女子会
一方その頃。
ギルドホームでは女子会が盛り上がっていた。
「へぇ~。なら里美とミズナは二年前パーティー組んで入賞した実力あるのね」
「まぁね。その時はもう一人いたんだけどね。でも次のギルド戦は任せなさい」
「だね! 里美は紅の為に頑張るわよね!」
「ちょ、ミズナ!」
七瀬の一言で顔が真っ赤になった美紀。
本人の前では上手く隠しているつもりなのだろうが、仲が良い周りの人から見ればバレバレだった。
「「あはははは!!!」」
そんな美紀を見て、楽しそうに笑うエリカと七瀬。
二人にからかわれた美紀は口を尖らせて、先程エリカが気を利かせて用意してくれた紅茶を飲む。年上の二人にからかわれてはやはり流石の美紀と言えど太刀打ちが難しい。美紀が何か言ってももう片方がすぐにフォローに入って来て抵抗は心虚しく失敗の連続となり今のような状況になっていた。途中エリカの話題に変わったが、エリカが蓮見に好意を向けているのは本当らしい。美紀にとってはそれはそれで一大事なのだが、七瀬とエリカにとっては美紀の恋愛話しの方が重要らしくすぐに話しが終わってしまったのだ。
「エリカもどうせ紅の為でしょ!?」
「うん。だって紅君見てて可愛いんだもん。でもたまに見せる男らしいところがキュンキュンするの」
顔を真っ赤にさせて嫉妬する美紀とは変わり、エリカは紅茶を飲みながら平然とした態度で答える。これが大人の余裕だと言わんばかりに。ちなみにエリカは十九歳で美紀の二つ上の女子大生である。
「でも何でエリカさんは紅の事好きになったんですか?」
「んっ? 好きになった理由? それは簡単よ。第一層攻略戦の時に紅君が私に『絶対に俺がエリカさんを護るから』って言われたからよ。そんな事同年代の男の子にも言われた事がないことを真剣な表情で言われたらそりゃドキッってするわよ。私も女だしね。それから気付けば想いが大きくなって好きになってたわ」
恋は理屈じゃないと言わんばかりに、微笑みながら二人に話すエリカの表情にはやはり余裕があった。七瀬はウンウンと頷きながら話しを聞いている。きっと何処かエリカに共感する部分があったんのだろう。
対して美紀の顔は唇を尖らせて、いじけた顔に変わっていた。
「あ~里美いじけてる~。かわいい~」
そう言って七瀬はソファーから立ち上がり、美紀の隣に座りプクゥと膨れた美紀の頬っぺたをツンツンと指で押して楽しみ始める。それを見たエリカも美紀の隣に反対に移動して美紀の頬っぺたを七瀬と同じくツンツンして遊びだす。
「あれ~里美ちゃん、もしかして私に嫉妬したのかな~」
「そんなに紅のこと好きだったんだ~。里美ちゃんに今まで彼氏がいなった理由はそうゆうことだったのかな~」
エリカと七瀬は美紀を冗談半分でからかう。
それがわかってる美紀だからこそ、余計に恥ずかしくなってしまう。
「……そうよ。だから頬っぺたツンツンするなぁ~!」
美紀が抵抗しようとするがそんな事はお見通しだと言わんばかりに両腕はすでに二人の腕によって固定され動かなくなっていた。
と、まぁ誰をいじれば一番楽しいのかは誰がどう見てもすぐにわかる状況が【深紅の美】ギルドホームの女子達の中では出来ていたのだ。
口では恥ずかしいので必死に抵抗するが、満更美紀も嫌ではなかった。
やはり好きな人が絡んだ話しになると楽しくてしょうがないのかもしれない。
その日、三人の女子会は大いに盛り上がった。
しばらくして夜ご飯の時間に合わせて三人はログアウトした。




