約束と呪い
暗めの説明回です。
アルベール・ステラが、皇帝になったのは、いまから2年前。5歳の時だ。
リステアーラ皇国の貴族は腐っていた。
今となれば、もうみんな呪いで死んでしまったが。
その呪いというのは、ある日突然、宰相が死んだ事から始まった。
宰相だけなら、偶然ですんだだろう。
しかし。
その数日後には、将軍。
その次は、公爵家のものが全員。
次々と国の上部が亡くなっていった。
それでも、リステアーラ皇国は回っていたのだ。
上部が亡くなっても、上部が腐っている人間ばかりだったから。いなくても回せた。
その時までは、アルベール様の呪いとは言われていなかった。
しかし、上部の変死から、数日もせぬうちに、国王が倒れ、そのまま息を引き取った。
彼の大切な父は、なんの前触れもなく、亡くなった。
その次は、王妃様が夫を亡くし部屋に閉じこもって、しばらく経って、死体で発見された。
彼は、父に続き、母まで亡くした。
それでも、彼にはまだ、伯父がいた。
その伯父も、母が発見された、数日後馬車で崖から落ち、事故死。
最後に残された、彼は、何日経とうが死ななかった。
幼いものの、自分の力を薄々感じ取っていた彼は、そうして気付いてしまった。
これは、自分のせいだと。皇帝になりたい、と望んでしまったからだと。
不思議な力のあった彼は、下の妹や弟を守る為、5歳にして、皇帝になった。
民は、逃げようとした。
怖くて出来なかったようだし、実際に逃げた人間が生きているのかすら、わからないときているが。
……ゲームをプレイしてきた私にも、わからない。
なんで彼は皇帝になることを望んだのか。
彼の家族が死んだのは、間違いなく、彼の能力。
白髪赤目は、悪魔だと言われている。
現に白髪、赤目。
どちらかを持つものは、魔力の強いものが多い。
彼は、両方を持っていた。
そしてそんな彼が望んだから。
何故なのか、わからない。わからないが。
「……アルくんは悪くない。」
弱々しく呟いた言葉は、震えていた。
最後まで読んでいただきありがとうございます。