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とりあえずカッコいいのとモテそうなので弓使いでスタートしたいと思います  作者: 光影
一章 神災者爆誕と俺様全力シリーズ伝説

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竹林の森イベント 勇者参戦すなわち総力戦開始!!!


 準備は整った。

 数分前まで豊かな大地と沢山の木々で生繫てっていた森が燃え尽きた。

 跡地となった森は木の変わりに炎を地面から生やして燃え、綺麗だった大空はばい煙が舞い薄暗くなり太陽の光を遮る。

 そんな世界を作りあげた創造主は「ふぅ~♪ やり過ぎたかな、俺様」と何処か満足している様子。


「流石~! くれみん砲はやっぱり最強ね!」


「ですね! エリカさんはやっぱり俺の神です!」


 既に巫女の姿はなく、急速接近していた危険は全て取り除れ勇者こと朱音たちを登場させることなくイベントは終わりを迎え――。


「やれやれ。と言いたいところですが、まぁ……合格ですね。審査する価値はあると我が主の判断の元ここからは全力で行きますよ、最強チームを率いる紅さん?」


 ――るはずもなく、神災モードとなった本気の巫女が三人。

 大満足顔の笑みに曇りがかかる蓮見とエリカの上空にいた。

 息を思わず呑み込む二人。

 二人は聞かずして直感でわかってしまった。

 あの攻撃の中彼女たち三人が各々ダメージコントロールをして生き残り、自分たちを倒す為に本気になったのだと。

 そして彼女たちの眼は蓮見のソレを凌駕する。


「眼からなんか紐みたいなのがでてる……だと? なんかカッコイイ……いいな」


「うん、そうね。あと多分紐じゃなくて光だと私は思うけど……」


「マジです?」


「うん」


 コントみたいな会話にクスッと笑う巫女は口を開く。


「これですか? これは自動発動スキル『代行者の眼』。気を付けて下さい。この眼は今までの眼の力とは別に相手の全ての攻撃を任意で相殺するための力を持っています。紅さんが使うアイテムの攻撃を含め、そちらがMPを糧とした数の暴力ならこちらはMPを糧とした相殺。そして……残念なことに」


 戦場の空気がピリピリとしたものに変わる。

 イベントが始まる前、司会者兼解説者の者は何と言っただろうか。


「ここからは勇者も参戦します。紅さんは間違いを一つ犯しました」


 そうだ。

 準備は整ったのだ。

 それは――蓮見率いる神災チームにとって。

 そして――小百合率いる巫女チームにとっても。

 今までのように相手の力を利用し自分の力へ変換していた蓮見。

 その蓮見の力を今度は小百合が自分の力へ変換。

 

「間違いだと?」 


「はい」


 九の化物は小百合の話に耳を傾けると同時に身体に力を入れていつでも最速で巫女三人の首を取りに行けるようにアイコンタクトで意思疎通を始める。

 それに気付いているのかはたまた気付いていないのかよくわからない感じで鼻で笑う三人の視線は蓮見一人に向けられる。

 まるで自分たちの敵は蓮見しかいないと言わんばかりに。

 直視されただけで圧を感じる蓮見の身体に鳥肌。


「我々がなんのために紅さんたちと中々戦闘にならないように隠れ動き回れるフィールドに設定したかわかりますか?」


「……わからん」


「それは私たちが不意打ちをするためではありません」


「ん?」


「イベント終了時間まで紅さんが生き残る可能性を残すためです」


 小百合の言いたいことを蓮見以外が理解した。

 だけど蓮見は間違った理解をここでする。


「なんで俺が負ける前提なんだ?」


 そう。

 今の蓮見にはこれ以上ない仲間がいて、その仲間は夢の為に勝つ気でいる。

 そのために自分が早々負けるわけにはいかない、と。


「ふふっ。そうですか、言葉では警告になりませんか。では行きましょう。スキル『転生召喚』!」


 小百合の前方に天から黒い空を切り裂くようにして三つの白い光の柱が地面に向かって落ちてくる。


「来る……紅君!」


「はい! わかってます!」


 分身九人にアイコンタクトで命令を出し光の柱が完成する前に発動者の首を取りに行く化物――神災竜。


 既に仲間を降ろした分身は小百合シリーズの優香と優奈の矢による攻撃を躱して一気に距離を詰める。

 だけど――。


「なんであいつら微笑んでるんだ?」


「無視しろ! 幾ら巫女たちが強くてもこれで終わらせるぞ!」


「任せろ! 本体に及ぶ危険は全て俺たちで排除だ!」


「おう!」


 一気に近づいた九人の神災竜が各砲身を小百合一人に向ける。

 急速充填された弾丸が一斉射出される。

 再び世界を破壊する一斉砲撃に巫女の眼が赤く光るとMPゲージを糧として『代行者の眼』の力が発動する。


 まるで目に見えないバリアに全ての攻撃が全てふさがれてしまう。


「あれは分解かしら……?」


 それを遠目に見ていたエリカだけがスキルの正体を早くも見破る。


「正解です。スキルについて博学なのですね。それとは別に紅さん。分身さんたちに避難指示を早く出した方がいいですよ? なぜなら紅さんを本気で倒しにあの人が今来ますので」


 警告が終わると同時。

 神殺しシリーズを装備したある種蓮見たちから見れば本物の化物にしか見えないプレイヤーが敵として光の柱の中から出てきてすぐ――。


「スキル『猛毒の裁き』」


 ――杖を持った女が口にした。

 このスキルを蓮見は知っていた。

 なぜなら自分もよく使うから。

 それを本来の使い方で使用した朱音は分身の急所へ適格に放ち不敵な笑みを浮かべて二人のプレイヤーを引き連れてこの世界へと久しぶりに戻ってきた。

 前回のイベントでは最強にして最も頼りになったプレイヤーが今度は敵として自分を護るのではなく倒す立場として。


「弱い奴に興味はないわ」


 全ての分身を登場から僅か数秒で倒した朱音は杖を持ったまま、その先端を蓮見に向ける。まるでそれを合図に小柄でショートカットが似合う黒髪の若い女と体格が良く素手でクマを殺しそうな顔をした厳つい男が朱音と一緒に蓮見とその頭にいるエリカへ向かって飛んでくる。


「自分が指示をだしたのですからなにがあっても恨みっこなしでお願いしますね」


「これで蹴りが付いたら笑えんな」


 二人の言葉にクスッと笑い、


「大丈夫よ。ダーリンは簡単に死なない。だから二人共本気で取りに言っていいわ」

(たぶん、その前に一仕事来そうだけど)


「いいのですか?」


「相手は高校生だろう?」


「えぇ」

(そう。高校生……だけど)


「わかりました」


「わかった」


「お願い」

(どんな相手にも有効で万能とも呼べる戦術を既に私たち以上に持っている男が向こうにはいるのよね、ふふっ、さぁ行くわよ♪ ダーリン!!!)


 手加減はするなと指示する朱音の目は期待に満ち溢れ既に蓮見になにかを期待しているようだった。

 しかし反応が遅れた蓮見は――どこに逃げれば三人の攻撃を躱せるのかと一瞬迷ってしまった。自分より遥かに強い相手と言う認識が判断を鈍らせたのだ。

 その一秒にも満たない時間が命取りになると知ったのは後の祭り。

 神災モードじゃない自分が今からどこに逃げても三人の射程圏内から逃げる前にやられると判断した蓮見の身体が硬直して動かなくなる。


「どうすればいいいんだ……おれ」


 起死回生の一手を考える蓮見の耳に聞こえてくる声は。


「ビビるな! 全員で紅を援護! 死を恐れるな! 私たちには共通の目的がある! そのために集まった! だから最初から本気で皆行くわよ!」


 幼馴染の声だった。

 そして敵に向かって行く仲間の背中は今まで以上に頼もしくそこには絶大な安心感があった。このメンバーなら案外あの三人相手でもなんとかなりそうだという目に見えない何かを確かに感じた。そして目に見えない何かは硬直していた身体を軽くする力も持っていた。


「三人は私たちがなんとかする! だから紅は巫女をお願い!」


 その言葉に頷く蓮見は自分の使命を全うするため、大きな羽を動かして小百合の元へエリカと共に飛翔する。



 ――こうして神災《最恐》VS神災《巫女》。

 ――そして最強護衛《挑戦者》VS最強護衛《勇者》。


 ――すなわち総力戦が開始されることとなった。

 既に戦場に逃げ隠れ出来る場所はなく頼れるのは己の実力だけの世界で最後まで生き残れるのは一体誰なのだろうか……。


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