春休みが終わって
――――
――――二日後。
春休み最後の日は美紀が自室からチラチラと窓を通して見張っており、勉強するしか選択肢がなかった蓮見。
そんな蓮見がベッドから起き上がる。
「ふわぁ~。よく寝た……。てかマジで昨日無言の圧に負けて一日勉強させられるとは家が近いのも問題だな……」
小言を言いながらも蓮見は身支度を手早く用意を済ませて学校へと向かって歩き出した。
「明日の小テストはおかげさまで余裕だな。にしてもまだ肌寒いな……」
蓮見は通学路にある桜の木を見ながら、一人のんびりと歩いて学校へ向かう。
久しぶりの学校と家を引っ越してからの初めての通学路に蓮見は懐かしくも新鮮な気持ちでいっぱいだった。
学校に着き、下駄箱で靴を履き替えて教室に行くと、新しいクラスとも合って知らない人も沢山いた。元々友達がそこまで多くない蓮見にとってはあまり関係がないことである。黒板に白いチョークで書かれた座席表を確認して窓際の席に座る。
席に座ると女子生徒の集団の中から声が聞こえてくる。
「おはよう、蓮見」
突然の事に慌てて、すぐ隣にある女子生徒の集団に視線を向ける。
とは言っても三人しかいないが。
「んっ? あぁ、おはよう」
声をかけてきたのは美紀だった。
「あれ? 美紀友達?」
「美紀が自分から男子に話しかけるって珍しいけど、どうしたの?」
「そうね。でも蓮見は幼馴染だから。男子と言うよりかは小さい時から仲が良い友達みたいな感覚かな」
「へぇ~。美紀に幼馴染がいたんだ」
「なんだ、彼氏じゃないのか……。ちょっと期待したのに……」
「ちょっと恥ずかしいからやめてよ~」
と隣にいる蓮見には関係のない女子トークが始まったので、窓の外を見て時間を潰す事にした。本当は机に伏せて寝たかったが、時間的に後数分もすればチャイムが鳴る時間だったのでやめた。
「まさか家も隣、クラスの席も隣……これはどうしたもんかねぇ~」
蓮見は窓の外に見える校庭に向かってポツリと呟く。
春休みに入ってからますます幼馴染の美紀が近くにいる気しかしなかった。
それはつまり、クラスに視線を泳がせれば分かる事で、今まで他人だった男子が敵になると言う事でもあったのだ。どうやらさっきの美紀達の会話から今まで蓮見と美紀の関係を知らなかった人達、特に男子生徒が幼馴染と知って嫉妬しているのだろう。
「……はぁ。もう少し男子とも仲良くしてくれると俺の悩みがなくなるんだけどなぁ~」
聞こえない事を承知の上で小さい声で楽しそうに今も笑いながらお話しする隣の女子生徒三人組に顔を向けて言ってみた。
すると、朝のHR開始のチャイムが鳴った。




