転生したら推しキャラだったんですが?
新連載です。
ゲーム転生は書きたかったので……。
「は、は、はああぁぁぁっっっ⁉︎」
「どうなさいましたか⁉︎ローゼリリーお嬢様!」
ローゼリリー。やっぱりだ。
今世の私は死亡率100%の勇者の初恋の人。
前世の私の推し。
ローゼリリー・コーデリアに転生したんだ!
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ローゼリリー・コーデリア。
『アーヴェル国勇者物語』の主人公にして、勇者と崇められる、カイン・ラシーの従兄弟、勇者パーティの魔法使いアベルの双子の妹。
その子が私は物凄く好きだった。
見た目も設定も。
さらりと揺れる腰に届く長い若葉色の髪。空のように綺麗な蒼い瞳。
勇者と同い年で幼馴染の天使。
そして、勇者が覚醒するきっかけとなるのは。
そんなローゼリリー……初恋の人の死。
勇者が勇者になる為に必要な犠牲。
そんな哀しい美少女。
それが、死亡率100%な今世の私。
って。
えええっっっ!!!! 嘘でしょ⁉︎
私、あの天使に転生したの⁉︎ あの、天使に!
見た目が良すぎる&すぐ死んじゃう事から、天使と呼ばれていた、リリたんに! 前世の私の推しに!
……よし、落ち着こう。
どうやら私が、ローゼリリー……リリたんに転生したのは、間違いなさそうだ。私にはこの世界9年生きた記憶がある。この世界の勇者カインの事も知っている。ずっと昔から持っていた記憶を思い出しただけ。
私は、リリたん。コーデリア公爵の長女だ。
3年後に死んじゃう。OK。
いや、OKではないけれど。リリたんは、何にもしてないのにシナリオで死ぬ。
前世の私はリリたんが死んだ時、特に何も思わなかった。あー、このキャラ死ぬのかーくらい。でもゲームを進めるにつれて出てくる、勇者の回想シーン&兄アベルの8歳までのリリたんとの思い出の数々。
それだけでリリたんを好きになるには充分過ぎた。ほんと、尊かったー!
ちなみに何故8歳までなのかと言うと、私とカイン、アベルが最後に会ったのは8歳の時だったから。
私のお母様は去年に病気で亡くなった。
父親は私のお母様と政略結婚だったらしく、私とお母様のことを嫌っており、お母様が死んだ途端に、私を兄と引き離し、メイド1人をつけて辺境に追いやった。(兄のことは好きらしいよ。謎。)
そこまでが私が経験した人生。
その先はストーリーだけでみたものだけど。
そのメイドはある日突然、リリたんを置いて消える。 そして、そのあと1人で生活していたリリたんは、屋敷で魔獣に襲われ亡くなってしまう。
それを王都で知ったカイン。
彼は激しく自分を責め、もう大事な人を失わない為に修行を重ねる。その過程で勇者の力が発現するのだ。
……可哀想。リリたんもカインも。
そして鬼か。なんで、リリたん殺すの? 怪我させるとかじゃダメなの?……鬼じゃん。
そして、今世の私はその死亡率100%の勇者の幼馴染。ローゼリリー。
……つまりこの先の運命を変えて、リリたんが幸せになれるルートに辿り着けるかもしれない!
最後まで読んでいただきありがとうございます!