はすみぃ~そんなにあまえたかったの?
「そりゃ勝ちたいとは思っているけど……」
「けど……なに?」
「いえ……勝ちます……」
確かに美紀の怒りの声はどちらかと言うと小悪魔美紀ちゃんのいつもの声に戻った。
そこから察するに怒りは収まったように見える。
のだが、蓮見は息を呑み込んでは美紀のご機嫌を損ねないように精一杯の配慮をし、余計なことは聞かないことに徹した。
今余計なことを聞いて、蓮見にとっては長くて心臓が苦しい時間が終わりを迎え楽になろうとしているのに再び火に油を注ぐような結果になったら目の当てられないからだ。
徐々に近づいてきた美紀の身体はそのまま蓮見の身体に触れ、今は蓮見の上に乗っている状態。女の子の柔らかい胸が蓮見の胸にあたり微かに刺激する。美紀の両腕が蓮見の首に巻きつくように回されまるで恋人同士の距離感の二人。目線の高さは同じで二人の吐息を感じられるほどに顔が近い。
二人だけと言う状況と夏休み中に積もりに積もった感情の枷が外れ思ったより身体が正直になってしまった美紀の心境など知らない蓮見は当然この状況を正しく理解できない。ただ言えることはこの距離安易に余計なことは言わない聞かないに徹した方が安全性の問題で正しいということだけは理解している。
だけどこんなときだからこそ普段は素っ気なく気付いていない振りをしていたものが気になってしまう。美紀の機嫌が少し良くなったと勘違いした蓮見は。
「ところで美紀」
「なぁ~に?」
急に甘えた声を出す美紀。
「また大きくなった?」
のだが、頭が理解していても美紀との感性と言うべきか感覚的な部分が違うため、自ら地雷を踏んでしまう蓮見。
美紀の胸が大きくなったと確信した蓮見の視線が美紀の胸元に吸いよせられた。
瞬間美紀の顔が真っ赤になった。
日頃から毎日見てかんs……。。。
美紀の別の感情を爆発させることで話を入れ替えるという発想で言った言葉ならまだしも……なにも考えずに脳に浮かんだ煩悩を口にしただけでは。
「うん。よく最近視線を感じてたけど、やっぱり見てたんだね。この変態!!!」
渾身の一撃が蓮見の頭部にクリーンヒット。
至近距離から放たれたヘッドロックに蓮見がぐらつく。
そのまま頭部は美紀の胸へと落ちていく。
「なになにそんなに甘えたいの? まったくお子様なんだから。いいよ~好きなだけ堪能して♪」
小悪魔美紀ちゃんはそのまま蓮見の頭部を受け止め自分の胸へと押しつける。
一瞬おっ! と思った蓮見はすぐにある事に気づく。
今の美紀は小悪魔。つまり息ができないぐらいに顔を押し付けられており、まじで意識を失う手前状態。
息が出来ない。
女の子胸最高! より、、、死ぬぅぅぅ!!!!! が。現実問題として大きくなった瞬間だった。
「もぉ~そんなの暴れないの。どうせはすみぃは朱音さんのスレンダーでえっちな身体が好みってわかってるからそんなに照れなくていいよ」
「ぅぅ~ぅ、、んっんんッ!!!!」
(じゃねぇ!!! ちぬぅ! スマン許してください!!!)
残念ながら思いは伝わらない。
まったくもって自業自得の蓮見であった。




