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『あの子』とキース


「えっと……キース? ここは……?」

「僕の部屋だよー!」


元気よく答えてふわふわした黒髪を揺らす彼を見た後、彼の部屋だと言う、小さな部屋を見渡す。


「……瓶がいっぱい……」

「綺麗でしょ?」


ここの瓶たちはおそらく、キースの魔法……封抑魔法に関係しているんだろう。


……こう言う感じなんだね……!


勇者パーティーの……あの子の部屋。



あの子。


……私がキースと呼んでいる彼には、正式な名前が存在しない。


『なんて呼ばれてましたの?』

『お前、名前は?』


優しい聖女の言葉にも、ぶっきらぼうだが気にしてくれていることが伝わる兄様の言葉にも。


答える名はない。


……これがキースに共感できない、気持ちがわからないと言われていた理由の一つ。


1番の理由は、多分。


ゲームで、キースが喋れないことだろう。


『……』


ゲームのテキストはこれ以外特になかった。




「ねぇ、キース」

「なぁに、主?」


なんとなくキースの名を呼ぶとはっきりとした言葉が返ってくる。


……『あの子』とキースはちゃんと別人だ。


そのことにどこかホッとしながら、私はキースに勧められた机の側のこの部屋唯一の椅子に腰掛けた。


「貴方は今、幸せ?」


そう問いかけると、キースは軽く首を傾げて、頷いた。


「うん、すっごく!

だって、主のおそばに居られるのが、僕にとっての一番だから!」


そういうと、キースはくるっ、とこっちを向いた。




「……それはそうとして、その服どうしたの?」


その服。

そう言われて、自分の着ている服を見下ろす。


裾が短めの緑のドレス。


わからないように中にポケットが付いており、ナイフなどの暗器を仕込んである、リー特製のドレス。


明らかに、私にしか似合わない感じの。


「これはね、リーが準備してくれたの」

「リー? ……伯爵の事か……」


 え?

なんか……どーしたんだろ、キース。


微笑んでいるのに、目が死んでるっていうか……。


え? こ、こわぁ。


「主? それは……」

「ねっ、ねぇっ! キース? シャーリアの事なんだけどっ!」


あまりに怖すぎて、キースの言葉を無理やり遮る。


「どうすっ……」

「行く」

「……あ、う、うん、荷物、用意しておいて……」


お、おぅ、即答かよ……。






「主」


ふと、思い出したかのように歩み寄り、キースが私の前に跪く。


「え……?」


「これからはシャーリアでも私が貴方のそばに居ます。

私は、貴方だけのキースですから」


……あれ? なんか、おかしくない? キース?


私が思わず固まっていると彼は、私の手を取り自分の頰に当てると、いつもどおりの、無邪気な子供のような笑みを浮かべた。




「ふふっ、これからは()()()()一緒だもんね? 主!」




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