鑑定姫とお友達
スピネルとローゼリリーは、同い年です!
え? スピィ⁉︎
思わず彼女をガン見していると、アベル兄様がバッ、と跪いた。
あ、私もしなきゃっ!
「父が申し訳ございません、第二王女殿下」
「お父様がご無礼を働き申し訳ございません、スピネル殿下」
アベル兄様の後を追うように謝罪をした。
「お気になさることはなくってよ?
ローゼリリー、アベル。
……レクイム伯爵も来られるとは思わなかったわ。不快にさせたならごめんなさいね?」
どこか冷たい声でそういったスピネル殿下の声を聞きながら、私はプルプルと震えていた。
スピィ、不器用可愛いっ!
さっきからのスピィは無表情だ。
でも、私には心が読める。さっきからのスピィの心の声がこちらだ。
『あぅっ、変な空気になっちゃった。褒められたくてやっただけなのに……うう、悲しい。あ、でもローゼリリー、スピネル殿下って名前で呼んでくれたよね? これはもう実質友達だよね? 初めてのお友達? 仲良し……お友達……え? 友達だよね? 違う? あれ、私がおかしいの? うう……聞いて違うって言われたら、立ち直れないよ……あと、ローゼリリー大丈夫かなぁ? シャーリア街にいるって……ローゼリリー、本当に頑張ってたんだ!えらい……すごい! 私のお友達』
きゃわわ……なにこの子、可愛い!
「スピネル殿下……?」
こてんと首を傾げるとスピィは、ちょっと肩を落とした。
『殿下かぁ……お友達……スピネル殿下……ローゼリリー……』
あ、名前で呼んでほしいのか。
うーん、出来るかなぁ。
「スピネル様……?」
そう呼ぶと、ちょっとだけ、スピィがこっちを見た。
「あ、の……スピネル……?」
恐る恐る呼ぶと、スピィの顔が輝いた。
普通なら、不敬罪になるんだろうが、本人が望んでるんだし、大丈夫だろう。
しかし、次の瞬間には、また厳しい顔。
「王女を名で呼ぶなど……」
『え、どうしよう、これは友達! 友達だよね? スピネルって、スピネルって!! どうしたら……あわわわわ』
かんわぁい……!!
言ってることは大抵建前で、本音が可愛いー!
「申し訳ございません。ご無礼をお許しくださいませ、第二王女殿下……」
あまりにも可愛い為、つい意地悪を言ってしまう。
「あっ、あのっ、違っ無礼とかじゃなくて、別に呼んでも構わないというかっ! えっとえっとその!」
『やっ、やっちゃったっ! 失敗しちゃったーー!
どうしよ⁉︎ 嬉しいのに!!』
可愛い。やばい。可愛いとしか言えない。
ツンデレ姫可愛い!!!
「よろしいのですか……? では、スピネル……私とお友達になってくださいませんか?」
慌てまくるスピィに流石に申し訳なくなり、そういうと、パッと笑った。
「べっ、別によろしくってよっ!」
『嬉しいっ! どうしよう! お友達、一人目⁉︎
しかも、聖女のローゼリリー! 嬉しいっっ!』
はぁ、ツンデレ……最高。
さっきからリーからは呆れたような、アベル兄様からは、慌てたような視線を向けられているが気にならない。
「どうか、私のことはお好きに呼んでくださいませ……スピィ」
友達に憧れを抱いていたスピィにそういうと、スピィは、考えるように視線を右往左往させた。
「……リゼ。リゼ、と呼んでもいいですか?」
おずおずとしたスピィの言葉に思わずパチクリと目を瞬いた。
リゼ。
この愛称は、亡くなった母様だけが呼んでいたものだ。今までは意識して、その愛称で呼ばれないようにしていたが。
『リゼに女の子のお友達が出来るのが楽しみね!』
初めてのお友達。
私にとってもそうかもしれない。
唯一の女友達っぽい相手、ルヴェナ様は、お友達……というより、社交相手だ。
表面上は笑っていても、多分、私の事は、あんまり心配していない。
友達が犯罪者や、孤児がいる貧民街にいたら、普通心配するだろう。でも、なにも言わなかった。
それにリーは、一般的には怪しい人だ。そんな、怪しい人と友達が一緒にいたら心配ぐらいするだろう。
ルヴェナ様は、必要ないことには、踏み込まないし、心配もしない。
私は、所詮彼女の社交相手の一人でしかない。
その点、スピィは……。
『初めてのお友達!』
『ローゼリリー大丈夫かなぁ?』
『嬉しいっ!』
「……はい、よろしくお願いします。スピィ」




