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とりあえずカッコいいのとモテそうなので弓使いでスタートしたいと思います  作者: 光影
一章 神災者爆誕と俺様全力シリーズ伝説

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竹林の森イベント 数の暴力こそやはり最恐?


「紅君! ほんの僅かだけど向こうの方が速いわ!」


 エリカの言葉に返す言葉がすぐに出てこない蓮見。

 不死鳥となった矢は蓮見の後を無駄なく追尾して追いかけてくる。

 それに対し蓮見はなんとか振り切ろうと必死になって足掻く。

 その時に生じる無駄な動きの差が両者の速さの差になっていた。

 同じ速度。

 偶然か必然か。

 普通ならそれだけでもプレイヤーを圧倒し絶対命中の矢と機能していただろう。

 蓮見だからこそここまでスピード勝負ができている。

 ポーションを使いMPを回復しすぐさま力に変換していく。


「それと小百合たちも後方から急速接近! このままじゃ四方向からの挟撃に合うわ!」


 巫女のAGIは全速力の蓮見より速かった。

 これが神災モードの巫女の力。

 神災竜の頭上で状況を解説するエリカの顔に透明色の雫が流れる。

 蓮見と同じ眼いやそれ以上の目を手にした彼女たちの攻撃は全てが一撃死の可能性を秘めている。そして敵の眼は常に攻撃を無効化できる性能も宿している。神災の力を手にした巫女はプレイヤー技術を含めまさに完璧すぎる蓮見の上位互換とも言える存在になって帰って来た。


「ふざけるなよ、こんなの俺様に対する完璧すぎるとしか言いようがないぐらいにメタメタのメタちゃんじゃないか!」


「……まだふざける余裕はあるのね」


「ちょ!? ないですよ!!! だからエリカさん!」


「なにかしら?」


「手伝ってください! 例のアレでフェイズ2です」


「オッケー! ならフォローは任せてちょうだい!」


 その言葉を聞いた蓮見が不敵な笑みを浮かべ、方向転換をして不死鳥と巫女三人に向かって全速力で飛ぶ。


「ん? 気をつけてください! 彼の狙いが私たちの可能性があります」


 警告する小百合に優香と優奈が頷く。


 逃げながらも急速充填をすることで次の一撃を撃つ準備を終わらせた超電磁砲が小百合に照準を自動で合わせる。


「くらえ!」


 タイミングを見計い、目標が一直線上に並んだタイミングで超電磁砲を発射。


 弾丸は一直線に飛んでいき不死鳥を撃ち抜きそのまま小百合に向かって飛んでいく。


「なるほど。ですが、それでは遅いですね」


 正面攻撃ほど避けやすい物はないと、簡単に躱して飛行状態でありながら矢を放ち反撃してくる巫女三人に蓮見が笑い始める。


「アハハ!!! 来い! メール!!!」


 神災竜の前に魔法陣が出現し人形姿のメールが召喚された。

 メールはそのまま水の壁を生成して飛んできた矢から蓮見とエリカを護りそのままエリカの隣に着地する。


「やっほー、お姉ちゃん。元気にしてた?」


「うん。メールちゃんも元気そうね」


「当然!」


「メールすまんが死体を呼んでくれ! 今から小百合さんたちを倒すから」


「わかった! 王女を護るために今一度生を与えられた愚か者共。今こそ私の期待に応えよ! スキル『大海』そして『死体総集』!」


 戦場の脆くなった地面から大量の海水が巨大な柱として幾つも出現する。

 巫女が天から味方を呼ぶなら蓮見とメールはその反対。

 どこまでも真逆の両者。

 間欠泉となった大地から熱い蒸気が地を濡らし渇いた大地に潤いを与える。


「「「「ウオオオ」」」」


 不気味な鳴き声と一緒に空間の渦から骸骨兵が何十いや何百と物凄い勢いで出現していく。

 今回のイベント前のアップデートを通してその日倒したプレイヤーの数からイベント時には倒したNPCを含めた数だけ死体となったプレイヤーとNPCの亡霊を呼び起こし使役するといった能力に進化したソレはこのイベントで蓮見が倒したNPCに完全に依存していた。召喚獣がこのスキルを使う場合、召喚獣もしくは使役者どちらか任意の方を選び参照してスキルが効果を発揮する仕組みにもなったので今回メールが選んだのは当然蓮見なわけで。

 この瞬間【深紅の美】ギルドは実質四百を超える援軍を得たとも言える。


「そんでもって貴様らに武器を与えてやる! 突撃する前に皆受け取れ!」


 叫ぶと小百合たちを翻弄するように無尽蔵に空を飛んでいく蓮見。

 その蓮見の先には必ず死体兵がいる。


「二人共ここはMPを温存してください!」


「「はい」」


 死体兵に接触するとまるでなにか目に見えない壁にぶつかって跳ね返るように不規則に方向を変えていく。

 その間も巫女から矢が飛ばされるも、通常攻撃だけならなにも脅威がないと躱す。

 通常攻撃の矢の速度はどうしてもスキルを使う攻撃より遅く、AGIが異次元ステータスになっている男の前では不意打ちや追い込まれた状況以外では警戒すらするに値しない攻撃となっていた。

 それでもスキルを使わないで攻撃するのは蓮見に対する警戒感とMP回復を兼ねてだろう。

 エリカが大量の物資をアイテムツリーから連続で取り出してメールと協力して死体兵たちに渡していく。


「そっちが攻撃無力化ならこっちは無限攻撃で勝負するぜ!」


 一通りアイテムが渡り終えると蓮見の動きが止まる。

 まるで四百の兵を率いる大将のように、兵たちの前それも中心部に立ち大きな羽を広げて叫ぶ。


「俺は誰よりも目立って誰よりも派手に飾り女の子にモテたい! だからフェイズ1は『地』そしてフェイズ2は『空』の改変を今ここで宣言する!」


 つい内なる本音が今回イベント出場の理由を超えた瞬間だった。

 だがエリカとメールは耳栓をして冷たい視線を蓮見に向けるだけでなにも言わない。言うだけ無駄であることを二人は知っているからである。


「総員突撃!!!」


 その言葉を合図に死体兵が一斉に両手にエリカとメールから受け取ったアイテムを持ち三人の巫女に向かって突撃を始める。


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