表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
17/27

社交界と友人


「……」


夜会当日。

私は、リーの『隠れ家』だという王都の屋敷の中で鏡を前に固まっていた。


夜会の前だという事で、着替えてみたんだけどねぇ。……リーが用意してくれたドレスが……。


別に、似合ってないとかじゃない。


似合いすぎだ。可愛い。大天使。

一億年に一人の美少女!


……ドレスの色は淡い緑。青の糸で花の刺繍がしてあり、首の辺りにーーー多分ゲームで見たコーデリア家のーーー紋章が、真ん中についたリボンが付いている。


コーデリア家の紋章は、お祖父様や叔父様から、使うことを許されてるから、使ってOKなんだけど、なんでリーが知ってるんだろう……。


しかも、サイズがぴったり。サイズは、いつ調べられたのか……。


それにしても。

9歳のドレスでここまで、手が込んでいるとは。


値段は……。考えていて、気が遠くなってきた。

リー、いつか返すよ……。


後ろのサラサラとした翠の髪を、両サイドで編み込んだ後、フワリと上の方で深緑のリボンで結い上げた。


……天使ーーーっっっ!!!


可愛いっ! 可愛いよ、リリたんっ!


推しキャラのドレス姿。原作ゲームでは、絶対に見られない……。


……リリたんに生まれて良かった!



ちなみに、エスコート……もとい、護衛兼付き添いは子供なので、普通は、兄か、父に頼むのだが。


いないので、お母さっ、こほん……保護者、リーデルがしてくれる。


至れり尽くせり過ぎやしないだろうか。


リー……、お礼に君が魔王に乗っ取られないよう、頑張るからねっ!



そんな風に決意し、私は外へ出た。待っているリーの為にも、早く行かなければ。


……リーの隠れ家、貴族の屋敷みたいだなぁ。







☆★☆








「よし、そろそろ到着だよ。ローゼ様、準備はいい?」

「えぇ、行きましょう。リー」


私は深呼吸し、()()に足を踏み入れた。




「……どこかしら?」


入ってから、ずっと視線を感じる。

作り笑いを浮かべ、その人達を見やるとひそひそとなにか囁き合う。リリたん天使だからな……。


しかし、リーと目があった途端、全員目をそらす。

リー……。


「だれか探してるの? ローゼ様」


若干、崩した敬語は彼らしい。


「実は、さっきから兄と従兄を探してるんだけど……」


アベル兄様にカイン。


勇者パーティーの一人、第ニ王女……スピィの誕生日記念である今日の夜会には来ているはずだ。





……スピィだっ! 可愛いっ!


ふと見知った顔を見つけてテンションが上がった。


勇者パーティーのメンバー、スピネル。

愛称、スピィ。

表向きは『鑑定士』。

だが、本当は勇者パーティーに、国王がつけた『監視』。


ツンデレ鑑定姫スピィ。現在は、9歳……。

はぁ、かんわぁい〜〜!!


興奮していると、リーにペシペシと、腕を軽く叩かれる。


……あ、そうだ!

私は、公爵令嬢……私は……。




「……ローゼリリー様……?」


自分に言い聞かせていると、驚いたような声が聞こえた。聞き覚えがある、この声の持ち主は私の友人ルヴェナだ。


「お久しぶりですわ、ルヴェナ様」

「お久しぶりです、会えて嬉しいですわ」


ふにゃふにゃと笑い合っていると、ルヴェナ様が、ふと首を傾げた。


「そちらの方は?」

「あぁ、友人ですわ」

「まぁ、そうでしたの。

初めまして。私は、メーリオス侯爵家長女、ルヴェナ・メーリオスです」


まぁ、と笑ってリーに挨拶してくれたルヴェナ様のご両親は、どこかで話しているようだ。


この夜会……ほぼパーティーだが……は、本来、社交界にまだでないはずの年齢の子供が多い。


王女の誕生日という事で、王女の同年代の子供達を連れてきて、側近や婚約者にしようという家が集まっているのだ。


割と、みんなマナーも敬語も間違えたりしている。


子供達の会話もどこか、ぎこちないし、それを許されているのだから、結構ゆるい。


本当にゆるい。……ゆるすぎでは?

子供の一人歩きが多くて、精神年齢17歳のローゼリリーお姉ちゃんは不安だよ……。



「そういえば……アベル様は、ご一緒ではないのですね」


先程お会いしたのですが……と、ルヴェナ様が首を傾げた。


……わー、優雅〜! って、そうじゃない!お兄様!


「ええ。お兄様ったら、全く妹を置いていくなんて意地悪なんですから……。

ルヴェナ様、お兄様を見つけたのは、何処のあたりですか?」

「あちらの方だったと思いますが……あ、お母様が呼んでいるので失礼ながら、また今度」

「まぁ、残念ですが……また今度」


ルヴェナ様……。私がお兄様に会いに行きたいのを察して、離れてくれたんだろう。


ありがたい。ルヴェナ様、今度非公式な場でお礼を言おう。







「ローゼ様……知り合い?」


お兄様をきょろきょろしながら、探していると、体を屈めたリーが、耳元でそう囁いてきた。




前を見ると、近づいてきていたのは。


「えっとーー……ロゼ?」


キラキラとした金髪に、私と同じ蒼い目。


この世界の救世主。



「久しぶり……カイン」



勇者カインだった。



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ