだ。
「miyukiさんからフレンド申請が来てる、、、!」
12月27日午後3時12分。
俺のアカウントにあの全国一位の「miyuki」からフレンド申請が来ていた。
実はmiyukiさんはSNSでも『フレンド申請を送っても誰一人と承諾してくれない』ってことで有名だ。
そんな人から俺はフレンド申請がきてしまった。
承諾ボタンの数センチ上で指が固まっている。
本当に押していいのか?頭の中で一言の言葉が巡り廻る。
「にいにいはなんで押さないのですか?」
「だって、、、憧れのひ、、、ってうわぁぁ」
俺の小指が画面の承諾ボタンに触れてしまった。
そして、この話しかけてきた人は俺の義理の妹『とこ』。
こいつも音ゲーマーで最近親の都合で同居することになった中3の女の子だ。
胸は中学生なりにはかなりある方だと思う。
あと身長がちっちゃくって可愛いし、スタイルがかなり良い、周りと比べると段違いだ。
「miyukiさんですよ?私なら即OKします」
「ていうかもう押しちゃってるし!」
とこが俺の近くに寄ってきて、俺の持っていたタブレットを横から取る。
そして何か操作し出した。ゲームの設定を開いて何かをしている。
「届いだのです」
「何が?」
画面にはDMの画面が開かれていた。
俺は既に混乱状態。このゲームにDMシステムなんてあったっけ?そんなの存在しないよな?今までこんな機能なかったし、なんで?
頭の中は大量のハテナが飛び交った。
「裏技ってやつですよ。DMシステムは来年の3月に配信予定なのですが、開発者モードに入れば使えちゃうのですよね」
そんな事を流暢に話す。
簡単に言えば、不正って事だよね、、、?てことは、これが運営にバレたらアカウント削除、、、?
「にいにい、早くDM見てください。明日の昼2時に奥川駅に来てくださいって書いてますよ。要するに、にいにいに会いたいってことです。」
「えぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇl!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!???????????????????????」
これの声が家中に響き渡った。
あの伝説の音ゲーマーがなぜ俺なんかに、、、?
そう思うと少し緊張してきた。
「とりあえず明日行ってみるのです。」
「でもなんか怖いなぁ」
「私がついて行ってあげましょうか?」
「いらねぇよ」
とこが俺の顔を見てニヤニヤしてくる。
女子って大体ニヤニヤするものなのか、、、?女性の比較対象が最近出来た俺は、とこの事を見てそう思うようになってきた。
「まぁ、明日奥川駅だろ?行ってみるわ」
「私もついて行きますよ(笑)」
「絶対に着いてくんな」
そして俺はとこに「絶対に待っておけよ」と釘を刺しておいた。
とこは素直だから、俺のいうことは聞いてくれるはず。
というか、明日親父に釣りに誘われてるんだった。
断っとかないとな。
俺はリビングに居る親父のところへ向かった。
「親父、明日予定できたから釣り無理」
「えー!明日は絶対大物釣れるから、行った方が得やで!釣れるかどうかは知らんけど。」
「でも明日は外せない予定ができて、、、」
「女か?女やろ!でも、駿に女なんて出来る訳じゃないし、、、んー!わからん!」
「女じゃねーよ!」
と、性別がわからない相手を、勝手に女性ではないと決めつける俺だった。
フンッ!と豪快に鼻で笑う親父を見て俺も少しむすっとした表情になった。
親父は誰かに約束をキャンセルされるとすぐに機嫌が悪くなり、予定を立て直す準備に入る。
これがA型の血だ。
当然このあとはいつも通り部屋へ戻って新曲を詰めた。
しかしミス1で終わってしまい『このままでは誰かにAPされてしまう、、、!』と焦っていた。
焦れば焦るほど精度が落ちてゆき、次第にミス1すら取れなくなってきた。
「ミス12、、、?」
今日の最後のプレイ結果はミス12だった。
焦りが残ったままこの日は布団に入った。
〜〜〜〜〜〜〜
当然一睡も出来るわけがなく朝を迎えてしまった。
俺は朝起きてすぐに歯を磨かないと気が済まないタイプなので洗面台へ向かう。
「にいにいおはよです〜」
とこが目を擦りながら洗面所へとやってきた。
髪の毛がぼさっとしていているのが余計に可愛く見えた。
「おはよ〜今日は絶対に着いて来んなよ」
「わかってますよ」
俺はもう一度釘を刺しておいた。
それに対して、とこは不機嫌そうな顔を対応。
とこは朝に弱い挙句、不機嫌になるので朝には刺激しない方がいいが、、、。
今日はやってしまったようだ。
「にいにいはさっさとエナドリ持って部屋に引きこもるのです!」
そういってとこは俺にエナドリを投げつけ、ドンドンと音を立てて自分の部屋へと戻っていった。
俺はエナドリを持って、言われた通りに部屋に入りゲームを起動する。
「今日中にはAPしたいなぁ、、、」
AP への気持ちが強すぎるあまり、独り言を呟いてしまう。
選曲画面に入り、腕慣らしの曲を一回プレイする。
次に選んだのは新曲の「master」。
この譜面は指を8本使わないと間に合わない物量譜面で、説明がつかない量のノーツが降ってくる。その数3000コンボ。
終盤に差し掛かると、指が疲れて集中できない。
人間ならまず出来ない譜面。
「は、、、?miyukiさん、、、APしてる、、、」
驚きすぎて声が出ない俺はただ口をパクパクさせるだけだった。
ランキングに載った5分後にはmiyukiさんのmartubeのアカウントから、手元動画が公開された。
そこには人間離れした指遣い、処理能力、細かいノーツまでしっかりと拾う丁寧さが写ってあった。
その動画は3分で100万回再生と驚異的な記録を叩き出した。
配信から4日でAPされてしまった。
Miyukiさんの公式tumitterでは「今回の譜面をAPするまでかなりの時間を要してしまった」と書いていた。
やはり日本一は違う、、、!と格の違いを知った俺がふと時計を見ると1時30分だった。
感心している場合じゃない!約束の時間に遅れる!
俺は家を飛び出し、最寄り駅まで全力で走った。
あれ、、、?俺、最後に走ったのっていつだったっけ?
自分の体力の無さと、足の遅さを痛感した瞬間だった。
自分なりの全力疾走で駅まで走り抜け、1時42分の準急に乗った。
そこから15分ほど電車に揺られ、待ち合わせ場所の奥川に着いた。
時刻は1時57分、急いでDMに「着きました」と送信する。
すると、一分後にmiyukiさんの服装の写真が送られてきた。ロングスカートに上はベージュのパーカーだった。
「あれ?小崎くん?」
後ろを振り向くと、そこには冬野さんがいた。
「冬野さん!なんでいるんですか?」
「今待ち合わせしてて、約束の場所がここなんだ」
「そうなんですね」
冬野さんはロングスカートに上はベージュのパーカーを着ていた。
めちゃくちゃ可愛かった。こんな人と待ち合わせする人ってやっぱり、イケメンか女の子なんだろうなぁ、、、。
一人で敗北感を感じていた。
「冬野s、、、」
あれ?ちょっと待てよ?この服装って、、、。
俺は急いでスマホを見る。
ロングスカートに上はベージュのパーカー、、、。
「冬野さんってまさか、、、miyukiさんですか、、、?」
俺はスマホを見せながら冬野さんに尋ねる。
「え、じゃあ、小崎くんがシンクさん、、、?」
お互い見つめ合って1分間ほど沈黙の時が流れた。
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