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とりあえずカッコいいのとモテそうなので弓使いでスタートしたいと思います  作者: 光影
一章 神災者爆誕と俺様全力シリーズ伝説

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竹林の森イベント 神災の進化が問われる時


 ■■■


 力を求めた蓮見の一撃は発動前から多くの者に恐怖や不安を与える力を持っていた。

 だけど――蓮見が一番してはいけないこと。

 なぜなら勝機を失うことを意味するから――。

 意図せずそれを見た女の中で生まれた感情は恐怖などではなく、純粋な興味心。

 すなわち絶対に正面から戦ってはいけない相手の闘争心に再び火を付けることになったのだ。


「行くぜ、巫女三人!」


「「「…………」」」


 返事はない。

 目を細め蓮見の出方を慎重に見極めようとしているようだ。

 そう思った蓮見は一気に最高速まで加速。正面から突撃し、右手に持った力の集合体である『ゴッドインパクト』を正面から小百合に向かってぶつける。


「これで終わりだ!」


「受けて立ちましょう。それが紅さんの全力にして最大火力だと言うならソレを凌げば私たちの勝ちが決まります」


 小百合の眼が力を発揮し、目に見えない壁が『ゴッドインパクト』から小百合を護る。眼の光が強くなり必死の抵抗。


「行ける!」


 だけど徐々に力任せの一撃が小百合の表情を苦い物に変えていく。

 蓮見が後ろの二人に視線を向けると優香と優奈の眼もまた小百合と同じく強い光を放ち小百合の援護をしていると気づく。

 三人共全ての神経を攻撃の無効化に使っているのかその場から動こうとしない。

 厳密には動けないと言った方が正しいのかもしれない。


「くっ……分解が間に合わない?」


「この力……全然弱くならない……?」


 優香と優奈の言葉は歯切れが悪く、余裕を感じられない。

 そもそも今蓮見が小百合に向けている力は究極全力シリーズの力を一点に収束させたと言っても過言ではなく、全方位に力を分散させた時ですら小百合たちは完璧に防ぐことはできなかった。

 その事実から代行者の眼は完璧ではなく恐らく小百合のステータスの一部に依存していることに気付いた朱音が援護のため蓮見の背後にやって来る。


「は~い、ダーリン♪ 後ろがら空きよ?」


 こちらも全力全開で目に見えない壁を強引に突破しようとしていただけにその言葉と見なくてもわかる既に向けられた槍の矛先から放たれる殺気に冷や汗が全身に流れる。

 ここに来て一番来て欲しくない相手。

 そして楽しそうな声――テンションが高くやる気満々の最強が参戦してきた。

 美紀たちは負けたのか?

 それとも残りの二人に苦戦しているのか?

 地上の状況を全く把握していない蓮見の脳は大音量で危険信号を鳴らす。

 だけどこの一撃を不発に終わらせるわけにはいかない。

 もうこれを超える攻撃はないから。

 でもそれを強行突破すれば間違いなく背後から殺される。


 どうする?

 どうすればいい?

 仮にメールとエリカに足止めをお願いしても実力差は試す前から明らかでそれに意味はないことは明白。

 それでも数秒のために意味もない足止めをお願いするのか?

 脳が回路を引きちぎる勢いで打開策を考える。


「ここに来て……お母さんとかマジ無理ゲー……だろぉ……?」


 地面から生える巨大な氷柱は絶対零度が小百合たちを護るように無数に枝分かれしながら伸びていく。朱音の絶対防御のスキル。苦戦した嫌な記憶が蘇る。結局のところまともな対処はできず、前回は偶然破壊できた朱音の力の一つであり防御の象徴とも呼べるソレはここでは最悪としか言いようがなく。

 ただでさえ突破に苦戦する代行者の眼に絶対零度まで合わさった日にはもう蓮見の強行突破は不可能に近い。なぜなら片方だけでも『ゴッドインパクト』級の力がいるのだからそれを今から二発用意しろと言われれば幾ら蓮見でも無理としか言いようがない。それに背後の朱音にここから対処となれば過去一番危険な状態なことは間違いなくて思わず舌打ちしてしまう神災竜こと蓮見。


「さぁ、試練の時間よ。スキル『神速のボルグ』!」


 美紀がよく使う破滅のボルグとは比べものにならない攻撃力を秘めている一撃が蓮見に向けられる。

 槍がどす黒く赤みを帯びたオーラを纏い、剣を装備したプレイヤーが主に使うスキル『一閃』と同じ速さを持ち自動追尾能力も兼ね備えた一撃を距離にして五メートルあるかないかぐらいの距離から放たれれば蓮見の速さを持ってしても逃げるのは至難の業。

 その時だった。

 蘇る記憶と可能性がふとっ生まれる――究極全力シリーズ『超新星爆発』を超える究極全力シリーズの完成系である『ゴッドインパクト』なら奇跡を起こせるかもしれないと。


「まだだ! まだ俺は負けるわけにはいかないんだぁああああああ」


 右手を引き、すぐに反転。

 この際後ろのことは後回し。

 蓮見の鋭い視線が朱音の手から離れようとしている槍を捉える。

 後は朱音の視線一割と山勘九割で槍の狙いを予測しそこに右手を突き出す。



 ――頼む、当たれ……。



 蓮見の手の中で圧縮され不安定な状態で形を保っていた『ゴッドインパクト』は槍の一撃から蓮見を護るがなんとか形状を留めていた力の制御を完全に失い周囲へ爆散していく。

 白い稲妻のような龍が四方八方に飛び火していく。

 それは絶対零度の壁を瞬時に溶かし氷を水蒸気にしていく。

 その速度は尋常じゃなく人が目で追える速度などではない。

 拡散したプラズマは放電を続け雷の如く四人に襲いかかる。

 防御が遅れれば感電死あるいは爆死しかない。

 誰もがそう思う原因を作った中心部では別の力も既に生まれていたからだ。

 人を襲うのはプラズマだけじゃないということだ。

 水が蒸気になることで体積を膨張させ爆発が起き、同時に蓮見を含む全員へと襲い掛かる。


 当然全ての中心地にいる蓮見と朱音と巫女がこれを全て避けきることは既に不可能。


 例えるなら地上は既に世紀末。

 空は巨大な噴煙の中を白い稲妻がゴゴゴゴゴゴゴと音を鳴らし走る世界。

 それは全ての悲鳴をかき消すようにして空中観客席のプレイヤーと進行役のNPCにも降りかかる災いとなり破壊不能オブジェクトを強引に壊す勢いで何度もぶつかりシステムに負荷を与えることで強制的に邪魔者を消すかのようだった。


 既に涙目の|観客席のプレイヤー《神災教ではないプレイヤー》はこの時ほど恐い経験をしたことはなかった。絶対安全な結解が嫌な音を鳴らしいつそれが壊れ自分たちに襲い掛かるのかという恐怖を味わったことはなかった。そのプレイヤーが美人な彼女とイチャイチャしながら蓮見の戦いを観戦していてそれに気づいた非モテ男が嫉妬してなど……ではなく暴走した力はただ目の前にいる者全てを敵とみなしただけだった。それが『ゴッドインパクト』と呼ばれる一撃の正体。世界が苦しみザザッとうめき声をあげる時、人々は一体何を思うのだろうか。


 Q・(身の危険を感じたのですが)ログアウトができない?

 A・あっ、すみませんちょっと今処理が遅れてまして。


 なんて返事がきたら……それは別の場所でも一発触発の因果を生み出すのではないだろうか。その因果を作りだした男の一撃を受けてもし小百合が生きていればイベントは引き続き進みもしそこに朱音も生きていればもう勝ち目は――ないだろう……。


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